元騎士と元娼婦が出会う話 前編

 その日の俺は、朝から気分が浮き立っていた。

 諸々の支度を済ませ、娼館みせを出る時には娘たちに、しっかりと身体を磨き上げておけよ? と念には念を入れる。


 それから足を運んだのは門前の噴水広場。

 門番たちに愛想笑いをしつつ遠く街道に視線を飛ばせば、じりじりと陽が暮れていくのももどかしいくらいだ。


 行き交うは行商人に旅人、鎧櫃を背負った傭兵に、クエスト帰りの冒険者たち。

 たちまちごった返す門前の広場で、俺はようやく待ち人の姿を見つけることが出来た。


 ドワーフには及ばないががっしりとした体格に、厳つい実直そうな男の顔が載っている。

 俺は最大限の敬意と恭しさを込めて、旅装姿の男に向かって頭を下げた。


「遠いところ、ようこそいらっしゃいやした…!」


「う、うむ…」


 なんとも曖昧に頷き返してくる彼の名は、ボルド・ギムレット。

 本音を言えば、名前を知ったのは最近のこと。

 だが、その顔立ちは一年以上経っても忘れるもんじゃねえ。


 あの辺境都市カナルタインで投獄された俺の面倒を見てくれた牢番にして、俺が勝手に石頭と称した御仁の本名である。


「このたびは世話になる…というか、身体の調子はどうなのだ?」


「へい。お陰様で完全に復調しました」


「そ、そうか。それは良かった…」


 いまいちボルドの態度が定まらないのは、かつて俺に加害した側という負い目だろうか。

 もしくは、俺の方が年上だからか?

 牢番の時とはいざ知らず、こざっぱりとした格好で陽の当たる場所で見る姿は確かに若かった。年のころはおそらく40には届いていないだろう。

 無論、俺の方も相手が年下だからといって馴れ馴れしい態度を取る理由はない。


「ボルドさん。その節は大変お世話になりまして…」


 むしろあまりにも感慨が籠った目で眺めてしまったからだろうか。

 彼の隣に、フードを目深に被った旅人が立っていることに気づくのが遅れた。


「おっと、こちらはお連れさんでらっしゃいますか?」


 俺がそう訊ねると、


「…いや、道中で知り合ってな。この街が目的地ということで、ここまで同道しただけだ」


 ボルドはそう答える。

 彼に視線を向けられ、フードの旅人は軽く頷き返すと、身を翻し雑踏へと紛れていく。


「さいでしたか。袖すり合うも他生の縁と言いますからねえ」


「それより。手紙で指示された通り、おれは今晩の宿もなにも取っていないのだが…?」


 ドライゼンより彼の手紙が届いたのはちょうど二ヵ月前になる。

 休暇を賜ったので一度そちらへ出向いてみたいとの内容だった。

 俺は届いた翌日に、さっそく返信している。

 

 どうか必要最低限の旅装で、身体一つでいらして下さい。再会できる日を心よりお待ちしています―――。


 念願叶い、今日、こうやって俺たちは再会を果たした。

 こういっちゃなんだが、ここしばらく、一日千秋で恋人を待つ乙女みたいな心持ちだったぜ。


「ご心配なく。全てこちらで差配させて頂きやすから」


 俺は自信満々で胸を叩く。


「どうかボルドさんは大船にのった気持ちでドーンと構えていてくだせえ!」








「…噂には聞いていたが、いやはや大したものだな…」


 ボルドと肩を並べて、ゆっくりと大通りを往く。

 左右に立ち並ぶ色とりどりの屋台。

 看板を持って客を呼び込む酒場。

 食堂らしき場所のオープンテラスからは得も言われぬ美味そうな匂いが漂ってくる。

 それ以上に様々な格好をした人がひしめき合っているわけで、初めてこの光景を見た連中の大半は目がチカチカするとこぼすとか。

 

「ええ。ここヒエロは、ここら一帯で一番の歓楽街ですからね」

 

