絶対、好きになる。古代エジプト。

ふと拝読し、さらっと読み始めた本作。
冒頭のシーン、どどんと貫き立ったキャラたちにまずビンタを喰らい、えええっと思っているうちにさらっと異世界へ。古代エジプトにとつぜん放り出された歌い手さん、どうするのかと思いきや……！

ぽんぽんとリズムよく進むおはなし、元気でよく動く主人公、周りの人物たちもそれぞれ特徴が際立っていて。古代エジプトの文化もくどくなく、されどしっかりと描写されていて。
読んでいるうちに嬉しくなってくるのです。

古代エジプトのおはなし、難しそう……と思われるあなた。そんじょそこらの現代ドラマなんかより、本作のほうがずっと読みやすいと思います。情景をわかりやすく、かつ流れるように描写する作者さまの筆力と、テンポのよい会話、馴染みやすいことばづかい。

わたし自身は歴史が絡むファンタジーが大好きですが、そういう視点じゃなくて、ふつうの元気な女子が歌で活躍する、ちょっと不思議な世界のおはなし、くらいで入っていただければと思います。

絶対、好きになる。
主人公マキノさんも、古代エジプトの町と、ひとびとも。

そして……最後は、たくさんのティッシュとタオルに囲まれて、あなたははっと、我にかえるんです。ふふふ。