嘘つきな冒険者の話

 


 店の前に出ると、看板を磨いていた見習い娘が泣きそうな顔で俺を見てくる。

 

「支配人さん…」


 彼女の前には一人の衛兵が。

 胸を反らし肩をピンと張っている姿は、果たして誰を威嚇しているものか。

 俺は目を細める。憤慨した様子で娘を見下ろす若い顔は、今まで見たことがなかった。 


「これはこれは衛兵さん、どうされました?」


 俺は腰を低くして話しかける。


「貴様がこの店の主か?」


「へい。当娼館の主人、尾妻連太郎と申しやす。どうぞお見知りおきを」


「ふん。貴様の店の使用人は全くなっていないぞ」


「と、申されますと?」


「俺が目の前を通ったというのに挨拶もせんとはどういう教育をしているのだ? 新任だからといって舐めているのか!」


 …そりゃ顔も知らない新任だからこそ、でしょうよ。


 喉まで出かかった台詞を飲み込み、俺は精一杯申し訳なさそうな表情を作る。

 

「そいつはとんだ不調法をいたしやした。ほれ、おまえも一緒に。これこの通りで」


 泣きそうな娘の頭を抱え込むようにして、一緒に深く頭を下げる。


「今後はしっかりと仕込んでおきますんで、堪忍してやってもらえやせんか?」


 さりげなく娘を背中に庇うようにして、そっと店の中へと押しやる。

 ペコペコと頭を下げ続ける俺に、ところが衛兵は立ち去ろうとはしない。

 

 ははあ、そういうことか。


 俺は頭を下げたまま、彼との距離を詰めて囁く。


「取り合えず、本日の不調法のお詫びと新任のお祝いということで。これで酒の一杯でもどうか」


 懐から取り出した銀貨を一枚渡す。


「…む」


「今度は是非、店の方もご利用なさって下さいな」


「そうか。そういうことなら今日の所は勘弁してやろう」


 衛兵は手の中へと銀貨を握り込んで、


「それではまた来るぞ。今度はしっかりと挨拶を守らせるんだぞ」


「はい。今後ともよしなに…」


 衛兵の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けて、それから顔を上げて俺は思い切り呆れる。


「ったく、下手くそな野郎だな、おい」


 衛兵が馴染みの店やちょいと怪しい商売をしている店に袖の下を要求するのは、別に珍しいことではない。

 その分、御目こぼしや何かしらの便宜を図ったりしてくれるという暗黙の了解ってやつだな。

 

 だがさっきの野郎は、やり方が粋じゃない。

 この街に来たばかりの新任とはいえ、あんな難癖付けて金を要求するなんざ、まるっきりヤクザじゃねえかよ。


「いくら色街ったって、役人も箍を外しちゃあ締まらない。―――そうでしょ、旦那?」


 俺は斜め後ろを振り返る。

 すると、路地の影から、のっそりと一人の男が姿を現した。

 酒焼けした頬に無精ひげ。身に着けている制服は随分とくたびれているが、先ほどの衛兵と同じもの。

 

「なんだそりゃ。嫌味か?」


 ふああ、と大きな欠伸をする。口に咥えた串焼きの串が、危ういバランスでぴょこぴょこと動く。


「滅相もありやせんぜ、カムラの旦那」


 腰を落とし慇懃に頭を下げる俺。


「ふ~ん、そうかよ…」


 胸元あたりに手を突っ込んでぼりぼりと掻くこのカムラという男は、ヒエロでは最古参に位置する衛兵だ。

 常に眠そうな顔つきで酒臭い姿はお世辞にも上品とは言えないが、不思議とこの街の猥雑さにしっくりくる。

 勤務態度も見回りと称してブラブラと歩いているだけで、万年ヒラのごく潰しと思われちゃあいるが、これでどうしてなかなか―――。


「時に旦那。何か面白い話でもおありで?」


「ん~? そういやオズマんとこでも、『赤目』とかって言葉、聞いたことがあるかい?」


「ほう! 赤目ですか!」


「なんでも、でけえ徒党が絡んでいるって話らしいが…」


 明後日の方へ視線を飛ばし、独り言のように呟くカムラ。

 俺はもう一度丁寧に頭を下げると、そっと彼の手に銀貨を三枚握らせる。

 

 ごく自然な動作で懐にそれを仕舞い込むと、カムラは俺に背を向けた。

 片手を上げながらそのままブラブラと人波に飲まれて見えなくなる。

 全てをさりげなく済ませたあれこそ粋ってもんだぜ。


「はてさて、赤目ってなんのことでしょうね?」


 ひょっこりと俺の横に黒衣を着た痩身が立っていた。いつの間にか俺の店に居着いたこのサイベージって野郎は、正真正銘のごく潰しである。


「てめえ、いやがったのか?」


 まあ、こいつの神出鬼没ぶりは今に始まったこっちゃないか。

 そいつを伴い、店の中へ戻りながら俺は低い声を出す。

 