 およそ考えられる限りの快楽を提供する店が軒を並べていて、裏道に回れば賭場も立つ。

 同時に八百屋や花屋に雑貨屋といった店も存在し、ここで暮らす一般人たちの生活も支えていた。

 歓楽街といえど、その全てが色関係というわけではもちろんない。


 そのままゆっくりと見物しながら大通りを歩けば、一際大きな建物が見えてくる。

 一等地に構えた俺の自慢の店だが、今日ばかりは看板を掲げていない。    

 目当てで来た冒険者たちが不審そうに踵を返すのは申し訳なかったが、俺はボルドを店の中へと誘う。


「ささ、どうぞご遠慮なく」


「…入っていいのか? 休業しているのではないのか?」


 店を見上げたまま立ち尽くすボルドの背中を押して中へ。

 脱衣場には、いつもは忙しく行き交う小僧っ子たちの姿はない。なので、俺が手ずから旅装を解くのを手伝う。

 戸惑うボルドに、


「まずは風呂に入って旅の疲れを落としてくださいな。うちの風呂は、自慢じゃないですが温泉ですぜ」


「温泉が湧いているのか!?」


 確か西国では蒸し風呂が主体とか聞いたことがあった。

 ボルドが驚いているのは、温泉自体が珍しいのかも知れないな。


 なので、互いに素っ裸になって浴室の扉を開けば、ボルドは更に驚いてくれた。


「こ、これは…」


 うめき声が広い浴室に木霊する。

 中心にでっかい湯舟を据えて、周囲に荘厳な柱と精緻な彫刻を施した造りは、我ながら溜息が出る出来だと思うぜ?

 かの不世出の建築家クルクヌキの作には及ばねえかも知れないが、彼の弟子を標榜し、俺の店の立ち上げに尽力してくれた風来坊の腕は確かだ。

 東方へ行くと立ち去った彼は、今も元気でやっているだろうか。


「と、まずは背中を流させて頂きやす」


 絶句したままのボルドを洗い椅子に座らせて、盛大に湯をかけて背中を擦ってやる。

 されるがままの彼だったが、広い湯舟に手足を伸ばして浸かる頃、ようやく理解が追い付いてきたようだ。


「素晴らしいものだな、これは…」


「そういって頂けると冥利に尽きやす」


 隣で、頭にタオルを載せながら俺。

 まあ普通に考えりゃ、これだけたっぷりお湯が使えるだけで贅沢な話である。


「どうかのぼせない程度に堪能してくださいよ。これから美味い飯と酒が控えてますからね」


 そう注意はしたものの、俺も一緒に湯に浸かっているんだ、抜かりはない。

 

 それなりに温泉を満喫してもらったあと。

 二人揃って真新しい肌着に着替えて食堂へ。


 食堂も、今日ばかりは貸し切りだ。

 俺たちだけがテーブルに着けば、オープンキッチンでウチのコック長であるゲンシュリオンが自慢の鍋を振るっているのが見える。

 六腕巨人族ヘカトンケイルって種族の物珍しさもあったろうが、六本もの腕を操って次々と料理を仕上げていくその手際にこそボルドは目を見張っているよう。

 熱々の湯気を立てる料理は、この店で最大限に贅を尽くしたものばかり。

 ハーフリング娘の給仕が運んできたビールを手渡し、俺はジョッキを打ち合わせる。


「今日、ボルドさんと再会できましたことに!」


 ぐっと煽るキンキンに冷えたビールは、まさに五臓六腑に染みわたる。

 

「さあさ、冷めないうちにどうぞどうぞ!」


 俺が料理を指し示すと、ボルドはビールの泡髭を作ったのも気づかぬままフォークを差し出してくれた。

 出来立ての料理を頬張りカッと目を見開くボルドに、俺は内心で喝采を上げる。

 追いかけるようにまたビールを口に含んだ彼の顔に浮かぶのは、何とも言えぬ満足気な顔。


「…たまらないな、これは」


「ありがとうございやす」


 ここで遠慮するのは礼儀に悖ると思ったらしい。続けて黙々を料理を頬張るボルドは返って気持ちが良いや。

 そしてそのたびの変わる彼の表情を、俺は酒杯片手に楽しむ。

 

 そのまま飲んで喰ってを繰り返していたボルドがスプーンとフォークを置いた。


「いや、本当にどれも大変美味かった…」


 しみじみと言うからには、あらかた食欲は満足させたらしい。


「それはようござんした。うちのコック長も腕の振るい甲斐があったってもんでさ」


 新たな酒瓶を抜栓しながら俺は微笑む。

 市井の酒屋では出回っていない皇族御用達の逸品だ。

 このとっておきの酒を振舞うことに、今の俺は微塵の躊躇いもない。

 むしろ、いい酒はいい相手を飲んでこそ、だ。 

 

 そんな悪友の台詞を頭に思い浮かべつつ、ボルドも楽しんでくれているようで嬉しい。

 このまま酔いつぶれてちまっても良いくらいだったが、その前に。


「おい、みんなぁッ!」


 俺は吹き抜けの二階へと声を向ける。


「は~い!!」


 明るい声とともに、煌びやかな装いの娘たちが階段を次々と降りて来た。 

 これには酔いにトロンとしていたボルドの焦点も合う。

 圧倒されるように背筋を伸ばした彼の前に、娘たちは列を作ると、それぞれが酒瓶を手に持つ。

 

