冒険者が娼婦になる話 後編

 この世界には、幾つもの古代遺跡、洞窟、地下迷宮などが存在する。

 そこには未知のお宝と怪物が闊歩しているのはファンタジーのお約束だが、ひょっこりと手付かずのままのダンジョンが発見されることもある。

 

 冒険者ギルドに所属する冒険者には、新規のダンジョンを発見した場合、ギルドへと報告する義務が生じる、ということになっている。

 もっとも大抵の冒険者は、自分たちだけ美味しい思いをしようと勝手に探索することがしばしばで、その結果、出し殻になったダンジョンが巷に転がっているのも良くある話だ。


 だが中には、徒党を組んでも歯が立たない高難度のダンジョンも存在する。

 自分たちの手に負えないと判断した冒険者たちは、そこでやっとギルトに報告。

 正式な探索場としてギルドから公開されると、その情報を頼りに他の冒険者たちが探索に挑む。

 まあ、冒険者稼業の大きな柱の一つってやつだろう。

 

 しかし―――仮に新規のダンジョンを発見したのが冒険者以外の人間だったらどうなる?

 

 発見したのが村人だと、大抵は冒険者ギルドへ報告される。村の近くに魔獣がウヨウヨいるかも知れないダンジョンがあるなんてのは危険だからな。さもありん。

 

 だが通りすがりの商人とかの場合だと、少々事情が異なる。

 個人であれば知り合いの冒険者や徒党に“情報”としてそのダンジョンを売り込むヤツもいるが、もっと気の利いたやつは大きな商会へと報告する。

 報告を受けた大商会は、お抱えの冒険者を派遣して、ダンジョンの目ぼしいお宝を一掃して丸儲け。

 もしくは、未踏破のダンジョンを手付かずのまま封鎖する。ギルドへも根回しを済ませた上で、冒険者たちに内部を探索する権利を売り出す。

 これが世に言う封窟探索権と呼ばれるものだった。


 探索権を購入した冒険者たちは、定められた日に、一斉にダンジョンへと潜ることになる。

 未探索の古代迷宮とかであれば、凄いお宝がごっそりと手付かずのまま残っている可能性が高いと言われているが…。


「それは少しばかり目が悪すぎます。やめておきなせえ」


 俺は心から忠告する。

 まず探索権と称した入場料の相場はかなり高い。

 仮にお宝らしきものを持ち帰れても、端から獲得できる品数の制限がされたり、買い取り額の何割を商会に支払うなどといった条件も課せられるとか。

 

「ましてや徒党を組んで挑まなきゃならない物騒な話でしょう? ですが当の徒党はもう解散して…」


「僕が一人で挑みます」


 間髪入れずに言い返してくるヨルグ。

 未踏破のダンジョンにはもちろん地図なんてものは存在しない。

 怪物や罠の数々も、徒党で挑むのと単独で挑むんじゃあ各段にリスクが跳ね上がる。

 一斉に他の冒険者たちも潜るといっても、基本的に連中は商売仇だ。助けなぞ期待できない。

 ヨルグ自身が回復魔法を使えるのは大きなアドバンテージだろうが、それでもさすがに…。 

 

「…僕が一人でやり遂げなければ、チャスの前に立つ資格はありません」


 毅然と顔を上げてくるヨルグに、俺はもうそれ以上何も言えない。

 

 男がどうしても手に入れたいものが出来たとき。

 想い一つを押し通し、己を賭けて掴み取る。

 それこそが男だ。

 どんな理不尽を前にしても、意地を貫き通すことこそが男の本懐だ。


 おそらく生涯の賭けに打って出ようとしている少年へ、俺は恭しく頭を下げる。


「承りました。一月後のご来館を娘ともども心よりお待ちしておりやす。…ご武運を」



 




 

 



 チャスの外見はどうにか整ったが、ここからが肝腎だ。

 いくら化粧で美しく見えても、中身が伴わなきゃそれはメッキと変わりない。

 中身も金ピカに筋金を通してこそ、胸を張って商売に出来る。

 

 言葉遣いや礼儀作法の習熟を優先しつつ、いよいよ性知識や技術といった閨での分野への勉強に入る。

 大抵の娼館では、先輩娼婦と客が同衾するのを観察させてもらって、具体的な方法や男女の交合まぐわいというもの知る。

 うちの店もそうしているが、さすがに同室するのは気まずかろうと、特定の部屋の隣に覗き部屋を設けていた。

 チャスもどうやらそっちの勉強も始めたらしい―――と思ってしばらくしたら、廊下でばったりと行き会う。

 俺の顔を見た途端に視線を下げて、それから顔を真っ赤にしてアワアワするのはこれ以上ないくらい分かり易いわな。

  