「最近、界隈で出回っている薬があるのさ。服用してから交合えば、野郎は精力絶倫、女は感度抜群になるって触れ込みで、実際にそういう効果もあるみたいなんだが…」


「…それって大丈夫なヤツなんですか?」


「そう都合の良い話なんてあるわけねえよ」


 短く吐き捨てる。

 そもそも薬ってのは、作用があれば必ず副作用ってのがあるのが当然だ。

 飲まなければそれに越したことはないのだが、昔っから色街と薬ってのは切っても切れない関係にある。避妊薬から始まって、性病に対する治療薬。いわゆる機能回復改善薬に、閨での互いの感度を高める媚薬ってな具合でな。


 そして最近、新しい媚薬って触れ込みで、巷間に出回っている薬があった。

 効果は前述通りだが常習性と依存性が高く、服用出来ない期間が長引くと、発狂したかのごとく暴れ回るとか。

 その時の服用者の目が赤く染まるところから、この出どころ不明の魔薬は通称『赤目』と呼ばれていた。

 

 ちなみに魔薬ってのは麻薬の誤字じゃないぜ?

 こっちの世界じゃ普通に薬を調合した上に魔法も処方したりするものだから、その効能の突飛さや中毒性は、元いた世界の麻薬と比較にならないほどだ。

 当然、そんな物騒なモンは、国を挙げて取り締まるもんなんだが…。


「しかし、徒党が関わっているってか」


 こと物流に関しては商人に一家言があるだろうが、依頼に応じて国内を縦横無尽に行き来できるのは冒険者の方になる。

 徒党を隠れ蓑にして魔薬の運搬と密売ってのは、なるほどと頷ける話だ。

 何よりカムラの旦那が言ったってことは、まず本当マブネタだろう。

 

 問題は、どこの冒険者たちが悪事に加担しているのか?

 この国の冒険者の数はそれこそ膨大で、輝かしい実績を誇る徒党など王族の覚えが良かったり、パトロンに貴族がいたりする。

 そんな大物が背後に控えていると司直の手も及び腰になるわけで、こりゃ一筋縄ではいかないかも知れないな。

 無論、俺の店では、客に薬の持ち込みや勝手な使用はご遠慮頂いて、娘たちの方も、如何に勧められても絶対に断るよう厳守させているが…。

 

 店の中じゃ、さっきの娘が所在なさげに佇んでいた。

 気にするな、次からは気をつけろよ? と頭をぐるりと撫でてやる。

 そのまま奥に視線を飛ばせば、なにやら着飾ったレネットが小走りでやってきた。


「おうおう、随分と召かし込んでいるじゃねえか」


 基本的に娼婦は店にやってきた客に指名をされて、時間ごと、もしくは丸々一晩といった感じで買い上げられる。

 だが、前日に予め話を通しておくことで、店の外に娼婦が客を出迎えに行くサービスもあった。

 

 娘たちは予約した客と外で芝居を観たり買い物をしたり食事をしたり。

 それら諸々を済ませてから二人で娼館にやってくるのは、いわゆる同伴出勤ってやつだな。 

 

「そうかしら? どこか変なところはありませんか?」


 軽く小首を傾げると、サラサラと髪が流れる。

 だいぶこの商売を続けて長いはずなのに清楚さと透明感を失わないレネットは、うちでも五指に入る人気の娘だ。


「ああ、今日も別嬪さんだぜ。道々、変な男に声かけられないよう気をつけな。人気ひとけのない場所へも近づくんじゃねえぞ」


「ありがとうございます。行ってきますね」


 にっこりと笑いレネットは足早に店を出ていく。

 見送って、俺は少しだけ不安になったのは、さっきのカムラの旦那の話が引っかかっていたからだろうか。

 大通りを歩く分には明るいが、一歩路地裏へと回れば灯りも届かない場所があちこちに。

 喧噪と華やかさの影で、決してこの街の治安も万全じゃなかった。

 顔見知りも多いし、そりゃあ滅多なこともないだろうが、俺はいつも娘たちに口を酸っぱくして気を付けるよう言い聞かせている。

 だからこそ、衛兵さん方に頑張って貰いたいもんだ。せめて袖の下ぶんくらいは働いてもらわないとな。





 そんでレネットの話である。

 彼女と仲良く腕を組んで店に入ってきた客の名はサファン。

 ここしばらく、レネットをたびたび指名していて、本日めでたく店外デートと同伴出勤となったわけなのだが。


 客と同伴で娼館に来て、真っすぐ娼婦の部屋にしけこむとは限らない。

 たいていは食堂などで、これみよがしに軽い食事や酒を楽しむ。

 