「な、ななな…!?」


 あからさまに面食らうボルドに、


「このたびは支配人さんを助けてくれてありがとうございます」


 艶然と頭を下げて先陣を切ったのはクエスティン。

 とっておきのドレスも素晴らしく、丁寧に施された化粧も相まって貫禄すら感じる。

 そのあとにも、ネイブ、サマンサ、アリンと主だった店の売れっ子たちが続けてお酌。

 受けるボルドの顔が真っ赤に染まっているのは、なにも酒精のせいだけではあるまい。


「すいやせん、みなして、どうしても俺の恩人に礼をしたいってことで…」


 口にして恥ずかしいが、今、食堂には、見習いの娘や下働きの娘たちも含めて、全員が顔を揃えていた。

 

「……彼女らはみな娼婦なのか?」


「へい。全員、俺の自慢に娘になりやす」


 俺の断言に目を白黒させるボルドだったが、どうやらステージの準備も整ったらしい。

 真っ黒い衣裳を着て道化染みた動きで、それでも素晴らしい音色で楽器を奏でるのは、例によってのサイベージ。

 それに合わせて壇上では踊り子の衣装を着た娘たちが舞い踊る。

 ボルドだけに捧げるステージだ。


「別にたいしたことをした覚えがないおれが、恩人などと…」


 店を挙げての全力の歓待に、ボルドは尻込みするように呻いた。

 しかしどっこい、その台詞は聞き捨て出来るはずもねえ。


「いやいや、あの時に掛けて頂いたお情けは、つくづく骨身に染みていやす。もし、あの機会にあんたに出会わなければ…」


 傷ついた身体は癒せるだろう。

 心も同様に癒せるはずだ。

 だが、一度でも完全に壊れ切ってしまったものは、どう頑張っても元には戻らない。

 

 あの牢獄の晩、俺の心は完全に擦り切れる寸前だった。

 もしボルドに人間らしい対応と情を見せてもらえなかったら、間違いなく圧し折れていたことだろう。

 よしんばあのあとに助け出されたとしても、いまこうやって宴席を設けられるほどに、以前と同様なくらいまでに回復出来たとは思えない。むしろ半ば廃人みたいになっていたのではなかろうか。


 俺は潤む視界で“石頭”と称した謹厳実直な男を見る。

 あの時の彼の行動は、俺にとっての値千金。いや、黄金以上の価値を持つ。

 その礼を尽くすべく、ようやっと店に招くことが出来た今日。

 こういっちゃなんだが、俺は彼に長年の知己のような友情を抱いている。


 どうにか娘たちの酌も一巡し、ステージも済んだ。

 なおヒラヒラと煌びやかに娘たちが立ち振る舞う中、俺はボルドに訊いておかなきゃならないことを思い出す。


「そうそうボルドさん。今晩の泊り先はどうしやす? 一応、この街の宿も押さえてありやすが、移動するのが億劫ってんなら、うちの店に泊まるのも問題ありやせんぜ?」


「そう……だな。せっかくだから、こちらに泊めてもらおうか。朝風呂も入らせてもらいたい」


 おやおや、どうやらうちの店の温泉を気に入ってくだすった様子。

 嬉しいですねえ、なんて呟きながら、俺が次にこそっと訊ねた方が肝要だ。


「それで、今晩はどの娘を抱いてみますか?」


 ブーッ! と盛大に酒を噴くボルド。


「ゴホッ! ゴホッ…! そ、そんな女を抱くなど…!」


「いえね、元々ここは娼館ですし」


 咄嗟に二の句を継げないでいるボルドに、俺は笑いかける。


「なんでしたら、ねえ? 二人同時を相手にってのも構いやせんぜ? もし自信がおありなら、一晩かけて何人でも…」


「い、いやいやいや! 少し、待ってくれ! 考えさせてくれ!」


 こちらに手を翳して狼狽してくるボルドに、俺はゆっくりと答えを待つ。

 どれくらい待っただろう。

 顔は赤いまま例の実直そうな唇を引き結び、彼は言った。


「…正直、気が進まんのだが」


「どうしやした? 何か不調法でも…?」


「いやいやいや! そちらに落ち度はない! だが、おぬしが娘と称したことにな…」


 言われて、俺はポンと手を叩く。

 確かにウチの娘たちの年齢を鑑みれば、ボルドにとっての実の娘と大差ないかも知れない。

 それをどうぞ誰でもご自由に、なんて言われちゃ、人によっては躊躇うわな。

 だけど、結局男ってのは、どこまでも若い娘を好むってもんじゃないのかねえ…?