「どうでぇ調子は?」


 ここで働く娼婦たちが残らず通った道だ。俺にとっては馴染みの反応だから、いちいち動揺なんぞしてられない。


「いや、うん、はい…」


 顔を赤くしたまま一生懸命に目線を下げないようにしているチャスの反応はなかなか初々しいもんだ。

 俺が笑っていると、キュッと目を閉じてからチャスは背筋を伸ばす。


「…うん、あいにくオズマの旦那はあたしの好みじゃないなッ!」


「ずいぶんなご挨拶だな、おい」


「だけど、ここの先輩方は、たいていそうだってことなんだろ?」


 じろじろとチャスに顔を見つめられた。

 おめえ、なにブツブツ言っているんだ? と尋ねようとしたところに、鋭い声が割って入る。


「チャス。何油売っているの」


 つかつかと歩いてきたエルチが、チャスの首根っこを摘まみ上げ、すかさず耳打ち。


「今日はこれからドワーフの旦那との交合いを見学させてもらうわよ」


「えー…。あの旦那かー。あの人、なんかねちっこくて好きじゃないんだよなー」


「あんたの好みは関係ないの。ほら、早く」


「はいはい」


「返事」


「はい、わかりましたッ」


 よろしい、とエルチに引っ張られ、チャスはたたらを踏むように廊下を歩いていく。

 …随分と大人しく見えるようはなったが、チャスはチャス、中身は変わってないな。

 微笑ましく思う反面、カラ元気もあるはずだ。

 

 本来であれば、好きな男にしか抱かれたくないってのが女の本音だろう。

 その思いを捻じ伏せて、見知らぬ男たちに抱かれて対価を得る。

 

 俺は娼婦という仕事の在り方を決して卑下することはない。

 ヨルグのやつにも説明したが、この仕事も需要と供給のうちに成り立つ。

 

 それに、男の生理ってやつは、自分でもままならないことが往々にしてある。

 そんな連中が好き勝手にそこいらで発散したとすりゃあ、街の治安もだいぶ悪くなるだろう。

 必要悪って表現は俺は好きじゃないが、世情の安定に一役買っているという自負もあった。


 ところが、世間にしてみれば、娼婦という職業は決して褒められたものじゃない。

  

 かの赤兎が娼婦へと堕ちた。

 金さえ積めば誰にでも抱ける存在になった―――。


 チャスとてその蔑みの風評を避け得ない。実際に身体を鬻いで金を稼がねばならない。

 冒険者として培ったプライドをすり減らし、否応もなく変わっていくことだろう。

   

 それがなんとも可哀想に思えたのは―――やっぱり俺の感傷だ。

 だいたいウチで働いている他の娘たちも、色々と事情は抱えている。チャスだけを贔屓目で見るのは金輪際やめにしよう。

 

 娼婦となって俺の店で働くことになったからには、みな俺の娘だ。

 贔屓はなしで、全員平等に支えてやらねえとな。








   



 ヨルグが例の探索権を購入し、使用する前夜。

 

「旦那、行かなくていいんで?」


 支配人室で腕を組んでいる俺に、サイベージが訊いてきた。


「………」


「なら、せめてあたしが…」


「行かなくていい。ヨルグにはそこまでする義理はねえ」


 確かに義理はなかったが、こと男が意地を張っているんだ。そこに勝手に手を貸すのは失礼を通り越して無礼ってやつだろうぜ。


「さいですか…」


 どこか釈然としない風のサイベージを、俺はジロリと睨みつける。


「それよか、グレイの野郎の身柄はどうしたんだ?」


「そっちは言いつけ通りダイレムさんとこの別荘から掻っ攫って、今はランブル商会の方で面倒を見て頂いてますけれど」


「ならあ、いい」


 これ以上グレイを使ってまた新しい借金が、なんてのは絶対に了見できねえからな。


「…ったく、旦那も優しいのか厳しいのか」


「なんか言ったか?」


「いいえ、何も」


「けッ」


 サイベージを置いて俺は支配人室を出る。

 そのままなんとなく足を向けたのは中庭で、そこには予想通りチャスがいた。

 

 二つの月の光を浴びて青みを帯びる赤髪。

 すんなりとした手に握られているのは木刀。

 

 それを左右に振回し、見事な剣捌きを見せるチャスは、華美で繊細なドレスを着ている。

 動きづらい格好のはずなのに体幹には乱れもなく、身体の動きも滑らかだ。

 左右に身を翻しながら踊るような斬撃を繰り出したあと、半円を描いて木刀は腰に収まる。


「…やるじゃねえか」


 パチパチと俺は拍手をする。娼婦の修行の鬱憤の発散がてら、夜な夜なチャスが剣を振るっているのは、まあ公然の秘密ってやつだな。

 チャスは一瞬しまったという顔つきになって、それから照れ臭そうに笑った。

 

