冒険者が娼婦になる話 中編

 ラブラック商会代表、ダイレム・ラブラックが孤児院名義の新たな借用書と一緒に持ってきた凶報。

 院長のリンダが、激務が祟って再び病床に就いたこと。

 真っ青な顔になるチャスを余所に、なら借金の出どころを聞けば、例の姿をくらましているはずの甥っ子のグレイ。


「申し訳ありませんが、さすがにこれ以上の借金を重ねられては、リンダさんの孤児院をそのままにはしておけませんな」


 困ったような笑みを浮かべるダイレム。

 しかし目だけは笑っていない。敵意を押し隠した視線は俺を捉えている。


「取り潰して更地にして、いっそうちが劇場でも建てましょうか、ははは」

 

「そんな…! 孤児院がなくなったら住んでいる皆は…!」


 俺が止める間もなくチャスが反応していた。


「それは私の知ったことではありませんね」


「じゃ、じゃあどうすれば孤児院を残して貰えるんですか!?」


「それはもちろん、金を返してもらえれば、ですよ」


 ゆっくりとソファーにもたれ、ダイレムは指を組む。

 四つも嵌められたゴツイ指輪の宝石が、唇を噛みしめる赤髪の娘を映す。

 彼女の様子に居たたまれなくなった俺は、思わず口を挟んでいた。


「おい、チャス。はっきりいうが孤児院の借金はもともとおめえには関係ねえんだ。何もかもおまえが背負いこむ理由は…」


「ええ、その通り。そしてこの件はオズマさんにも関係ありません。口を挟まないでいただけますか?」

 

 鼻白む俺を横に、ダイレムは世間話をするように続けた。


「甥っ子さんがされたとはいえ孤児院名義の借金ですから、それはリンダさんの借金に違いありません。病床で弱っているところ気の毒ですが、さっそく督促に参りますか」


「そ、それはやめろ! やめてくれッ!」


 悲鳴じみた声をあげるチャス。

 ダイレムはジロリと声の方を見やって、


「……なんですって?」


「……お願いです、やめてください!」


 深々と頭を下げるチャスは、ダイレムの下卑た視線に気づかない。

 しおらしい態度の彼女の全身を視線でさんざん撫でまわしたあと、ダイレムは優雅に茶を口に含む。


「それにしても、オズマさんは大層羽振りがよさそうですなあ」


 支配人室を見回すダイレムの視線の先には、例の弓矢やら何やら。

 あのクソ目立つ大剣と鎧はミトランシェに断って物置へと仕舞っていた。さすがに現役の商人の目に、あんな伝説級のシロモノを晒したくない。


「このキルト生地などなかなか年代物とお見受けします。かなりの値打ちがありそうですね」


「生憎と借り物の飾り物でして。いくら値打ちがあっても、俺がどうこう差配できるシロモノじゃありやせん」


 事実、ほとんどがミトランシェの私物だ。俺が好き勝手出来るわけもない。

  

「ともあれ、チャスさんもお元気そうで安心しました。しかも用心棒としてご活躍とか。

 オズマさんもあれだけの債権を気前よく買い上げられたからには、私はてっきり娼婦として働かせるとばかり」

 

 ずいぶんと嫌味がたっぷりと込められた台詞だ。

 俺もせいぜい丁寧に返答してやる。


「ええ。適材適所ってやつですわ。

 あんな元気な兎娘、無理やり籠ん中に閉じ込めて尻の毛まで毟っちまうような無粋な真似、俺にはとてもとても…」

 

「…ッ」


 さすがにダイレムも舌打ちしそうな表情を閃かせたが、どうにか地金を取り繕うことに成功。慇懃に笑う。


「では、本日のご挨拶はこれくらいで失礼させて頂きましょうか。美味しいお茶をご馳走さまでした」


 そこにチャスの声が追いすがる。


「ま、待って下さい! 孤児院の借金のことは…!」


「ですからそれは、チャスさんには関係のないお話で」


「だ、だったらその借金もあたしが払うよ! 払うから!」


 ばっか野郎! そいつは相手の思うツボだ!