「わかりやした。ウチの娘たちじゃあ気が引けるってんなら、この街には他に幾つも娼館がありやす。ヒエロにご滞在中は、どこでもご自由に利用してみてください。そこで俺の名前を出して貰えば…」


 予め方々の店に話は回しているので、ボルドは存分にロハで遊べるはずだ。


「う、うむ。だが、今日は疲れて少し飲み過ぎた。それは明日以降の楽しみに…」


 あからさまな尻込みと逃げ口上だったが、俺は笑わない。

 元から据え膳を出されて目の色を変えたからとて軽蔑するつもりもないし、逆に益々その実直さが心地よく思えるほどだ。

 

 そんな風に縁もたけなわの頃。

 二階から、一人のエルフが姿を現す。

 淡々と階段を降りてくるだけなのに、毎度毎度なんとも言えない雰囲気があるぜ。

 

 思い切り着飾った娘たちと対照的に普段着のままの彼女だったが、その美しさは引けを取らない。

 白磁の、それこそ黒子一つシミ一つ見当たらない白い顔を軽く傾げ、彼女は俺たちの前に立つ。


「紹介するぜ。俺の大恩人のボルドさんだ」


 俺が席を立って指し示せば、エルフ―――ミトランシェはじっとボルドを見つめている。


「こ、こちらの方は…?」


「あ、俺の女房になりやす」


 ごっつい鎧と大剣を引っ提げて処刑場に殴りこんできた彼女だったが、ボルドがじっくりとその機会を見てなかったかも知れないな。


「あなたが、この人を助けてくれたの?」


「ええ、まあ、はい」


 エルフを女房にしていることに驚いたのか、その美貌に面食らったのか、ボルドの返事も曖昧だ。


「…ありがとう。これは御礼」


 そういってミトランシェは無造作に腕から外したものを彼に渡す。

 それを見て、今度は俺が酒を噴く番だった。

 

 腕輪に嵌まった碧色の深い色合いの宝石は……って、以前にヨルグにも渡した碧命石とかっていうやつじゃねえか!!


 なんでも偉く希少な代物だったらしく、ヨルグから買い取ったビッテンハイブが競売にかけたところ、北領の素封家が金貨2000枚もの値で競り落としたそうな。

 笑いが止まらないビッテンハイブだったが、さすがに後ろめたかったのだろう。後日、ヨルグの教会に金貨100枚ほど喜捨したとか。


「おまえ、さすがにそれは……!」


 俺が咎めるような視線を向けると、ミトランシェは無言で着ている服の袖をまくった。

 すると、同じ腕輪が、彼女の二の腕の左右に二つずつ。


 ……俺の女房が、俺よりはるかに資産家だった件。


「ど、どうした? これがどうかしたのか…?」


 困惑する風のボルドに、


「……いえ、どうか奥方にでも贈ってやって下さい。そんで、どうしても二進も三進も行かなくなったときは、売って家計の足しにでもして頂ければと」


 正直、金貨2000枚なんざ、街中にデカい家を建てても釣りがくるほど。

 下手すりゃ一生働かないで暮らせる額だが、まあ、この御仁のことだ、身を持ち崩すような使い方はしないだろう。


「奥方……か」


 誰ともなく呟き、彼の表情が曇ったのを俺は見逃さない。


「あれれ、ボルドさんは独身でいらしたんで?」


「いや、結婚していたさ……」


 その声の響きに、俺は触れられたくない話題であることを悟る。


「そいつは失礼しやした。でしたら、誰か意中の人でもいれば渡しておくんなさい」


 敢えて明るく言えば、ボルドも陽気に応じてくれた。


「ああ、そうさせてもらおう」







 







 感動の再会から一夜が明けた。

 さすがに今日から娼館を通常営業だが、俺のボルドに対するもてなしは彼がヒエロに滞在するあいだ続く。


「おはようございやす。朝風呂をご一緒にいかがです?」

 

 結局、昨晩は一人で床についたボルドだったが、頭をフリフリ俺についてきた。


「ひっと風呂浴びて目を覚ますのもいいですが、朝っぱらから迎え酒ってのアリですぜ?」


 一緒に浴槽に浸かりながら、今日の予定を提案する。


「うちの店は宵っ張りですからね、みんなして飯を食うのは、朝の時分というより昼時になりやす。

 それまで待ちきれないってんなら、そうですね、お勧めはロマの食堂の串焼きですが、大通りの屋台のソーセージとかもたまりません」


「そいつは何とも……朝っぱらから飲んだくれてしまいそうだな」


 一晩過ぎ、ボルドの屈託もなくなってきたようだ。喋る言葉もだいぶ気安いものになっている。


「昨晩も言いましたが、『跳ね橋の塔』って宿に部屋を取ってありやす。荷物はうちで預かっておいてもいいですが、一度、御覧になって来てはいかがです?」


「そうだな。まずはそうさせてもらおうか」


 入浴を終え、ボルドも泊まった部屋に戻って出かける身支度をしている。

 彼を待つ間、手持無沙汰で食堂にいた俺だが、そこで珍しい顔を見つけた。


「おう、珍しいな、エルチじゃねえか!」


「あら、旦那。おはようございます」


 彼女は俺の店の創成期のメンバーで、今は娼婦を引退して市井で暮らしている。

 そんで、この街の市民が俺の店の温泉を利用しにくるのは良くある話だ。

 近隣の娼館の娼婦たちも利用していて、昨晩は男風呂こそ貸し切りにしたけど、女風呂はそのまま開放していたしな。


 なのにエルチは滅多に姿を見せることはなかった。

 なんでも、店先でかつての馴染みの客と鉢合わせするのが気まずいんだとよ。

 だが、昨晩は俺の店が貸し切られている、ってことをどこからか聞きつけて、今朝、利用しに来てくれたに違いない。


「それに、旦那を助けてくれた方にご挨拶も、って思ってね」

 