「頼むから、エルチ先生にはどうか内緒で…」


 蓮っ葉な口調に戻った上目遣い。

 なのに妙に色っぽく見えて言葉に詰まる俺。

 

「どうした、オズマの旦那?」


 小首を傾げる仕草も愛らしく―――っていけねえいけねえ。俺は敢えて鹿爪らしい顔で言う。


「そうそれよ。俺はおまえを使う立場なんだぜ? もう旦那呼ばわりされる筋合いはねえ。せめて店長とか支配人と呼びな」


「…分かりました、支配人」


 一転、スカートの裾を摘まんで軽い会釈をしてくるチャスに、正直面食らった。

 月の光を浴びてるせいかなんとも雰囲気があるぜ。


「わ、わかりゃあいいんだよ。…それよか、冒険者稼業にはまだ未練があるか?」


 少なからず俺も動揺していたらしい。言わずもがななこと訊いちまうという無様を晒す。

 すると、木刀を担ぎながらチャスははにかんだ。


「そりゃあ未練はあるってゆーか。あたしにはこれを振るくらいしか能がないと思っていたから」


 木刀が振られる。夜風を裂いて鋭い音が走る。

 

「でも、ここに来て、こんな女らしい格好も出来るってことも知れて、嬉しいかな」


「ああ、見違えた。どこに出しても恥ずかしくな佳い女ってやつになったよ、おまえは」


「…ほめ過ぎだよ支配人。でも、ありがとう」


 返してくる笑顔は、二月前と比べられないほど女らしく柔和のもの。

 それが兎の耳が力なく項垂れているように見えたのは、俺の気のせいだろうか。















「…とりあえず、やれることは全てやったわ」


 エルチが深い疲労を眉間に刻みつつ、晴れ晴れとした笑顔を見せてくれる。


「お疲れさん。ありがとうよ」


 丁寧に礼を言いはしたが、俺もどうしたって朝から気もそぞろだ。

 約束から二ヵ月後の今日。

 娼婦としての仕込みを済ませたチャスが、自らの水揚げ相手を定める日でもある。

 さっそく場所の準備を終わらせれば、待ちかねたとばかりにやってくるラブラック商会の現代表。


「これは………本当に見違えました」


 一目見るなり、ダイレムをして絶句するほどのチャスの佇まい。

 

 着ているドレスは前回と変わらないのに、赤い髪がより艶やかに映えている。

 布地越しでも豊さを伺わせ、均整の取れた身体は姿勢良く。

 その上でゆったりと構える仕草には気品すら漂っているってんだから、いやはや女ってのは本当に化けるもんだぜ。


「チャスさん、綺麗…」


 二階から見習い娘たちのささやきが降ってくる。

 それもそのはず、いま俺たちがいる場所は支配人室ではなく大食堂。

 公明正大に衆目の前でチャスに選んでもらおうというダイレムの提案だが、ヨルグのやつは未だ姿を見せていなかった。


「確かに見目麗しい娘さんは眼福ですが…吾輩も暇ではないのですよ?」


 ピンと伸びた髭を紙縒こよりながら苦言を呈したのは、街で魔道具などを扱う『水晶の深淵』店主、ビッテンハイブ。

 ヨルグがダンジョンから宝物を引き上げてくるのを見越したダイレムが、皇国公認鑑定士の肩書を持つ彼を呼びつけていた。

 