 客は客で、目当ての嬢のために張り込んだことを周囲に誇示したい。

 嬢の方も、仲間の娼婦たちに買って貰ったアクセサリーなどをさりげなくアピールする。


 そんな風に周囲にさんざん見せつけるのは、大枚はたいた客の特権だわな。


 ところがその日は少し様子が違った。

 

 満面の笑みを浮かべたレネットが、サファンに腕を絡めて食堂まで入ってくる。

 サファンという男は歳は30前後なのだが、鬱陶しいくらい長い前髪を斜めに流し、襯衣シャツの胸元のボタンを外して着崩している。

 両手には彼のトレードマークと言うべき真っ白い手袋をしているので、まるでエセ貴族さまのような外見だ。

 本人は洒脱な格好を装っているらしいが、俺にいわせりゃ『チャラい男』にしか見えない。

 

 そんなチャラ男もいつもと同じノリに見えるが―――ああ、違和感のもとが分かった。

 レネットのやつ、笑顔のクセに目だけが笑っていない。


 二人はテーブル席に腰を下ろす。

 そこに給仕娘が料理と酒を運んできて、次の瞬間、料理ごと皿が宙を舞った。

 

 わっと起きる喧噪。


 見ればレネットのやつ、キーキーいいながらサファン目掛けて皿を投げまくっているじゃねえか。


「おいおい、どうしたんでぇ!?」


 普段のレネットらしからぬ取り乱し方に、俺は慌てて彼女を背後から押さえる。


「聞いてくださいよ、支配人さんッ!」


 涙目で振り返ってきたレネットが、盛大に料理を頭から被ったサファンを指さして、


「この人ったらね、わたしの他に、別の店の女の子たちにも声を掛けてたんですよ!」


「はあッ!?」



 ウキウキと待ち合わせ場所までレネットは行ってみれば、そこには大層な花束を抱えたサファンの姿。

 彼の前までいって嬉しそうに花束を受け取ろうした寸前、横から掻っ攫われる。

 見れば、そこに立つのは同業者の娘たち。


 『宵待ち亭』のガーネット。


 『秘密の鍵屋』のキャメリン


 『綺羅星花壇』のマリリスタ。


 歴々たる面子が、そろって「今日呼び出されたのは私よ!」と主張して譲らなかったらしい。



「…でも、結局、レネットおめえが選ばれたってことだろ?」


「そうだけど…!」


 とっておきのスカートを揉みしだくようにするレネットは、あまり納得が行っていない様子。

 すると、颯爽と髪を搔き上げる料理塗れの伊達男。


「オズマさんの言う通りだよ、レネット。ボクは、君の瞳の中に真実の光を見出したんだからね!」


 思わず、うげえ、と声を漏らしそうになってギリギリで飲みこんだ俺を、誰か褒めて欲しい。


「他の子たちも美しかったけれど、やはりボクにとって君が一番最高に美しい。

 君はまさにボクにとっての運命の女神だ!」


 なんだよ、その臭すぎて発酵しているみたいな物言いは! 

 

 くそ、やばい、腹筋が引き攣る。

 俺をしてそうなのだから、周囲の連中なんざ失笑を通り越して呆れていやがる。

 ところが当のレネットを見れば、なんともテレテレとしてやがるのだから、これが分からない。


「そ、そうかしら…?」


「そうだとも。さあ、今宵も目くるめく桃源郷へと旅立とうじゃないか!」


 サファンが肩を抱き寄せれば、コテンと彼の肩にレネットが頭を預ける。

 そのまま二人寄り添って振り返ることなく二階の部屋へ上がっていっちまったのは、いっそ天晴れだわ。


 

 


 客のほとんどが帰るか嬢たちの部屋へとしけ込んだ夜半過ぎ。

 二階からの階段を、抜き足差し足で降りてくる人影がある。


「これはサファンさん。こんな遅くに何処かへお出かけで?」


 ぎくりと華奢な肩が揺れる。

 振り返ってくるサファンは、素肌の上に襯衣を被る格好。

 覗く首元や胸板には、盛大な数の口紅のあとが。ついで、白粉と香水、それと濃密な女の匂いがここまで漂ってくる。

 