 軽く小首を傾げるようにするエルチは、まだ渇き切らない洗い髪が艶やかだ。

 思わず押し倒してしまいそうな婀娜っぽさに、なるほど、こんな姿を見りゃあ、前の馴染みも理性が吹っ飛ぶわ。


「おまえまで挨拶してくれるってのか? 嬉しいねぇ」


 こういう義理堅いところがエルチにはある。店の娘たちにもよっくと見習えとは言っているのだが…。


「オズマ殿?」


 背後から声。

 振り返れば、俺が準備しておいた衣服に着替えたボルドが。


「おお、似合っているじゃないですか」


「心遣い、痛み入る」


 なんとも実直そうな物言いで軽く頭を下げたあと、ボルドはエルチに気づいたようだ。


「…こちらの方は?」


「ああ、こいつは…」


「エルチと申します。旦那の恩人にお目にかかれて光栄ですわ」

 

 湯上りで大して化粧を施してないはずの顔に、気品すら漂う。

 後ろにまとめていた髪の一房がはらりと頬を流れる姿には、はっとするような色気がある。


 挨拶された方のボルドを見れば、両目をかっぴらいて硬直していた。


 …おいおい。こいつはひょっとして…!?


「っと、すみません、ボルドさん。俺ァちょいと用事を思い出しまして」


「う? うん?」


「替わりといっちゃあなんですが、こちらのエルチに街を案内してもらおうかと」


 目を見張るエルチの方を向いて立ちはだかり、ボルドには見えないようその表情を俺の背中で隠す。ついでに目と鼻と口を盛大に動かして、無言でエルチに歎願。

 

 ふう、と溜息をつき、エルチは俺の言いたいことを察してくれたようだ。

 俺の傍らを通り過ぎる刹那、小声で耳打ち。


 ―――この貸しは高いわよ?


 ―――かっちけねえ。恩に着るぜ。


 まるで現役時代の頃のように表情をコロリと変えて、エルチは朗らかにボルドへと笑いかける。


「よろしければ、わたしに街を案内させて頂けますか、旦那さま?」


 対して、茹蛸うでだこみたいに顔を真っ赤にした石頭の御仁の返答はこうだ。


「う、うむ。こちらこそ、是非ともどうか、よろしくお願いする…!」

 

 




 時に俺は、人の恋路を邪魔する気なんてさらさらない。ましてやそれが恩人とあらば言わずもがな。

 なのにボルトとエルチを見送ったその足で、二人の後を追う羽目になったのは、今俺の隣にいるハーフエルフのせいだ。

 艶やかな翠色の髪を持つ、十人中十人は別嬪と認める美貌。

 時折、自分の血を引いてるのが疑わしく思えることもあるコイツは、間違いなく俺の娘だ。


「おい、マリエ。こんな出歯亀染みた真似はよしとこうぜ」


「ね? あっちの人が父さんを助けてくれた人なんでしょ? なんでエルチ先生と一緒に居るわけッ!?」

 

 駄目だ。聞いちゃいねえ。

 どころか、やたらキラキラした目で俺を見て来やがる。

 