「まあまあビッテンハイブさん。もう少しだけお付き合いくださいな」


 宥めるダイレムは実に機嫌が良さそうだ。

 あまりに上機嫌な様子に、俺は何やら嫌な予感を覚えるが、視線をチャスへと転じる。

 食堂のテーブルを片付けた中心に置かれた椅子に腰を下ろす彼女は、なんとも凛とした佇まい。

 俯き加減に顔を伏せちゃいるが、その横顔はヨルグを待ちかねている風にも、来ないでと祈る風にも俺には見えた。


 じりじりと時間だけが過ぎる。

 給仕娘のお茶のお替りも済ませ、ビッテンハイブがまたぞろ髭を弄り始めた時だった。


「…来ました!」


 大食堂のドアを勢いよく開き、駆け込んできたのはサイベージ。

 半瞬遅れて走り込んできたヨルグの姿に、俺たちは呆気に取られ、チャスも椅子から腰を浮かしかけた。


 助祭の資格を得たものに贈られる純白の法衣。

 以前見た時に既に土埃やら何やらで汚れていたそれは、どす黒く染まっていた。

 乾いた血の臭いがここまで漂ってきたくらいだから、相当なものだろう。


「ヨルグさんッ!」


 足をもつれさせる彼を、とっさにサイベージが支えている。


「ありがとうございます。でも、大丈夫ですから…!」


 サイベージの手をそっと跳ね除け、ヨルグはまっすぐこちらへと歩いてくる。


「…こちらへ来られるまえに、まずは教会か治療院へ行かれたほうが良かったのでは?」


 呆れ顔をしてくるダイレムに、ヨルグは慇懃に笑い返した。


「ご心配には及びません。僕も魔法を使えますから、あとでゆっくりと治しますので…」


 しかし見た限り、ヨルグの魔力はすっからかんだろう。

 おそらく法衣の下は、いまだ癒せぬ傷だらけと見た。

 それでもしっかりと自分の足で立つ姿に、俺の中でこみ上げてくるものがある。


「でしたら、さっさと吾輩の仕事をさせて頂けるとありがたいのですが」


 事情を知らぬビッテンハイブは、ハンカチで口元を覆いながら言う。

 心配そうな顔を向けてくるチャスに目線だけで大丈夫と応じ、ヨルグは腰に巻いていたズタ袋を外した。

 予め準備されていたテーブルの上に、一つずつ中身を並べていく。

 

 一つは、表面の煤けたゴブレットだった。あまり状態は良くないらしく、遠目にも縁が欠けているのが分かる。


 もう一つは形状からして腕輪のよう。表面には宝石といった装飾もないシンプルなもの。


 最後に取り出したのは、細長いナイフのような金属の欠片で、何なのか見当がつかない代物だ。


「…これが、僕が手に入れられたものの全てです」


 唇を噛むヨルグからは、不本意で不甲斐ない思いがありありと。

 その気持ちは俺も完全に共感が出来た。

 封窟探索に限った話じゃないが、もうちっとマシな代物がダンジョンに眠っていてもいいじゃねえか。

 いくら博打たって、ヨルグの格好を見ろよ。

 あれだけ根性を出して命を賭けた結末がこれだなんて、神も仏もあるもんか。

 だいたいあいつは神に仕える身なんだから、もうちっと手心ってものをな…!!


「…旦那」


 いつの間にかそばにきたサイベージの耳打ちが俺を引き戻す。


「ちょいと聞きこんできたんですが、どうもダイレムの旦那、マルッセル商会の冒険者へと働きかけたみたいですよ」


「…まさかさらい…いや、目ぼしか!?」


 未踏破のダンジョンを封印したことにして、その実、こっそりと自前の冒険者を派遣して、金目のお宝を先んじて全て回収する阿漕を称して【浚い】という。

 それとは別に、予めダンジョンを探索してお宝のありかを確認しておいてから、探索解禁日の当日に子飼の冒険者たちを潜らせる手管は【目ぼし】。

 これをされると、真面目に探索権を買って潜った冒険者たちは、一人残らずいいツラの皮だ。

 ならばこそヨルグのあの貧相な収穫も納得が行く。

 それすら手に入れるために、彼はあれほどの血を流して…!!


「…ふざけんな、ダイレムのクソ野郎…!」


 激昂する俺だったが、身体ごとサイベージに押さえつけられる。


「旦那、落ち着いて下さいって。あくまで噂で証拠はないんですから!」


「だからってよ……!!」


 もがく俺の視線の先で、ビッテンハイブによる鑑定が始まる。

 しかし、見るからにぞんざいな扱いをしているため、ヨルグはますます表情を落ち込ませ、反比例してダイレムの機嫌は良くなっていく。


「ふむ」


 していた片眼鏡モノクルを外し、ビッテンハイブは周囲を見回すようにして声を張った。


「まずこちらの杯は、およそ300年ほど前のワグラ王朝の造形が伺えますな。ですが、造り自体が甘く保存状態もよろしくない。よほどの好事家相手でも、銀貨二枚も値がつくかどうか…」


「そしてこちらの腕輪も、300年ほどの年月が経っていますが、歴史的価値はありません。なんの装飾もない真鍮製とあっては、最近に作られたものの方がよほど面白みがあります」


「最後に、これこそ相当古い年代のものと思われますが…正直、判りかねますな。何かしらの祭事の道具かとも推測できますが、吾輩の知識にはない。となればガラクタも同然で、価格のつけようすらありません」



 はっきりと言い渡され、もともと顔色の悪かったヨルグだったが文字通り蒼白になっている。

 対するダイレムは、そのまま拍手をしだしそうなくらいの上機嫌。


「これで納得いかれましたか、ヨルグさん? さきほど持ち帰られた品は、全て買い上げられたとしても精々銀貨三枚といったところでしょうか。それも含めてあなたの手持ちはいかほどになります?」