 俺の制止も間に合わない。

 ダイレムの口元が、悪魔のような半円を描く。

 だがそれも一瞬で引っ込めると、実に不思議そうな顔つきでチャスへと語りかける。


「今のあなたは自身の借金でオズマさんの店の預かりでしょう? それがどうやって新たな借金を支払うというのです?」


「なら、その借金も、今のあたしの借金に上乗せして…」


「それとこれとはもう別の話なのですよ。だいたい既に売り払われた債権に合算出来るわけがないでしょう」


「……そんなっ…」


「しかし、チャスさんが用心棒の仕事を続けられたとして、オズマさんへの借金を返済しきるまでにどれくらいかかるものですかねえ?」

 

 俺をチラリと見てからの、ダイレムのいかにも独り言めいた台詞。

 余計なお世話だと返してやりたかったが、指摘自体は俺にとっての泣き所。

 正味な話、まともにチャスが用心棒を勤め上げたとすれば、完済するには何十年かかるものやら。


 …けっ、舐めんなよ。こちとら、それを承知で喧嘩を売ったんだからな。


 平然としていると、ダイレムは詰まらなさそうに鼻を鳴らしチャスに向きなおる。


「そこでご提案なのですが、チャスさん、ここはひとつ娼婦になって稼いでみてはいかがでしょう?」


「…え?!」


「あなたはのその容貌は近隣の冒険者たちにも人気ですからね。娼婦になればきっと売れっ子間違いなしです。

 娼婦として稼げる額は用心棒としてのそれを遥かに上回るはず。なので稼いだ金額のうち、用心棒に相当する稼ぎの分は今まで通りオズマさんに。それ以上の売り上げをこちらの返済へ回して頂くという手もあります」


「そうは仰いますがね、一口に娼婦になるっていっても向き不向きが…!」


 ほぼ反射的に俺は口を挟んでいた。

 ダイレムは我が意を得たりとばかりに頷く。


「もちろんそれはオズマさんが一番お詳しいでしょう。門外漢である私はただ提案させて頂いただけでして」


「………」


「ともあれ、このたびの借金に関しては、当商会に早急に支払って頂かなければ困ります。滞れば、先ほど説明した通り孤児院の解体を止むをえません。

 その上で、今回の借金もなんとかしたいとチャスさんが仰られるのなら、なにとぞ手段を講じて頂きたい。むろん、無理なら無理で私どもは一向に構いませんが」


 ダイレムの言い草は筋が通っているように思えるが、その実、孤児院を盾にとったチャスへの脅しだ。 

 全身を震わせたまま立ち尽くすチャスは、もはや色々とパンク寸前に思えた。

 俺は身体ごと割り込むようにしてダイレムの視界を遮り、彼女の盾となる。


「ご提案のほどは理解しました。されど、事は簡単にゃあ行きません。吟味するのはもちろん、今すぐに答えを出せっていうのは無体ってもんでしょう?」


「なるほどそれもごもっとも。

 分かりました。チャスさんのお返事を頂くまでは、借金の取り立ては猶予させて頂きますとも」




 




 “赤兎”リーリーナ。

 かつて皇国界隈で大暴れした女冒険者は、半ば伝説のような存在だ。

 燃えるような赤毛に鳶色の瞳。そして雪兎のような白い肌。

 全身を怪物どもの返り血で真っ赤に染めた姿が二つ名の由来となる。

 

「とにかく、あいつは何につけても無茶苦茶でよ…」


 深夜の支配人室。

 俺はサイベージ相手に酒杯を重ねる。

 

「なんせ鷲獅子グリフォンの巣穴にだって躊躇なく突っ込んじまうんだぜ?」


 本来、十分に準備した熟練の徒党総がかりでどうにかする巨大モンスターも、たった一人で何匹屠ったものやら。 

 その狂戦士染みた戦いっぷりを誰もが賞賛し、化け物の血を落とした別嬪の素顔には誰もが見惚れた。


「兎にも角にも、あいつは眩し過ぎた。洒落抜きで男どもの人生を狂わせるくらいにはな」


 しみじみと俺の口から酒臭い息と思い出が零れ落ちる。

 リーリーナに惚れ、焦がれ、愛を囁き袖にされ、あげく力づくで事に及ぼうとして逆に半殺しに会った野郎どもも、それこそ数限りなく。


 かくいう俺も彼女に魅せられた一人だった。

 破天荒で破綻しているクセに美しかった。

 まるで野性動物のように獰猛でしなやかな生き様を、羨ましくさえ思う。


 そんなリーリーナが唐突に姿を消した。

 行先を誰にも告げないのはいつものことだったが、ここまでなんの音沙汰もないとなると、こりゃあどこかで下手を売ってくたばったんじゃないのか? ああ、もったいねえもったいねえ、と同業者たちが嘆いた一、二年後。

 