 なんでこんな珍妙な覗き魔みたいなことをしているかと言えば、ボルドとエルチ二人が店を出たタイミングで、マリエが俺を尋ねてきたことによる。

 マリエなりに、俺の恩人に一目だけでも会って挨拶して筋を通したかったとのこと。

 だが、そこに娼婦の指導役として百戦錬磨のエルチが居合わせ、しかも二人して仲良く歩いているもんだから持ち前の好奇心が爆発。あとをつけてみる気になったらしい。

 そんで、その興味津々で尾行を始めたマリエに気づいた俺が、彼女を止めるべく追いすがったはずだったのだが…。


「うは、隣のあの人の足取りの危なっかしいことといったら!」


 大喜びのマリエの尖った耳の先端がピコピコと動き、俺は眉を顰める。

 今のボルドの足は、まさに浮足立つって感じだ。


「あ、ロマの店に入った。行くわよ、父さん!」


「おいおい、だから目立つ真似をしちゃあ…!」


 俺の抗議を受け流し、どころか俺の服の袖を引っ張り、マリエともどもロマの飯屋に滑り込む。

 奥のオープンテラスの席に行ったボルドとエルチを横目に、マリエは離れた手前の席を確保。


「串焼き三つにエールを二つ!」


 注文を取りにきた給仕に矢継ぎ早の声を放る。それでいて視線はボルドたちの席に釘付けってんだから大概だ。


「そんな野次馬みてえな血走った目をしていると、エルチに気づかれるぜ?」


 実際にエルチは鋭い。まあ、女のカンってのは、男にとって切れ味抜群の魔剣みたいなもんだよな。


「わかってるわよ!」


 視線はあくまで二人に固定したまま、マリエは何事かを呟く。

 ざわっと首筋を撫でられたような気がした。続いて全身を何かに優しく包まれたような感触。

 不審に思っていると、マリエの手の中で青い燐光を放つ小さな蝶が羽ばたいている。


「これで、よっぽど目立たないかぎり大丈夫」


「おまえ、精霊魔法を使ったのか!?」


 エルフが精霊魔法を行使するのは自明だが、ハーフエルフもまた同魔法を操れる。

 だが、人族の血の比率が高いと、行使する技量に大きな差が生まれるとか。

 幸いなのかどうなのか分からないが、エルフの血をより強く引いたマリエの精霊魔法は達者もんだ。

 

 風や光の精霊を使役し、周囲の情景を移し替えたりして視覚と認識を歪めるのはエルフの十八番オハコだ。

 彼女らの住処が隠れ里と称されるのも、精霊魔法で隠蔽されているからだという。


 だからって出歯亀に使うってのはどうなんだ?

 

『ところで、ボルド様はオズマの旦那に言われてこの街へ?』


 おまけに、離れた席のエルチの声まで風の精霊が運んでくれる至れり尽くせりかよ。

 

『ま、まあ、そんなところだ。…申し訳ないが、様付けはよしてくれるとありがたい。こちらはそんな偉い人間ではないのだから』


『それは不調法しました』

 

 愛想よく笑うエルチは、まんま現役の頃の手管を使ってるようだ。

 かつて、あの笑み一つでどれだけの男を手玉に取ったもんか。


 そんな風にひっそりと様子を伺う俺に、陽気な声が降ってくる。


「これはこれはオズマさん! うちに食べてに来てくれるのは久しぶりじゃないですか!」


 片方の手にエールのジョッキを二つ、もう片方の手の大皿。

 丸顔に声とおんなじ陽気な笑みを浮かべ、ビール腹も福福しいこの店の店主であるロマが立っていた。


「こっそりと注文なんて水臭い。これはサービスですよ!」


 でん! とテーブルの上に置いた大皿の上はこの店名物の串焼きがてんこ盛り。

 普段ならありがとうよ、と礼と与太話の一つも飛ばす俺だったが、今はさすがに間が悪い。

 そして、俺がしーっ! と唇に指を立てるより早く、マリエが動いていた。

 手に持っていた青い蝶を飛ばし、たちまちロマの口に封をする。


「悪いけど、ちょーっと静かにしていてもらえないかしら?」


 声を出せずに目を白黒させるロマに対し、艶然と微笑むマリエ。


 俺の元いた世界にゃ『好奇心は猫を殺す』という諺があったが、こっちの世界じゃてめえの好奇心を満足させるために猫どころか人食い獅子マンティコアをブチ殺すのがハーフエルフの流儀だ。


「…申し訳ねえ。ちいとばっか俺らのことは放って置いて貰えるかい?」

 

 どうにか魔法から解放したロマに言い含めると、やはり目を白黒させたまま厨房へ退散していく。

 この騒ぎにも関わらず、ボルドとエルチはテーブルで談笑をしていた。

 こいつは精霊魔法が凄いのか、はたまた運が良いのか。

 

 そんで肝心の精霊魔法を行使したトンチキといえば、興奮に頬を染め鼻息も荒く、串焼きの肉を盛大に食いちぎっている。


 …こんなやつを将来嫁に貰ってくれる野郎はいるもんかね?

 男親として、俺も少しは心配せにゃならんか。



 

 ボルドとエルチは当たり障りのない世間話をして朝食を終えたようだ。

 店を出る二人のあとを更に追いながら、マリエの野郎、露骨に舌打ちを響かせている。

 どうも期待するような艶っぽい話は聞けなかったことが不満なようだが、朝日が燦々と当たるテラスでそんな雰囲気になるもんかっての。


 そしてまだ朝の時分となりゃあ、ここヒエロの町の様相も変わる。

 早朝こそ娼館に泊まった冒険者や客たちで混みあうが、夜通し営業していた店は今は軒並み閉まっているわけで、大通りも静かなもんだ。

 もっとも一歩裏路地に回れば浮浪者同然の冒険者崩れが寝転んでいたり、行く宛てのない浮浪児の姿も見かけることがある。

 それでも衛兵が巡回し、無暗に死体が転がっていたりしないあたり、そこそこ治安が良い場所とも言えるだろう。

 