「いや、その、ちょっと温泉にでも浸かろうかと思いましてねッ!」


 おそらく温泉に入ろうと出て来たのは嘘じゃないだろう。

 だが、ワタワタするチャラ男に、俺は深々と溜息をついて見せる。


「どうせ、今から他の娼館みせを梯子するつもりなんでしょ?」


「あ、ははははは…」


「そりゃあ今をときめく色男とくれば、宵っ張りで忙しいのは判りやすけどね…」


 頭を掻くサファン。

 俺にしてみればなんとも腑抜けに見えるのだが、これが娼婦たちに妙にモテるのだ。

 夕方に四人もブッキングさせたのは何の因果は知らねえが、今から必死こいて他の嬢たちのフォローに行くんだろうよ。


「だからって、ウチの娘―――レネットのことを無碍にするんだってんなら…」


「い、いやいやいや! ボクがレネットを一番と言ったのは、誓って本当ですから!」


「………」


 我ながら疑わしい視線でサファンのやつを眺めてしまう。

 というのもこの男、鼻が曲がるほどクサい台詞を平然と言うだけではなく、てめえの身の上を語りゃせりゃ膨らまし放題の嘘八百。

 ついた仇名が『ほら吹き』サファン。

 

 娼婦たちを口説く時も適当に吹きまくって、ある娼婦に訊けば「ボクは子爵家のご落胤なんだ」。別の娼婦に訊けば「エルロッカの廻船問屋の三男坊」。またある時に訊ねれば「旅の騎士に拾われた孤児」だと。

 

 今は冒険者をしている、ってことだけが本当で、こんな法螺話でも娼婦たちはコロッと騙されてしまうらしい。

 ただ、あちこちの娘に粉を掛けまくってるわりに、未だ刺されていないことは評価できるかも知れん。


「よもやと思いますが、よその店の娘にも、同じ話とかしてやしませんよね…?」


 睨むと、サファンは弾かれたように浴室へと消えた。


 はあ。こりゃあとでレネットと、よっくと話はしとかないとなあ。


 さすがにこんな適当を絵に描いたような男だ。大事な娘の相手をさせるには身の上を調べずにはいられない。

 冒険者ギルドへと問い合わせれば、幾つもの徒党を渡り歩き、今は『地竜の団』とかいうところに在籍して二年ほど。地竜の団自体は結構な大所帯だが、徒党の評判は可もなく不可もなく。そこでサファンの野郎は物資の管理や帳簿付けなどを担当しているとか。

  

『ボクは徒党の斬り込み隊長なんだ!』

『一人でバイコーンを退治したこともあるんだぜ?』

 

 こんな風に飄々と娘たちに出鱈目を吹き込むのだが、それが面白くて抱かれている娘もいる。

 アイツ個人の評判は地面に潜るだけで、まあ、出禁にするほどでもないんだよな、これが。


 俺が頭を悩ませていると、濡れ髪を引きずるようにサファンが脱衣所から出てくる。

 まさにカラスの行水だ。


「ときにサファンさん。法螺を吹くのも大概にしとかないと、いずれしっぺ返しに合いますぜ?」


 俺の忠告というか嫌味に対するヤツの返答はこうだ。


「嘘はバレなきゃ真実になるんです。そして真実は人の数だけあるんですよ!」


「………あ?」


「オズマさん。それではまた!」

 

 無駄に爽やかな笑顔を残してサファンは行ってしまった。


 …なんだかなあ。

 何か悪いもんでも拾い喰いして、三日くらい悶絶して寝込まねえかな、あいつ。


 





 


 



 冒険者の生き方ってのは刹那的だ。

 ダンジョン探索や怪物退治の依頼を終えたあとは、皆して美味いものを喰って、酒を飲み、女を抱く。

 命がけだったからこそ、いま自分たちが生きていることを実感するために享楽に耽る。

 

 武具の手入れ賃や宿代ぶんは確保しておかなきゃならないわけだが、下手をすれば明日には死ぬかも知れないこの身。

 そういや、今日一緒に戦ったアイツも死んだ。もっと生きたかっただろうな。

 死んだ連中の分も楽しもう。

 みんな、生きている今を楽しめ―――。


 そんな風に騒ぐ理由なんて幾らでも後付け出来るのだろうが、気持ちは分からなくもなかった。

 なにせこの世界には、魔法はあっても社会保障など存在しないに等しい。

 何をするにも基本的に自己責任で、失敗したからといって誰か助けてくれることなんか期待できない。

  

 膨大なリスクと引き換えの自由。

 

 自分の命を賭けるのも自由。

 

 苦労するのも楽しむのも自由。

 

 金を使うのも貯めるのも自由。


 となれば、易きに流れるのが人間ってもんだ。

 まあ、そのおかげで俺の店の商売も成り立つんだけどな。

 だが、中には、身の丈を弁えず刹那的な生き方を突き詰めようとする連中もいて、それがとんでもない問題を引き起こすことがある。



「旦那ッ!」


「どうした騒々しい」


 時刻はまだ宵の口。食堂で利用客に挨拶をしている俺に、泡喰ったサイベージが駆け寄ってきた。


「…また、出たようですよ」


 こそっと耳打ちされ、俺の表情も一気に引き締まる。

 それでも目前の客には愛想笑いをし、俺は駆け足で娼館を飛び出していた。

 向かった先は、大通りの十字路を右に曲がった奥の店。

 