 もはや笑い出したいのを必死でこらえ勝ち誇るような様子でダイレム。


「…いえ、もう一つ、買って頂きたいものがあります」


 ヨルグは真っすぐにダイレムを見返して、言った。


「僕の腕を買って頂けませんか、ダイレムさん」


「ほう!?」


 ダイレムが素っ頓狂な声を上げたが、呆気に取られたのは俺らも一緒だ。


「…なるほど。助祭の資格を持つあなたを当商会の専属に、という提案ですか。悪くない話ですね」


 この世界で回復魔法を使える人材は希少だ。

 実をいうと、そんなスキルをもつヤツが冒険者をすること自体珍しい。

 なにせわざわざ外に出て危険を冒さずとも、街で治療院でもやったほうが安全に儲かるからな。

 そんなヨルグがラブラック商会へと身売りをするとなりゃあ、ダイレムとしても美味しい話に違いない。

 

「よろしい。私の商会で、ヨルグさんに金貨150枚を出しましょう」


 相場なんてあってないようなものだが、額面通りにポンと出すなら剛毅な話だ。

 頷いて、ヨルグの顔色に僅かに血の色が戻る。

 そのまま彼は俺を振り返ると口を開く。

 

「それじゃあ、僕はそのお金でチャスを…!」


「では、私はチャスさんの水揚げに、金貨300枚を出させて頂きましょうか」


 覆いかぶさってくるダイレムの宣言に、このやりとりを見物していた皆がどよめく。

 この物言い、一瞬だけヨルグに希望を見せて、直後に叩き落したに等しい。


 この外道め…ッ!


 内心で吐き捨てる俺をよそに、達引きとは本来こういうもの。

 より金を積み、意地にかけても口説き落とす。


 無論口説かれた娘とて、幾ら金を積まれようとも嫌なら嫌と断れる。

 しかし、今回チャスが対処しようとしている孤児院の借金の総額はおよそ250枚。

 チャスがヨルグを選べは、水揚げ代で借金の半分以上を支払えるだろう。

 だが、ダイレムを選べば、借金を全て返しても御釣りがくる。


「リンダさんもまだ身体は復調していませんし、これからも何かと物入りでしょうからねえ…」


 チャスの葛藤を見透かすようなダイレムの台詞。

 分かったからてめえはもう黙ってろ! と怒鳴りつけたい衝動を必死でこらえ、俺はチャスの方を見る。


 椅子に腰を下ろしたまま、見たこともない弱々しい瞳が俺を映す。

 助けを求めるような目線なのに、俺は助けてやることは出来ない。

 だから、精一杯の想いを込めて、頷いてやる。


 すると、チャスはゆっくりと椅子から立ち上がった。

 それからドレスの裾をしゃなりしゃなりと引きながら向かったのは―――ヨルグの前。


 …よし! 

 出来ることなら喝采を上げてやりたがったが、俺は息を止めて成り行きを見守る。


「チャス…!」


 喜びも露わにヨルグは血と埃りに塗れた顔を上げた。

 穏やかな微笑を浮かべたチャスの顔が近づく。

 二つの唇が重ねられ、誰もが快哉を上げようとした瞬間―――すぐに顔ごと離したチャスの肩は震えていた。


「…なんで泣いているんだい…?」


 ヨルグの伸ばしてきた手を躱すように、チャスは一歩下がる。

 それから彼女が浮かべた表情は、心がねじ切れそうなほど切ないもの。


「ありがとう、ヨルグ。

 …こうなるんだったら、もっと前におまえに抱かれておけば良かった………」


「っ…!」


 ヨルグへの未練を振り切るように踵を返すチャス。

 あとは振り返らず、まっすぐ歩いて向かったのはダイレムの前。

 

「どうか、わたしの身の上をよろしくお願いいたします、旦那さま…」


 完璧な仕草で頭を下げるチャスに、ダイレムは満足そうに頷いた。


「もちろんです。こちらこそよろしくお願いしますよ」


 そのままチャスの肩を抱いて寝室へと飛び込みたそうな勢いすら伺わせたが、ダイレムはどうにか自制。

 満面の笑みで周囲を見回して、俺にも気取った動作で頭を下げてくる。

 そして最後にダイレムが見たのは、茫然と立ち尽くすヨルグだった。


「申し訳ありませんが、私が初客を務めさせていただくことになりました。

 ですがね、これは何もこちらが無体をしたわけではなく…そう、一種の需要と供給です。

 チャスさんがお金が必要で、私が出せる立場にあった。ただ、その巡りあわせの結果というだけなのですから…」


 ヨルグはチャスに惚れていた。

 では、チャスはヨルグに対して何の感情も抱いていなかったといえば、もちろんそんなことはない。

 むしろ、誰よりもヨルグの身を案じていたのは彼女だ。

 

 同じ冒険者稼業といえど、ヨルグは貴族の三男坊。

 身分差で引け目を感じつつ、それでもチャスが素直になれなかった経緯のトドメは、ヨルグが助祭の資格試験を受けると決めたこと。

 アルメニア聖堂教会の規定では、助祭に叙された者は妻帯することが出来ない。 

 どこからかそれを知ったチャスは、自分の気持ちに蓋をして胸奥へと仕舞い込み、いっそ冷たいほど突き放す態度を取る。

 エルチが裏の裏は表と言ったのは、つまりはこういうことだった。


 

 いかに惹かれ合う二人とて、必ずしも結ばれるとは限らない。

 この商売をしていて、そんなことは何度でも目の当たりにしてきている。

 

 …だからってこんな胸糞の悪くなるようなオチなんてのはなッ…!!