 ひょっこりと戻ってきたリーリーナに、誰もが目を見張った。

 なんせ背中のズタ袋に、小さな子供をしょっていたんだからな。

 鳶色の瞳に白い肌はリーリーナの娘に間違いなかったが、誰との子だ、と尋ねた野暮な連中は、残らず剣先で突き返されたらしい。

 そんでもって親子で市井で大人しく暮らすかと思ったら、ガキを背負ったまま冒険者稼業を再開した赤兎に、誰もが開いた口が塞がらねえ。

 そんな不格好でも活躍していたのは大したものだが、無茶はやはり長くは続かなかった。


 腕の中に子供を庇ってリーリーナは死んだ。二つ名通りの血まみれで事切れていた。

 近くに怪物の死体も転がっていたことから、おそらく相討ちになったものと思われた。

 辛うじて生きていた子供は、孤児院へと預けられることになる。

 それがチャスだ。


「…なるほど。だからチャスさんが二代目と呼ばれているんですね」


「ああ…」


 サイベージの相槌に応えつつ、煽る酒の味は苦い。


「…くそッ、こんな二段構えで来るたあ…!!」


 勢いのまま自分自身を罵倒する。

 俺は、リーリーナの忘れ形見を守ったつもりだった。

 それが逆に追い詰められた格好になってしまっているのは何の冗談だ?

  

「いやいや旦那は悪くないと思いますよ? ラブラック商会の若旦那の方が一枚上手だったってだけで」


「………」


「せめてあたしがさっさとダイレムさんの別荘に匿われているグレイさんをどうかしとけば話は早かったかも…って、どうしました、旦那?」


「いや、おめえに慰められるたあ、俺もいよいよ焼きが回ったかと思ってな」


 ジロリとサイベージを見やりはしたものの、俺もダイレムを侮っていたことは否定できない。



 今回の話、元を辿ればダイレムがチャスに惚れ込んだことに端を発している。

 商会専属の冒険者にしてやるとか、妾にしてやるとか、本人は色々と口説いたつもりのようだがチャスにあっさりと袖にされた。

 “赤兎は誰にも掴まえられない”

 先代の風評ともども、下町の子供たちの囃子歌にもなっている一説だ。

 

 ところが諦めきれないダイレムは、裏で色々と手を回してチャスを囲いこもうと画策。

 リンダ婆さんの孤児院の借金は、甥っ子のグレイをてめえの賭場で嵌めて背負わせたもの。

 チャスの徒党の金庫番だったトロメロだって、なんで借金をしたのか一言も説明も相談もなく、失踪してからしばらくしてウェッピン川に浮かんでいた。

 

 ここまでキナ臭いことをされりゃ、さすがに俺も絵面が見えてくる。

 チャスを借金で雁字搦めにしててめえの懐で囲っちまおうって魂胆が見え見えだ。

 仁義もへったくれもないこの手管は、まさに可愛さ余って憎さ百倍ってやつだろう。

 

