「でも松永さん、あのメモ帳……ノート? 見ましたか? 遺書とも読めなくもないですよ」

「ありゃ作り話だろ」


 軽くいなしたものの、笹埜は真剣な眼差しで資料を見ている。


「そうでしょうか」


 腑に落ちないらしい。

 メモ帳サイズの小型ノートには、几帳面に書き綴られた文字が並ぶ。全ページをコピーしたA4サイズの用紙をめくる。これが作り話でないとすれば、幻覚でも見たとしか思えない。


 死亡した男の同僚は、、と話した。妙なニオイがして急激に痩せたから、身体を悪くしたのかと思ったと語り、精神的に問題を抱えていたのかも、と指摘する者もいた。


「おまえ、真に受けてんのか」

「気になったんで、解読してみたんです」

「解読……?」

「例の謎文面なんですけど」


 暇つぶしに解きました、と笹埜は真面目な顔をして言った。

 プリントミスの裏紙に、該当する字を試した跡がいくつも並んでいる。最終的に導き出した、意味の通る文章がまとめられていた。


 ゆっくりと読み上げる。

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