 近づくにつれざわざわと人の騒めきが大きくなり、視界に飛び込んできた光景に絶句する。

 総二階建ての建物の壁一面が半壊していた。

 周囲に植えられていた花壇の花々も無造作に足蹴にされ、吊るされていた看板も片方の鎖がちぎれ無様に揺れている。

 看板に書かれているのは『綺羅星花壇』。

 つまりはここは同業者の店だ。


 崩れそうな建物の中から、毛布に包まれた娘たちが出てくる。きっとこの店の娼婦だろう。

 それを宥めるように一緒に出てきた男は、ここの店主に間違いない。


「おい、ヨーム、どうしたんでぇ、一体?」


「オズマか…」


 彼とは顔見知りだ。

 頬に煤をつけたまま、ヨームはこめかみに手を当てる。


「『赤目』だよ」


「おまえんとこもか!?」


 ここ最近、ヒエロの街の娼館で、突然冒険者が暴れ出すという事件が続いていた。

 大暴れした皆に共通するのは、揃って前後不覚で目が赤く染まっていたこと。

 例の魔薬を服用した結果らしい。


 ようやくこのころになって、おっとり刀で衛兵たちがやってきた。

 暴れた冒険者は、店の従業員と他の冒険者たちで取り押さえられたようだ。

 両手両足を縛られて引き出されたその冒険者は、まるで犬のような唸り声を上げつつ涎を零し、周囲を赤い目で睨みつけていた。

 完全に中毒症状だ。

 ここまでくると、べらぼうに高い金を払って解呪の魔法をかけてもらったとして、前みたい戻るかどうか。


「しばらく休業するしかねえが…ちくしょう!」


 ヨームが瓦礫を蹴飛ばしている。

 さっそく衛兵が色々と尋ねようとしてきたので、俺は彼から離れた。

 見舞いは後日に改めて持ってこなきゃなるまいよ。

   

 自分の店に戻る道すがら。

 さっきの出来事は決して他人事ではなかった。

 

 冒険者が、怪しげな薬にまで手を出すのは珍しい話じゃない。 

 俺の店では、予め薬を服用したり持ち込んでこようとする冒険者は利用禁止とさせてもらっているが、今回のヨームの店のやつは、全く突然に禁断症状というか離脱症状を起こしたらしい。

 赤い目になったからして魔薬を飲んだという結果論になっちゃいるが、魔薬自体がどういう形でどんな風に流通しているのかは謎のままだった。 

 

 いっそ娼館を全て閉めるって話も出たりしたが、そうなったら皆しておまんまの喰い上げだ。

 まったく困ったことになったぜ。


 確か最初は『宵待ち亭』。

 その次は『秘密の鍵屋』。

 そして今回は『綺羅星花壇』って、おいおいちょっと待て。

 この組み合わせはどっかで…!?


 そこでハッと気づいた俺は、大急ぎで店へと走る。

 大汗を掻きながら向かったのはレネットの部屋で、幸い二人目の客を片付けた彼女は鏡台に向かって化粧を直しているところ。


「? どうしたんですか?」


 俺は無言で彼女に近づき、その両頬を挟む込む。

 真っすぐ覗き込んだ瞳は、春の青空のような穏やかな色。


「あ、あの、支配人さん……?」


 今さらながら若い頬の滑らかさに驚く。

 慌てて手を離して身体を引けば、顔を真っ赤にしてレネットは身悶えした。

 

「そんな、いきなり、困ります…!」


「わ、悪い悪い。ちぃっとヨームのとこで薬で狂った野郎が出てな」


 不穏な噂は娼婦たちの間にも浸透している。

 彼女らには客が飲ませようとしても断るようにと言い含めてはいたが、娼婦が目を離した隙にこそっと飲みものに混ぜたりするヤバイやつもいて以前問題になったことがある。

 

「ヨームさんのところも…?」


 レネットの顔色が変わった。察しの良い娘であるから、俺の心配している理由がわかったらしい。

 そして折よくやってくる、その心配の種。


「レネット! 今日もその麗しい笑顔をボクに見せておくれ!」


 階下から聞こえる声に俺はげんなり、レネットは嬉しそう。

 手早く化粧を仕上げ部屋を出ていく彼女に、少しだけ遅れて俺も続けば、そこにいるのは噂の法螺吹き男だ。


「いやあ、偶然見つけた迷宮の奥で、冬眠していた火竜を見つけてね! ボクがトドメを刺してやったよ!」

 

 食堂から吹抜けの二階を見上げながら、今日もサファンはいつもの調子。

 

「地竜が火竜を退治ですか。こいつは韻を踏んでいてよござんすねぇ」


 レネットの肩越しに、嫌味たっぷりの言葉を投げかける俺。

 ところがサファンは全く気にする様子はない。それどころか俺を見てにっこりと笑う。


「そうだ、オズマさん! レネットの身請けさせてもらいたいんですが!」


「!?!?」


 この申し出にはさすがに混乱した。

 そもそも今回の『地竜の団』の仕事は、行商の護衛だったはず。

 ここしばらく野郎の姿が見えなかったのはそういうことだが、迷宮を見つけてからの火竜退治も含めて全部嘘ッパチだろ?