 その姑息さに完全に鶏冠とさかにきた俺は、金でチャスをどうにかしようとしたダイレムの横っ面を、さらに札束で引っ叩いてやったわけだ。

 そのつもりだったのだが…。


 コンコン、と支配人室のドアがノックされる。

 俺が目配せすると、頷いたサイベージが部屋の隅の暗がりへと消える。ヤツの気配が完全になくなってから俺はドアを開けた。そこには予想通りチャスが立っていた。


「よ、夜遅くに悪い…じゃなくて、すみません」


「なに、娼館にとっちゃ、今の時分はまだ昼間みてえなもんさ」


 深刻そうな顔をしているチャスを室内へと誘う。


「そんで、何の用だ?」


 訊くだけ野暮かとは思ったが、そう声を掛けなければ話は進まない。


「オズマの旦那…」


 鳶色の瞳が俺を見る。確かな決意の色を載せて。


「あたし、娼婦になるよ」


「……よくよく考えた上でのことなのか?」


「ああ。でないと、婆ちゃんも孤児院のみんなも、皆して野垂れ死にしちまう」


 巷の孤児院は、どこも満員で運営もカツカツだ。よその施設が潰れたからと、放り出された子供たちを受け入れる余裕などありはしない。


「だけどよ。やっぱりそこまでおめえが背負いこむこともないだろう」


「………」


「いっそ、全てを放り出して逃げちまうって手もあるぜ? 南のエルロッカも抜けてカルピネア諸島あたりまでいけば、ここいらの商人も手が届かねえだろうし」


 あのヨルグって坊主も一緒によ。

 俺がそう付け足すと、チャスは短く吐き捨てる。


「なんでヨルグのやつが出てくるのか分からないんだけど…」


 んん? 見立てが間違っていたか? と首を捻る俺。


 チャスはふっと笑う。


「オズマの旦那。あんたはなんであたしに親切にしてくれるんだ…?」


「なんでぇ出し抜けに?」


「あたしだって馬鹿じゃないよ。あたしの抱えた借金が用心棒代だけで返し切れないことくらい分かるって」


 そりゃあダイレムと丁々発止のやり取りを目の前でされて、気づくなって方が無理な相談だよな。

 俺は軽く溜息をついて、答える。


「そりゃあ―――おめえのお袋に借りがあるからだよ」


 実は俺とリーリーナは、互いに知らない仲じゃない。

 20年近く前、冒険者稼業を辞めるか辞めないかとふらふら大陸を流離っていたときに、世話になったことがある。

 野宿を決め込んだ廃村は、実は死霊とゾンビの巣。さすがにアンデッド相手じゃあ俺の力も分が悪い。 

 そこを助けてくれたのが、通りがかりのリーリーナだった。

 あの時の恩を、俺は忘れちゃいない。

 

「はあ…。ここでも、母さんの話か…」


 チャスも溜息をついて、ソファーにひっくり返る。


「赤兎の名は、やはり重荷かい?」


 ヨルグも口にしていた台詞を、俺は問いただしていた。


「聞けば聞くほど、母さんみたいな生き方はあたしには無理だって」

 

 伝説とは言われているが、リーリーナの活躍したのはたかだか二十年ほど前の昔。

 この街の旦那衆の記憶にも鮮やかなもんだから、折りに触れ色々と話しかけられる機会があるのだろう。


「そりゃそうだろう。二代目は襲名していても、おめえはおめえさ」


 まっつぐ鳶色の瞳を見つめ、俺はそう答える。


「でも、母さんは、どんな状況でも自分から逃げなかった。逃げずに立ち向かい、あたしを守って死んだ。最後の最後まで一人きりで戦い抜いて死んだんだ」


 チャスはぽつりと言う。


「だったら、あたしも逃げない。逃げないで立ち向かう。自分に出来る方法で、ケジメをつけるまで戦い抜いて見せる」


「おめえ…」


「うん、あたしは娼婦になるんだ」


「………」


 確かに元が良いチャスだ。娼婦として店に出せば相当な稼ぎが見込めるはず。

 ダイレムの言った通り、チャスが自身の裁量で返済をするならこの手しかない。

 

 今回俺がラブラック商会相手に赤字覚悟で突っ張ってみせたのは、義憤に駆られたこともあるが大半はリーリーナの娘に対する義理返しみたいなもの。

 南方への出奔を勧めたのも本気で、もしチャスが望めばあらゆる手立てを講じて逃がしてやるつもりだった。


 だが、それもこれもひっくるめて、浪花節の時間はお終いか。

 受けた恩が一つなら、返す恩も一つきり。

 これ以上だらだらと情けをかけ続けるのは、腹を括ったチャスに対する侮辱ってもんだろう?

 

 不本意ではあるが、もう俺に出来ることは娼館の親仁としての領分しか残されちゃいない。 


「…分かった。俺がおめえを一端の娼婦にしてやらあ―――」












「久しぶりね、支配人」


 使いの小僧を出した翌日に、エルチはやってきた。


「わたしを呼んだってことは、例の赤兎の二代目の件かしら?」


「相変わらず耳が早ええな」


 久方ぶりの挨拶を交わしたのもそこそこに、俺は苦笑するしかない。

 

 もともと娼館ってのは、幾つものノウハウを抱えている。

 礼儀作法はもちろんだが、接客術、会話術、所作諸々など。

 閨での性技や手管、避妊術は、それら技術を習得した上での話となる。

 

 そして実技に関しては、大抵の娼館では先輩連中が後輩に実施で指導を行うことが多い。

 店主である爺ィや婆ァが自ら秘伝を施したりとかな。

 さらには引退した娼婦を招聘して、見習いどもの指導役を依頼するケースも存在する。

 エルチはまさにその指導役にして、娼婦たちの大先輩にあたるわけだ。

 

「取り合えず、二ヵ月で仕上げて貰いてえんだ」


 敢えて俺は「出来るか?」とは訊かない。

 実際のところ、今回のチャスのように女冒険者が娼婦になった前例もある。

 理由こそ借金に限らないが、鞍替えした連中にとっての問題は、冒険者稼業が長ければ長いほどそのぶん年齢も重ねたということ。年齢を重ねるってことは、身体の作りや動かし方、物の見方が染み込んでいるってことだ。