 行き場のない感情を持て余す俺の目前で、また空気が変わった。

 見れば、トントンと音を響かせて階段を降りてくるエルフが一人。

 尖った耳も麗しい彼女は、まるで振袖のような長い袖の衣装を着ていた。

 クエスティンの自信作を纏うミトランシェは、チャスとは全く別の次元の美しさで咲き誇る。


 その艶姿を目の当たりにし、ダイレムさえチャスを一瞬忘れたように思う。

 食堂に集まった誰もが見惚れたが、ミトランシェ自身は注がれる視線を全く意に介した様子はない。悠々と、先ほどのヨルグが持ってきた宝物の載ったテーブルの前へと歩いていく。

 小さな手を伸ばし、例の正体不明の金属の欠片を手に取る。

 それを矯めつ眇めつしてから、まったく場の空気に頓着しない口調を俺に向けてきた。


「これ、貰ってもいいの?」


「そいつは…ヨルグさんに訊け」


 彼女の空気の読めなさというか、まるっきり明後日の方向へ話が転がったような展開に、俺をして脱力してそう答えるのが精々だ。


「それじゃあ、これと交換で良い?」


 無造作に袖をまくり、ミトランシェは細い腕から腕輪を外してテーブルの上に置く。

 そういえば、生粋のエルフ族には貨幣という文化は存在しないとか。基本的に全て物々交換で済ませるらしい。


 このあまりにもミトランシェの奔放な行動に、誰もが白けるというか居た堪れない雰囲気になっていたと思う。

 ところが、そんな微妙すぎる空気を破るように、素っ頓狂な声が上がった。

 誰かと見れば、ビッテンハイブ氏が興奮に身体を震わせている。


「こ、これはッ!! 翡翠神の未来を映す瞳をあしらったとされる碧命石グリーンディスティニー!?」


 凝視しているのは、ミトランシェが卓上に置いた腕輪についた宝石。

 碧色の煌めきは、遠目にも何とも味わい深い光を放っている。


「学術都市のエイブラハム博物館と、かのマダム・ストーンしか所有されていないとされる伝説の輝石がどうしてここに…!?」


 興奮仕切りのビッテンハイブが顔を上げてミトランシェを見た。


「―――なるほど、ハイエルフと称される方であれば所持されていても不思議はないということですか」


 彼女の長い耳を見て色々と察したらしい。続いて、勢い込んで訴えかけてくる。


「どうかこちらは吾輩にお譲り頂けないだろうか? これほどのものであれば、金貨で700、いや800枚は出させて頂きますぞ…!」


「それは、そこの人にあげたから。彼に訊いて」


 そっけなくミトランシェは顎をしゃくる。

 しゃくられた先にいるヨルグに皆の視線が集まる。


「…ヨルグさん!」


 俺の力強い声掛けに、ヨルグはハッと顔を上げた。

 まるで夢を見ているかのような表情の中、瞳の焦点が俺に合う。


「それだけの金があれば、あんたがチャスの…!!」


 この展開に、俺の声も興奮で弾む。

 だが、そこにも割り込んでくるダイレムの大音声。


「で、でしたら私もチャスさんの水揚げに金貨900枚! いや、金貨1000枚出しましょう!」


 この申し出に周囲はざわついた。

 金貨1000枚なんて、ここヒエロでも過去に類を見ないほど記録的な水揚げ料、すなわち花代となる。

 それだけダイレムがチャスに執着していることの証明にもなるわけだが―――。


「申し訳ないですが、それは出来かねますぜ、ダイレムさん」


「なぜです!? 私の方がより多くの金を出すと言っているんですよ!」


「出すも何も、チャスの借金の総額は金貨800枚にも及ばないんですぜ?」


「…あ」


 ダイレムは、思い切りぶん殴られたような呆けた表情を浮かべた。


 そもそも俺が買い上げたチャスの債権は、金貨でおよそ500枚。

 そこに新たな孤児院の借金って250枚加えても、合計750枚って勘定になる。

 

 そしてヨルグが碧命石とやらと引き換えに手に入れることになる金貨は800枚。

 それを全てチャスのために使うっていうのなら。


「…オズマさん。僕が…、僕にチャスの借金を全て肩代わりさせてくださいッ!」


 ようやっと理解が追い付いたらしいヨルグが、活力の溢れた声で宣言する。


「へい。これで赤兎の身柄は、すっぱりとヨルグさんのものでさあ!」


 俺がそう応じると、ヨルグは満面の笑みを浮かべてくれたが、チャスはまだ理解が追い付いていない様子。

 それでもその化粧を施された顔に、じわじわと理解の色が広がり、ついには真っ赤に染まった。

 この展開、一度は諦めて突き放したと思った男から、全力で抱きしめ返されたのと同じだ。

 