「…冗談にしては笑えやせんぜ?」


「いえいえ、本気ですとも!」


 臆さず真っすぐ見つめてくるサファンに、俺は益々混乱してしまった。

 口調こそいつもと変わらないが、その目つきだけはしっかりと覚悟を固めた風情なのだ。


「そうだ、手付金の替わりといってなんですが…!」


 そういってサファンはごそごそと懐を漁って、


「あれ? 迷宮で見つけた千年水晶の首飾りが…?」


 また話が一気に嘘臭くなった。

 俺がマジマジと見返すと、サファンは大げさに身振り手振り。


「う、嘘じゃないですって! 魔道具屋にでも売れば金貨300枚はくだらない…!」


「まあ、忘れてきたってんなんら、今度持ってきていただければそれで良いですがね…」


 ほわああって感じで頬を染めて立ち尽くすレネットの手前、俺は敢えて言葉を選び、ついで一計を案じる。


「時にサファンさんにお尋ねしますが、生まれの国元はどちら様で?」


「ボクの生まれ故郷ですか? なぜ訊くんです?」


 きょとんとした顔になって見返してくるサファンに、

 

「そりゃあ身請けして故郷へ錦を飾るってお大尽が多いですからね。場所によっちゃあ、一緒に行く娘の心構えも違うってもんです」


「はあ、なるほど。そういうものですが」


 存外素直にサファンは納得すると、とある村の名前を口にした。

 南東の方にある、俺も耳にしたことがある地方の村だ。


「でも、ボクはずっと皇国周辺にいるつもりですけど」


「そりゃ気が変わるかも知れませんし、将来の話は誰にも分かりません。そうでしょう?」


「そうですね。その通りですね」


 うむうむと馬鹿みたいに頷くサファンは、本当に馬鹿に見えて困る。

 ともあれ言質は取った。

 こうなったらサファンの素性を根っ子から洗ってやる。

 この期に及んで嘘をつくようだったら身請け話をご破算に出来るし、俺個人としても色々とサファンを怪しんでいる。

 さすがにこいつが魔薬と関係があるとまでは断言できないが、疑わしい芽を摘むためには手間を惜しむつもりもない。

 なんせこの世界の官憲も宛てにならない上に、無償で戦う正義のヒーローなんてものは芝居にすら存在しないからな。

 自分を含め周りを守るには、自衛するのがとことん重要なのだ。










 俺の依頼を受けて、サイベージが娼館を発ってしばらく経つ。

 やつの足ならあと3日もあれば戻ってくると見込んでいた。 

 

 ここしばらく『赤目』の被害報告もない。

 かのヨームの店も再開の目途が立って、拍子抜けするくらいに平和だった。


 そしてそんな今日。

 サファンが身請けのための前金を持参するという。


 というわけで、開店してからジリジリと待ち受ける俺だったが、サファンのやつが来やがらねえ。

 ったく、やっぱり嘘かよ。ふてえ野郎だ。

 そして、とうに約束の時間も過ぎた夜半過ぎ。


「…支配人さん」


 青い顔をした見習い娘がこっそりと俺の手を引く。

 振り返れば、以前、表で新任の衛兵に難癖をつけられていた娘―――モーナじゃねえか。


「どうした、モーナ?」


「そ、その、ゴミを捨てに裏に行ったら、支配人さんを呼んで来てって…!!」


 真っ青な顔で涙目の彼女に、またぞろあの衛兵が難癖を付けにきたのかと憤る。


「分かった。今行くぜ」


 一度くらいの無粋は許すが、二度、三度と繰り返し強請られるほど、俺はお人よしじゃねえ。

 話によっては痛い目でも見て貰おうか。


 腕まくりをしてモーナを従え、店の裏に出る。

 表通りと違って灯りもなく、閑散とした路地に人の気配がない。


「おい、モーナ、誰が俺を…?」


 彼女の震える指が差した方を見て、俺は驚く。

 暗がりに、壁に背を預けて蹲っている人物は―――。


「サファンさん!? どうしたんですか、こんなところで…!!」


「い、いやあ、ちょっと階段を踏み外しちゃって…」


 見るからにそれは嘘だった。

 切れた唇から血が滴り、腫れあがった瞼で左目がほとんど塞がっている。

 長い髪もボロボロで、普段の伊達男っぷりは見る影もない。


「事情は分かりやせんが、こんなところに蹲っていても仕方ないでしょう? いま、中に入って手当を…」


「いえ、もう手遅れです」


 サファンは腹辺りを指し示す。

 暗がりで全体が真っ黒く見えてはいたが、それは大量の血だった。

 腹部から溢れた血が、サファンの素肌を服のように染めていたのだ。

 目を凝らせば腸みたいなものまではみ出していて、モーナが目を逸らしている。

 急に鼻をつく血の臭いに、俺は一気に青ざめた。

 これほど深手を負っちゃあ、もう…!!