 極端は話をすれば、幼い頃から娼館で娼婦になるために仕込まれてきた娘と、冒険者稼業で切った張ったをしてきた女とじゃあ、そりゃあ仕上がり方も違うってもんだろうよ。

  

 そして、チャスは確か今、17か18か? 既に13の頃から冒険者として活動してきたことも鑑みれば、娼婦としての在り方を仕込み直すのは骨ってもんだぜ。


「実物を見てみないことには何ともいえないけれど…。

 でも、支配人がわたしを呼んだのはそういうことでしょ? 出来る限りのことはさせてもらうわ」


「かっちけねえ」


 俺が頭を下げるとエルチは笑った。齢の頃はとうに30を超えているはずだが、片えくぼが出来る笑顔は未だに現役のように初々しい。


「ついでに、俺のわがままと言っちまえば身も蓋もないんだが一つ頼みが」


「なあに? あの二代目って、そこまで支配人のお気に入りなの?」


「別にそういうことじゃねえよ。ただ、仕込みの最中で、アイツがどうしても娼婦って仕事に嫌気が差すようだったら…」


「確かに、この仕事は合う合わないの個人差が大きいわね」


 俺の言葉を引き取るようにしてエルチ。


「それも了解。見込みがなければ早めに見切って相談ってことで良いかしら?」


「頼む」


 実はこのエルチ、俺がこの街で娼館を営み始めた頃の最初期メンバーでもある。

 さんざか男どもを手玉にとった器量も大したものだったが、業界の仕来りや礼儀作法に詳しく、後輩の指導にも定評があって重宝させてもらった。

 身請け話を何故か袖にし続けた彼女に頼み込み、特例的に27歳まで娼館に勤めてもらったくらいだからな。

 とうに年季も明け、この世界じゃあ年増とされるエルチに、それでもどうかと求婚してくる者も後を絶たなかった。

 そんな中の一人に熱烈に乞われて、彼女は街の本屋の旦那の元へと降嫁していった。

 それが今から五年ほど前のことだ。


「おめえが引き受けてくれるなら大安心ってやつよ」


 普通に考えて、真っ新な娘だって一人前の娼婦に仕立てるのは並みじゃない。

 それを二ヵ月で、という無茶ぶりに応えてくれるエルチに、俺は全幅の信頼を置いている。


「そんなに持ち上げても手間賃は負からないわよ?」


「いやいや、礼はたっぷり弾ませてもらうぜ。なんなら、そうだな、お前もボチボチ喪も明けただろう? どこぞの大旦那か渋い男でも紹介してやろうか?」


 エルチの旦那は、結婚して一年も経たず世を去っている。流行り病だけは、この世界の魔法でもどうしようもなかった。

 以来、喪に服し続ける彼女は、後妻にといった話を全部突っぱねている。

 旦那の残してくれた本屋を継ぎ、何やら性技や性生活に関する本もひっそりと出版していて、経済的には困っていないようだ。

 それでもそろそろ独り身のままは寂しかろう。

 

 だが、エルチは俺のお節介を盛大に笑い飛ばす。


「そうね。何なら支配人があたしを貰ってくれる?」


「おいおい、冗談はよしてくれ。俺には女房が…」


「ごめん、今のは本当に冗談よ。お願い、聞かなかったことにして頂戴」


 震える声で早口で言うなり、エルチは素早く部屋を出ていってしまう。

 なんなんでえいったい、と振り返り、俺も背筋が凍りつく。

 窓の外から、ミトランシェのやつがじーっとこっちを睨んでいやがった。


 …ここは二階だぜ?



  



 さっそくエルチによる仕込みが始まった。

 娼館の空き部屋を一つ提供し、昼夜関係なく突貫で指導は続く。

 部屋から漏れ聞こえる叱責に、かつて彼女から指導を受けた覚えのある娼婦は回れ右。

 結果として誰も寄りつかない部屋から蒼い顔でふらふらと出てきたチャスだったが、風呂に入っても寛ぐ暇もない。

 風呂は風呂で自分の身体を磨くための研修場だし、風呂から上がれば肌や髪の手入れが待っている。

 化粧一つにしても、客を出迎える時と寝化粧とを使い分けなきゃいけないわけだしな。

 