 さあこれにて大団円―――ってな空気を認められない往生際の悪い男が一人。 


「ふ、ふざけるな! こんな茶番、認められるかッ!」

 

 激昂したダイレムが俺に掴みかかってくる。


「どうせ全て貴様の仕込みなんだろう!? あんな都合良く希少な宝石を出してくるなど…!」


 別にこれっぽちも仕込んじゃいない俺だったが、負け犬の遠吠えとばかりに好きにさせてやる。

 すると、ドン! とダイレムを突き飛ばすやつがいた。ミトランシェが俺を庇うようにダイレムの前に立ち塞がる。


「このエルフも何者だ!? あんなガラクタと宝石を交換するなぞ、どんな詐欺かペテンか…!」


 女房だ、と紹介するのも億劫で黙っている俺。ところがその女房殿は収まりがつかなかったらしい。

 柳眉を怒りの形に歪めると、彼女は軽く宙に手を翳した。

 バリン! と何かが割り裂けるような音。

 間もなく、一本の大剣が食堂まで飛んで来たのには、皆して度肝を抜かれる。


 二階にいたうちの娘どもが揃って腰を抜かす中、それ受け止めるミトランシェ。

 すると大剣はたちまち細かい金属片へと分解。

 例の阿弥陀様の後光モードで、まるで曼荼羅のように空中に浮かぶ金属片の中に、ミトランシェは懐から取り出したナイフのような金属片―――ヨルグが見つけてきた例のヤツ―――を組み込む。

 

 金属片が合体し、大剣へと戻る。その長い柄を両手に持って構えるミトランシェ。

 次の瞬間大剣が唸りを上げた。

 まるで地の底から響いてくるみたいな盛大な音に連動するように、大剣の刃の部分が俄かに光を帯びる。

 その光は凄まじい勢いで垂直に伸び、二階から吹抜けの部分すら通り越して、店の天井を突き破っていた。


「ひぃ…ッ」


 強烈な光を放つ魔法の大剣を前に、腰を抜かすダイレム。砕けた天井の残骸がパラパラと彼の頭に降りかかる様子を眺めながら、俺も色々と得心が行く。


 …なるほど、ヨルグが見つけてきたあれは、この大剣の本当の力を引き出すためのキーパーツだったってことか。他の連中には無価値でも、ミトランシェにはすこぶる価値があったわけだ。

 そして、そんな伝説級の武器の一部だったら、そう易々と安値は付けられないわな。


 ミトランシェを見上げたままガクガクと震えるダイレムに、俺が口にした呟きは図らずも盛大な意趣返しとなる。


「まあこれも、需要と供給の一致ってやつですかねえ…」



 

 



  

 ふらふらと覚束ない足取りでラブラック商会の代表は去った。

 後日金を持参すること確約し、ホクホク顔でビッテンハイブも腕輪を引き取っていく。


 あとに残された当事者はチャスとヨルグだけなのだが、この二人、さっきから見つめ合ったままピクリとも動かない。


 仕方ねえ。借金が返ってくる目途も経ったわけだし、もうひと肌脱ぐことにするか。


 俺は、未だに二階の吹抜けからこっちを興味津々で眺めてくる娼婦たちを見回す。


「天井にこんなデカい穴を開けられちゃ、今日は店を開けるわけにはいかねえな。ってことで休みだ。皆して外に遊びにでも行ってきな!」


 思いもよらぬ休暇宣言に娘たちは色めき立つ。

 まあ、あっちはあれでいいとして、問題はこっちだ。 

  

 俺は歩いていって立ち尽くしたままのヨルグの肩を揺らす。


「ヨルグさん、見ればひどくお疲れのご様子。店は休業ですが、幸いにも部屋は無事です。どうか休んでいかれたらどうです?」


「え? で、でも」


「おら、チャス、何をぼーっとしてやがる! お客人を部屋へ案内しねえか!」


「は、はい!」


 弾かれたようにチャスは顔を上げた。

 で、結局、二人してまた見つめ合って動かないでやんの。

 業を煮やした俺は、半ば引っ叩くようにして二人の尻を押す。


「ほら、さっさと行った行った!」


 ぎこちなく二人は肩を並べて歩き出す。

 その指先がふと触れて、たちまち手がしっかりと絡み合えば、もう離れることはないだろう。


 二人が奥の部屋へ入るのを見届けて、俺は天井を見上げる。

 破れた隙間から覗く晴れ空は小憎らしいほど青くて―――やっぱりこっちの修繕は自腹を切るしかないか。

 