「…オズマさん。これをレネットに」


 震える手でサファンが懐からそれを差し出してくる。

 暗がりの僅かな光に反射する水晶のネックレス。

 俺は推し抱くようにネックレスを預かる。


「へい、確かに」


「それと、こっちはカムラさんに預けて下さい。どう使うかはあなたの自由だ、と……」


 最後の力を振り絞るように、一枚の折り畳んだ紙片を渡される。


「…どっちもあんたが直接渡しておくんなさい!」


 たまらず叫ぶ俺だったが、サファンは紙のように白くなった顔に薄い笑みを浮かべるだけ。

 これは一刻の猶予もない。

 そう判断した俺は、モーナに言いつける。


「いいか。いますぐカムラの旦那をここへ連れてくるんだ。今頃ならバッケン屋台の周辺にいるはずだ。できるな?」


 コクコクと頷くモーナの背中を押し出し、俺も店の中へと取って返す。

 サファンがなんであんな重傷を負ったのかなんて皆目見当がつかない。 

 だが、せめて毛布でもかけてやらなきゃ、もう持たない…!


 レネットに知らせるかどうか迷いながら、全力で毛布を抱えて俺は路地裏へと戻る。

 だが、そこには、重傷を負ったはずの男の姿はなかった。


「サファンさん…?」


 声がむなしく路地裏に反響する。

 急いで中から松明を持ってこさせて調べてみたが、確かにサファンが蹲っていたあたりに血だまりはあったものの、痕跡はそれだけで、完全にその姿は消え失せていた。








 徒党『地竜の団』は壊滅した。

 なんでも、拠点替わりに借りていた郊外の小屋の中を、なんか血生臭いなと近所の農夫が覗いてみたところ、全員が残らずくたばっていたそうだ。

 揃って剣やら斧やらの獲物を握っていたことから、お宝の配分を揉めた果ての壮絶な仲間割れってことで御上も決着をつけたらしい。

 この不祥事にギルトは地竜の団の登録を抹消。

 冒険者界隈の話題はこの話で持ち切りだったが、更に大きなニュースがそれを押し流す。

 