 言葉遣いや礼儀作法の勉強と同時並行で、身体の動かし方の矯正が続く。

 肩の力を抜いて、内腿をすり合わせるような歩き方を―――と一言で記せば簡単だが、長年の冒険者としての歩き方が染み付いているチャスにとって、難儀極まりないようだ。

 結果として、まるで壊れかけの操り人形みたいな仕草で娼館内を闊歩するチャスの姿を見ることになる。

 とうに店の娼婦たちにもチャスの事情が浸透仕切っていたので誰も笑わない。

 そんでそろそろ一か月も経とうかという頃。

 俺がエルチを支配人室へ呼びつけた。


「どうにか形になりそうよ」


 やや疲れた表情を浮かべて眉間を揉みながらエルチは答える。

 一般の娼婦の仕込みなら、見習いの仕事をこなしながらが普通だ。

 チャスに関しては娼婦の仕込みだけに専念させているわけで、進捗が良い一方、教える方も教えられる方も並大抵の苦労じゃないだろう。


「本当はね、この仕事は向き不向きというより、本人がどれだけ覚悟を決めたかが重要なの」

 

 チャスが覚悟を固めた経緯は、俺的には不本意に思う。

 だが、この世界、そもそも真っ当に生きて死んで行くってのは、これが中々に難しい。


 堅気の仕事に勤しんでも、流行り病や怪我が元であっさりと人は死ぬ。

 冒険者になっても栄光を掴めず野垂れ死にするかも知れないし、借金で落ちてきた娼婦でも太客に見初められ悠々自適の老後を送れるかも知れない。


 誰も何も保証をしてくれないそれぞれの、自分だけの人生。

 傍から見て不幸だなんだと世話を焼くなんて、歴史に残る聖人かよっぽどの阿呆かのどっちだぜ。


 もちろん自分が後者であると自認する俺だったが、これ以上阿呆を重ねるつもりはなかった。

 こうなったらもう、あいつが決めたことを手助けするしかねえじゃないか。

 

「すまねえな、本当に無理させちまって」


 俺はエルチを労う。

 彼女はここ一か月、娼館に泊まり込んでほぼマンツーマンで指導に明け暮れている。

 いくら毎日温泉に浸かったって、溜まった疲労が完全に散らせるわけもなく。


「それより支配人。あの子、“蕾”よ?」


 花が咲き誇る前の未熟な蕾。

 転じてそれは、生娘であることを意味する隠語だ。


「やっぱりな…」


 蓮っ葉なクセして、やっぱりあいつは男を知らなかったらしい。

 まあそうでなきゃ、食堂で尻を撫でられたくらいで、酔っ払いを昏倒させるほど初心な反応をすることもなかったろう。

 

「てっきりあのヨルグってガキと懇ろだと思っていたんだけどなあ」


 赤兎は誰にも掴まえられない、か。

 囃子歌を口にしてから、俺はバリバリと頭を掻く。

 徒党に男と女がいれば八割がたはってのが俺の持論だったが、どうやら外れたようだ。

 そして、口幅ったいが、娼婦としてのチャスの価値は跳ね上がることになるだろう。


 そんな俺の様子を見て、なぜか呆れたような顔になるエルチがいる。


「支配人って、男女の機微には詳しい割には、色々と疎いみたいね」


「あん?」

 

「裏の裏は、つまりは表ってことよ」


「………どういうこった??」





  

  

 

 ダイレムには、俺の店を尋ねてきた翌日にはチャスが娼婦になる旨を返答している。

 了解の返事と引き換えに、仕込むための二ヵ月の猶予を引き出した。

 取り合えず一ヵ月後を目途に、ダイレムには進捗状況を報告することになっている。


 この時期にもなると、チャスがウチの店で水揚げされるようだ、という話が街中で大層な評判になっていた。

 冒険者どもにしてみれば、憧れていた身内のアイドルみたいな娘を合法的に抱けるようになるわけで、色めきたつなというのは無理な相談だろう。


「出来れば、あの子の初めては意中の人がいいんだろうけど…」


 ダイレムが報告伺いに来る今日。支配人室で待つ間に、エルチがポツリとそんなことを言う。


「…そんなムシのいい話、娼婦にゃ無縁だろうよ」


 娼婦になるべく幼いうちから仕込まれてきた娘たちは、色恋沙汰に触れる機会はない。

 さすがに皆無ってことはないだろうが、水揚げされて旦那衆に抱かれて、幾人もの客と馴染みになって惚れた腫れたが始まるのが一般的。現代日本でいうところの、恋して仲を深めてそれから身体を重ねるって手順とは真逆となる。もっとも一昔前の日本なんかは、結婚するまで顔を合わせなかった男女ってのもざらだったらしいがな。

 なんにせよ、ここは異世界だ。元いた世界の常識も宛てにはならないか。


「だいたいアイツはヨルグの野郎とそういう仲じゃなかったって話だろ。ダイレムも袖にしたってことからも、そもそも色恋沙汰に疎いってやつじゃねえのか?」


 こっちの世界の平均寿命は短い。成人年齢は15歳とはなってはいるが、田舎へ行けば12、13で結婚して子供を作っちまうってこともザラにある。

 なのにチャスが生娘なのは、冒険者であることを差し引いてもそういうことじゃねえの?