 なので、結構観光客も多い。

 地方の村や町の連中が、お伊勢参りよろしく一生に一度は皇都を見たいと、元の世界でいうところの観光ツアーみたいなもんが存在する。

 そこそこ歴史のある皇都ロノキアを見物したあと、旦那衆が揃って寄って帰るのがここヒエロって寸法だ。

 ヒエロに開く土産物屋もそのへんを心得ていて、如何にも皇都土産でござい、というシロモノを2割がけくらいの値段で店先に並べている。

 

 ボルドたちが次に立ち寄ったのはそんな土産物屋の一つだった。

 といっても露天ではなく、きちんとした店構えの中流店というやつである。


「よしッ! そこで何か贈り物をするワケね!」


「いや、会ってそうそう、そんな気障な真似が出来る御仁じゃねえよ」

 

 あとを追って店の中へと入っていくマリエの肩を抑えるが、抑えきれない。

 ずりずりと半ば引きずられるようにして俺も店の中へと入れば、なにやら棚のところで物色しているボルドと説明をするエルチの姿が。

 見た限り、またそんな気安い感じじゃないか。

 普通、会ったばかりでそこまで馴染めるもんじゃないだろうが、エルチは初見の客を接客だけでメロメロにする百戦錬磨。そのことを知っている身としては、俺も色々と思うことがある。

 

 純粋に、恩人であるボルドに記憶に残るほど楽しんでいって欲しい。

 だからといって、エルチに道案内はともかく閨の相手を命じるほど、俺も礼儀知らずじゃねえ。

 そりゃあ俺が頭を下げればエルチも承諾してくれるかも知れないが、彼女はとっくに娼婦を引退した身だ。

 義理を絡めて迫るのは仁義破りもいいとこで、俺の主義じゃないからな。


 ならば、エルチをモノにできるかはボルド次第―――って見守っている俺は、だいぶこの町の流儀に染まってしまっていることに気づいた。

 ったく、男と女が二人並ぶと寝るのが当たり前って考えちまうのは、いわゆる職業病ってやつかね? 


 思わず俺が苦笑していると、店主であるハロルドが話しかけてきた。

 ちょいと懐が暖かい連中に客層を絞った店構えで繁盛させているやり手だ。

 だけに、目敏く察しも良いようで、やおら声を潜めるとこう言ってくる。


「これはこれはオズマさん。奥方への贈り物をお探しですか?」

 

 咄嗟に返答に詰まる俺。

 横にいるマリエを見りゃ、いつもの目立つ黒曜鳥の色をしたドレスの上に野暮ったいローブを着て、出がけに店先の見習い娘から毟った頭巾を目深に被ってやがる。

 エルフ特有の長い耳だけは隠せてなくて、何やら俺とこっそり歩いているとなれば、そりゃあ勘違いされても仕方ないか。

 俺がエルフ―――ミトランシェを女房にしているのは、ここしばらくですっかりとヒエロに広まってしまっている。

   

 一方で、子供であるマリエがいることは秘密のまんまだ。俺が言葉に詰まった理由はここにある。

 そしてそのマリエは、俯いた格好でそっと俺の右腕に寄り添ってきた。

 そうかい。そうしろってかい?