 大聖皇国東方辺境伯、メルロール伯爵の更迭。そして自裁。

 罪状は、東方の某国と結託した外観誘致罪ってことになっているが、ことの真偽を巡って皇国っ子たちは喧々諤々の議論を重ねている。

 なにせ、一歩間違えれば東方国と戦争だからな。冒険者の徒党の仲間割れなんて些末なもんだ。


 そんな目まぐるしい出来事が立て続けに起きて、いい加減に落ち着いた今日。

 俺は、その関係者の一人と、優雅に茶を口にしていた。


「ってことで。事のカラクリってもんがあるんならご教授願いたいもんだが」


 目前に座る、ベールも麗しい貴婦人。

 大聖皇国王位継承第八位、クラウディア・ディスノッケン・エルトリート。

 …ダメだ、やっぱ長すぎて言い辛いや。


「なあ、クラーラよ?」


 俺は敢えて相好を崩す。

 ヒエロの近郊に作った新しい教会の視察って建前で来たくせに、わざわざ俺を呼び出したのは彼女の方だ。

 すると、金色の瞳が一瞬険しくなる。


「色々とレンも勝手に嗅ぎまわっているようだけど?」


 キツイ口調だったが、表情は昔の彼女に戻っている。


「嗅ぎまわるって言われりゃそうかも知れないが、尻の座りが悪いままだとこっちも落ち着かねえよ」


 まず、サイベージに調べさせたサファンの故郷の件。

 これが見事なまでに出鱈目だった。

 村の台帳まで引っ繰り返したものの、サファンと思しき人物が存在した形跡もない。

 挙句、今回の地竜の団の件で、冒険者ギルドに存在したはずのサファンの情報一切も綺麗さっぱり抹消されたのは、どう考えても解せない。

 そして、カムラの旦那に渡すように言われた例の紙片。

 俺は誓って中身を見ちゃいねえが、受け取ったカムラも特に顔色を変えるでもなく。

 淡々と袂に仕舞い込んだその翌日に、例の地竜の団の仲間割れが発覚し、それから間もなく辺境伯の更迭だ。

 何かしらの因果があると俺は睨んでいるが、カムラの旦那は今日も相変わらずの格好でヒエロをぶらついている。


 単純に順番にならべれば、


 地竜の団の仲間割れ。

 そのトバッチリか知らねえがサファンは重傷を負った。

 そのサファンはカムラの旦那に何かを託し、しばらくして皇国辺境伯は更迭。


 それぞれが全く関係ないようにも思えるが、一本筋を通せば見えてくるものがある。

 中心を貫く線となるものこそ、例の魔薬だ。

 つまるところ、魔薬をこっそり皇都周辺まで運搬していたのが徒党『地竜の団』。

 その魔薬を精製していた卸元が、あのメルロール辺境伯だった―――?


 これだけの大事だ。皇都におわします皇族サマは、果たしてどこまでご存じのことなのやら。

 俺がじっと視線を注いでいると、クラーラの表情が緩む。

 

「王宮騎士たちは、わたしたち皇族を守るために存在するわ。真紅のガーヴは、己の身の血を捧げてわたしたちを護る決意の表れなのよ」


 その護衛のはずの王宮騎士にして俺の友人であるメッツァーは、今頃俺の店の支配人室で飲んだくれているはずだ。

 せっかくだから俺とクラーラを二人切りにしてやろうって差配らしいが、どう考えても酒を飲む口実としか思えない。まあ、他にも見えないとこに護衛はいるだろうがよ。

 

 思わずそんな風に色々と考えてしまったが、俺は黙ってクラーラに話の続きを促す。


「そして、別の役割を担う騎士も存在する。彼らは、皇族の血統ではなく、国そのものを護るためにその身を捧げる。

 だけど、決してその存在は表沙汰にされることはない。命を落としても、死体どころかその痕跡すら残らない。

 王宮騎士たちを白騎士と称するなら、彼らは光の届かない闇の中で戦う黒騎士―――」


 急に陽が翳ったような気がした。

 俺を見返してくるクラーラの冷たい視線に、周囲の温度まで下がったように感じる。


「…おい、まさかあのサファンの野郎は…!」


「という作り話を今考えたんだけど、レンはどう思う?」


 茶器を持ち上げて、驚くほど茶目っ気のある表情で笑うクラーラ。

 その笑顔を受けて、俺も笑顔を作り返すことにした。


「…たく、全部与太話ってことかい? あやうく信じちまうところだったぜ」


「ええ、そうよ。全部嘘。そんな影日向に働いて、笑って死んで行ける人間なんているわけないじゃない…」


 俺たちはそう笑い合って、話題を転じた。

 ささやかなお茶会を続けるなか、クラーラの目尻に光る涙が浮かんでいたことなんて俺は決して見ていない。







 俺も大きな嘘をついた。


 例のサファンより託されたペンダント。

 そいつをレネットに渡しながら、俺はサファンの言葉を伝える。


「『ほとぼりが冷めたら迎えに来るから、それまでこれを約束替わりに…』だってよ」


「そうですか…」


 笑顔で受け取ったレネットだったが、少し寂しそう。

 そもそもこのペンダントも、千年水晶だとかサファンは言っていたが、俺が見る限り安物っぽい。

 渡す前に魔道具屋で鑑定してもらうなんて野暮こそしなかったが、喜んでいるらしいレネットに敢えて訊ねてみる。


「なあ? おまえはあいつの身請け話を間に受けていたんか?」


「あれ? 支配人さんは知らないんですか? あの人って、方々の娼館で同じことをしていたみたいですけど…」


「なあ!? す、するってーと、何か? おまえらは全部わかって…?」


「この店に来て頂いたお客には、浮世のことを忘れて極楽を味わってもらう。支配人さんの方針ですよね?」


「………」


 俺が絶句したのは、店の方針を盾にされたこともあるが、レネットの浮かべた茶目っ気たっぷりの表情にある。

 目尻に微かに涙を浮かべたその表情は、先日クラーラの浮かべたものに良く似ていた。


 …おまえ、どこまでのことを知って…?


 思わずそう訊ねそうになった言葉を飲み込む。

 ったく、巷には思った以上に嘘つきが溢れているらしいや。



 あの法螺吹きだった冒険者の言葉を思い出す。


 嘘もバレなければ真実になるか。

 ならば、敢えてバラさないのも真実ってやつだろう?


 サファンの死は確認されていない。

 実はあいつは生きていて、ひょっこりと店に顔を出してくるんじゃないか?


  

 安物のペンダントを嬉しそうに掲げているレネット。

 笑顔を浮かべ続ける彼女の顔が、なぜか水晶越しには泣きそうに歪んで見えた。


 


 俺は、嘘が真実に置き換わる日が来ることを心より願った。


 

 

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