 するとエルチは軽く溜息をつき、それから全然違うことを口にする。

 

「…この仕事はね、見知らぬ誰かに抱かれる前に恋を知ることが大切なの。別に実る必要はないわ。

 それでも、その思いが芯にあれば、娼婦としても真っ当に生きていける」


「ってぇと、やぱりチャスはヨルグの野郎に?」


「彼女だけの話をしているわけじゃないのよ? この店の娘もはみんなそう」


「いまひとつ話が見えねえんだが」


 と俺が問い返した時、客の来訪が告げられた。

 すわダイレムか、と思ったら、入ってきたのは渦中のヨルグ。

 先日あったときは新品同様に真っ白だった法衣が、よれよれの真っ黒だ。

 顔の汚れも落とさぬまま、半ば噛みつくような勢いでヨルグが俺に詰め寄ってくる。


「チャスを娼婦として働かせるってどういうことですか!?」


 こいつが聖都ロノキアの実家に戻り、チャスの負った借金をどうにかしようと金策に駆けずり回っているのはサイベージ経由で知っていた。だけに娼婦になることになった件の情報を知るのが遅かったのだろう。


「…元々俺の店は娼館です。娼婦にするかどうかなんて、俺の胸の内一つでさあ」


「あなたって人は…!」


 ギリギリと胸倉を掴み上げられる。

 怒りに顔を真っ赤に染めるヨルグに、殴られるのを覚悟で訊いた。


「それで、肝腎のおまえさんの金策の目途はついたんで?」


「……ッ!!」


 ヨルグはハッとした顔つきになり、続いて歯を噛みしめる。

 俺の胸倉からゆっくりと手を離し、取り出した革袋の中の金貨は全部で80枚。

 どういう伝手を使ったかは知らないが、この短い期間で良く集めてこられたものだ。

 