「…まあな。とはいっても、冷やかすばかりで申し訳ないが」


「いえいえ。見て頂いて、何かご入用なものがありましたら」


「そんときは改めて声を掛けさせてもらうぜ」


「それではどうぞごゆっくり」


 慇懃に頭下げてハロルドは去る。

 ほっと胸を撫でおろす俺の横で、マリエが少しだけ顔を上げてニヤニヤと上目遣い。


「あたしと父さんで夫婦に見えちゃうわけ?」


「エルフを娶るってのはこういうコトさ」


 面白そうなマリエに取り合わず俺はボルドたちの行方を視線で追う。

 おっと、何か買って会計をしようってところか。

 マリエの頭を押さえつけて売り台の影へ。


「ちょっと! 父さん! 何を買ったのか分からないじゃない!」


「んなもん、ボルドたちが出てから店員へ聞きゃあいいだろうが」


「ああ、そっかー」


 素直に感心するマリエは、頭ん中のミソが足りないとは言うまい。

 膨れ上がった好奇心のおかげで視野狭窄を起こし、遠目に見つけたドラゴンを興味津々で眺めたまま崖に転落したハーフエルフもいたそうな。


 ボルドたちの後に付くように、俺たちも再び大通りへ。

 ちなみに店員に訊いたところ、ボルドが購入したのは益体もない木彫りの置物だった。


 肩を並べて歩く二人を眺めれば、町はそろそろ活気づく。

 もっとも歩いているのはいわゆるカタギの人間ばかりだ。 

 野菜を籠いっぱいに背負う老婆。お使いに急ぐ丁稚。荷物を満載にした馬車を引く御者。

 あとは観光客や今日の仕事にあぶれた冒険者の姿も見かけるが、真昼間のヒエロにそれほど見るべき場所もない。

 飲んだくれる場所にこそ事欠かないが、劇場が開くのは昼過ぎだし、大道芸や露天が本当の賑わいを見せるのは夕方近くになってからだ。


 なので当然というかボルドたちが向かったのは、アルペン橋の近くにある宿『跳ね橋の塔』。

 ここいらでも指折りの高級店だ。


 ボルドはボルドでここに投宿する支度をし、エルチだって自分の仕事があるだろう。

 昼前でちょいと早いが道案内もこれにて終了ってことか。


「ちぇっ、つまんないの!」


 露骨に舌打ちするマリエに、俺はなんと言っていいのやら。


「おめえな。人様の後を付けるって行儀の悪い真似して、何の得があるってんだよ?」


「そんなの、あのエルチ先生が男に言い寄られてるのよ? フるにしてもナニするにしても、めちゃくちゃ面白そうじゃないの!」


「………俺ァそろそろヤサに帰るぜ。おめえもとっとと店に戻って夜の支度でもしろや」


「み、見て見て父さん!」


 言われてみれば、ボルドとエルチが並んでいたところに、フードを目深に被った冒険者のようなやつが声をかけていた。


「ひょっとして修羅場? これが修羅場ってヤツ!?」


 大喜びのマリエに、いいや待て待てと俺は目を凝らし、どうもあのフードの野郎、先日門前でボルドを出迎えたとき、彼の隣にいたやつじゃないのか?


「そいつは早とちりだ、あれは多分、ボルドさんの知り合いで―――どうしたマリエ?」


 マリエが俺の方を向いて硬直していた。

 彼女の視線は俺ではなく、俺の肩越しに背後を見ている。

 なので俺も振り返り、娘よろしく硬直する羽目に。


 大通りを土埃を立てて一直線にこちらに走ってくる人影。

 手にもった大剣を肩に担いで険しい表情を浮かべているのは、俺の女房エルフのミトランシェじゃねえか!


 俺の脳裏に色々な映像が駆け巡った。

 走馬灯に近いものだったかも知れないが、おかげで俺は女房がこっちに向かって爆走してくる理由に思い当たる。


 エルフってのはすこぶる執念深い。そこにつがいを得ると、嫉妬深いってまでが追加される。

 そんでもって今の俺は、恩人のボルドをもてなすって理由で、女房から一時的に解放されているみたいなもんだ。

 そんな俺が今こうやってマリエと連れだってボルドたちを尾行しているわけだが、周囲にはマリエが娘であることは伏せている。

 となりゃあ、街中で俺らを見かけた誰かは、ハロルドよろしく俺と女房が一緒に歩いていると思い込む。

 そんな噂がミトランシェの耳に入ったとすれば。

 女房である自分がここにいるのに、俺と一緒にいるエルフは誰? ってことに。

 

 ……一度エルフと情を繋いでおいて、浮気して刃傷沙汰になった、という話は聞かない。

 一方的な殺害事件へと発展するのがこの世界の常識だ。


「おい、よせ! こいつはマリエで…!」


 俺は必死の形相で手を振る。

 しかしミトランシェは止まる素振りすら見せない。

 硬直して半ば失神しかけているマリエの前に立ち塞がり、『南無三!』と目を閉じる。

 

 風が隣を駆け抜けた。


 ハっとして振り返れば、ミトランシェが大剣を振り下ろすところ。

 その切っ先を向けられたのは、例のフードを目深に被った冒険者で、やつの手にも剣が抜き払われていた。


 剣と剣が打ち合ったはずなのに、まるで石壁を殴りつけたような鈍い音が響く。

 半瞬遅れて衝撃波とでもいうべき鋭い風が前髪をゆらし、足の間を土埃が吹き抜けていく。

 

 呆気に取られていたのは俺だけじゃない。

 エルチは腰を抜かし、横のボルドに支えられていた。

  

 そんな二人の目前で、ギリギリと鍔迫り合いをしているミトランシェ。

 撃ち込まれた大剣と受け止めた剣の間で、じゃりじゃりと火花が散る。

 その迫力も去ることながら、別の意味でこの光景に俺は目を見開く。


「…!?」


 さきの一撃のせいか、フードが捲れていた。

 剣から迸る青白い火花に照らされる、露わになった冒険者の顔は。


 エルフ特有の尖った耳。秀麗な容姿。

 そして―――褐色に輝く肌。


「ダークエルフだぁ…!?」



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