 



 


 チャスとヨルグは無事結ばれたようだ。

 もちろん借金がなくなったとあれば娼館に留める理由はない。

 赤兎を抱ける! と意気込んでいた連中は、“赤兎は誰にも掴まえられない”との囃子歌を胸中で繰り返すことになるだろう。


「しかし、旦那もお節介というか、えらい手を使いましたねえ」


 しみじみと抜かすサイベージに、俺は鷹揚に答える。


「馬鹿ぬかせ。これこそ正しい権勢の使い方ってやつよ」


 俺が持つ最大のコネと言えば、大聖皇国王位継承第八位、クラウディア殿下その人だ。

 かつての借りを返してもらう意味も込めて、俺が彼女に依頼した件は二つ。


 一つは、ヨルグの助祭への任命を一旦白紙とし、妻帯してから改めて任命してもらうよう手配してもらったこと。助祭になったら結婚は出来ないが、なる前に結婚している分には問題ないそうだ。


 そしてもう一つは、クラウディア殿下の名前で、この街へと新たな教会を建立してもらうこと。

 助祭の資格を得れば教会を運営することが出来るし、その隣には例のリンダ婆さんの孤児院が併設されている格好だ。

 かの皇女殿下の肝煎りとあっちゃ、万が一にもダイレムのやつもこれ以上ちょっかいは出せないだろうよ。

 教会を建てるための雇用も創設出来るし、クラウディア本人も「街へ視察に行ける名目が増えたわ」と喜んでいたのだから、まさに三方良しってやつだろう。って、ちょっと意味は違ったっけか?


「チャスさんもヨルグさんも、冒険者を辞められるというのは、なんとも勿体ないというか、潔いというか…」


 酒を舐め舐めサイベージが漏らしたとおり、ヨルグとチャスは冒険者稼業からすっぱりと足を洗っていた。今後は教会と孤児院の運営に携わって暮らしていくそうだ。


「まあ、あの男なら、チャスを任せても大丈夫さ」


 純白の法衣を血で真っ赤に染めて俺の店へやってきたヨルグ。

 その姿に、俺はもう一匹の赤兎の姿を見る。

 リーリーナは独りで生きて行こうとして叶わなかったが、赤兎が二匹寄り添えば、この先きっと幸せになれるはずだ。


「にしても、少しばかり旦那も肩入れが過ぎてませんかね?」

  

 サイベージがぼそりと呟く。

 久しぶりの美味い酒のせいか俺の口は鳥の羽のように軽くなっている。


「…ここだけの話だぜ? 初代のリーリーナの赤兎って二つ名には、別の意味があるのさ」


 兎ってのは多産の象徴であり、転じて、年中交合しているイメージが持たれている。

 リーリーナの狂戦士っぷりは言明したが、戦いを終えたやつは偉く昂ぶった。

 男が死線を越えると女を欲しくなるのと同様に、あいつの場合は一働きしたあとは男を欲した。

 

「いやあ、あの狂いっぷりったらなかったぜ。しかもあいつの身体の良さといったらこれが堪らなくてよ…!」

 

 凄まじい勢いで身ぐるみを剥がされまたがられ、冗談抜きで絞り取られたもんだ。おまけに誰彼構わずのべつ幕なしに咥え込んでいたから、あの頃どれだけ穴兄弟がいたものやら。

 転じて、兎に込められたもう一つの意味ってのはこれだ。 


「っとまあ、今この街の親父連中がそろって赤兎の伝説を語るのは、皆してアイツの身体のことが忘れられねえのさ」


「そいつは…なんとも言いように困る話ですねえ」


「そんでな、もしかしたら。もしかしたらだぞ? チャスが俺の娘の可能性も…って、計算が合わねえなこりゃ。はははは」


 ぐびりと俺は酒杯を呷る。

 返事はなかった。

 どうした? と顔を上げると、サイベージの姿が見当たらない。

 視線を巡らすと、なんだかそそくさと部屋を出ていこうとしているところ。


「おい、待てよ、今日はとことん付き合え!」


 俺が陽気に声を張り上げると、やつの返事はこれだった。


「旦那、あたしはまだ死にたくはありません」


 は? どういうこった?


 次の瞬間、背中と首筋に冷たいものが走り、俺は思わず背筋を伸ばしていた。

 どうした窓でも開けっぱなしだったか? と振り向いて―――そこに鮮やかな緑色の髪をしたエルフを見出す。


 …あれ? ミトランシェ、おまえいつからそこに?

 ひょっとして、さっきの話、聞いてたのか?


 い、いや、あれは酒の勢いというか、冗談だからな! な!?

 だから、おい、ちょ、やめろ、服を脱ぐな! 服を脱がすな! どうか勘弁してくれ…!!!



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