 だが俺がゆっくりと首を振る。

 ヨルグは項垂れた。

 その様子に、先ほどのエルチとの会話も頭にあったからだと思う。

 俺は彼へと優しく語り掛けていた。


「ヨルグさん。あんたのチャスへの想いはよっくと分かりました。

 ですがね、新たな借金まで負っちまったことは、俺の差配じゃどうしようもありません。

 だから―――」


 ヨルグが顔を上げる。


「だから、この金で、チャスの初めてを―――水揚げをしてみちゃあどうです?」


「ぼ、ぼぼぼ僕にお金を出してチャスを抱けっていうんですか!?」


「おまえさん、チャスに惚れているんでしょう?」


「………それは」


「あいつが娼婦になる流れは止められやせん。ならばこそはなむけとしてあんたの思いの丈をぶつけとかないと―――別々に生きていくこの先、必ず後悔しやすぜ」


 よそ様の色恋沙汰に首を突っ込むのは、馬に蹴られてなんとやらってやつだ。

 それでも敢えてヨルグに勧めたのは、同じ男として共感を覚えたからに他ならない。


「…僕は」


 ヨルグの唇が動き、何かしらの答えを口にしようする。

 そのタイミングでまた支配人室のドアが開いた。


「…オズマの旦那? まだなのか?」


 入ってきたのは赤髪の娘。


「おまえな、呼ばれてもいないのに…」


 俺が口を曲げると、


「だってこれ、すげえスース―して、着ていて落ち着かなくてよ…」  


 自身の薄絹仕立てのドレスを見下ろしてチャス。

 それからようやく室内のヨルグに気づいたようで、彼女は驚いた顔になる。


「なんだぁ!? なんだってヨルグがここにいるんだよ!?」


「チャス。言葉遣い」


「あ、やべ」


 エルチに咎められ舌を出すチャスだったが、それを見ていたヨルグが固まっちまっている。


「…おい、どうした?」


 再度チャスに声をかけられ、ヨルグはまるで魔法から覚めたように目を瞬かせると、


「チャス、君、その格好…!!」


「へへ、どうだ、結構似合うだろ?」


 膝下まで剥き出しの素足に、肩から胸元まで大きく開いたデザインの薄青のドレスは、チャスの髪色に良く似合っていた。

 俺をして見違えるくらいだから、冒険者としての格好しか知らないヨルグは言わずもがな。

 どうにも目のやり場に困っているらしく、身体ごと顔を反らしやがるのはまったく初心としか言いようがない。


「そうだ、チャス―――」


 せっかく二人が顔を合わせたこの機会。

 水揚げの件だけでも話を纏めようとしたところに、別の声が割り込んでくる。


「ほう! チャスさん、見違えました。よくお似合いですよ!」


 サイベージに案内されたダイレムだった。

 くそ、何とも間が悪い、って、元々ダイレム待ちだったから仕方ないのか。


「取り合えず、見た目だけはどうにか仕込んではみやしたが…」


 出迎えの挨拶がてらに精々へりくだる俺。


「ええ、ええ。オズマさんが本気でチャスさんを娼婦にされようとしているようで安心しました」


 俺がチャスを逃がそうと考えていたのを見透かすようなことを言いやがる。


「ところで、こちらの若者はどなた様で?」


 ダイレムから声をかけられ、ヨルグは背筋を伸ばす。


「僕はヨルグ・ハーベスターと言います。チャスとは徒党の一員として…」


「ああ、ハーベスター男爵家のヨルグさんでしたか! 確か最年少で助祭の資格を御取りになったとか。おめでとうございます」


「…ありがとうございます」


「そんな出来息子とされるヨルグさんがこちらに何の御用で?」


「いえね、チャスの水揚げ相手を、こちらのヨルグさんがして下さるって話でして」


 俺はヨルグ越しの一撃をお見舞いする。後ろでチャスが絶句して当のヨルグも顔を真っ赤にしているが無視だ無視!


「…ほうほう、なるほどなるほど。そういうお話でしたか」


 出会いがしらの奇襲に関わらず、ダイレムは動じた様子を見せない。


「では、チャスさんは乙女でらっしゃる?」


 この問いかけにチャスは露骨に顔を赤くしたが、それ自体が何よりも雄弁な答えとなる。


「それは素晴らしい! これで水揚げの代金も跳ね上がるというものですよ!」


 こと娼婦の水揚げでは、生娘であるかどうかが重要になる。

 商品として新品が云々とかいう次元ではなく、純真無垢な存在が神聖視される世の中で、純潔の娘に価値が生じるのはいわば必然だ。

 その公式は娼館で働く娘たちにも平等に当て嵌まり―――つまるところ、古来より娼婦と寺院や教会は切っても切れない関係だったりするんだな、これが。


「となれば、ご祝儀はうんと弾ませて頂きませんとな」


「…は?」


 ウキウキ顔で告げてくるダイレムに、俺は思わず間抜けな声を出してしまっていた。


「どうしましたオズマさん? 私がチャスさんの初客に名乗り出ることにご不満が?」

 

 満面の笑みを浮かべて言ってくるダイレムに、不覚にも頭が一瞬漂白される。


「そ、そうは仰いますが、嬢の方にも都合がありやす。金を山ほど積まれたからといって、もともとの水揚げに定めた相手との約束を反故にするのは…」


 …やられた!

 ちくしょう、ダイレムのやつ、元からチャスを娼婦にして初めての男になってやろうって腹積もりだったのか!?

  

「私は、赤兎の二つ名をもつチャスさんに敬意を持っています。彼女の負担を減らし、この先の活躍を激励する意味もこめて、ご祝儀と水揚げ代はうんと振舞わせてもらいますから」

 

「………」

 

 見れば、さすがのチャスも硬直していた。

 そんな彼女に、ダイレムむしろ優し気に語り掛けている。


「思うところはあるでしょうが、これがあなたの選んだ娼婦という仕事なのですよ」


 返す言葉がない、というのは、このことだろう。

 娼婦としての仕事を選んだ以上、チャスが男を受け入れるのは当然のこと。

 そこに元から抱える借金の話も重ねられちゃあ、半ば逃げ道を塞がれたのと同じだ。


 俺をしてこの不意打ちに動揺を隠せないでいると、若い男の声が場の空気を震わせた。


「ならば―――僕があなたより大金を払って、チャスの水揚げをします」


 毅然と顔を上げてヨルグ。


「チャスの初めては、誰にも譲りません」


 よく言った! と俺は心の中で快哉を上げる。

 顔を真っ赤に染めるチャスをよそに、真っすぐダイレムを見つめ返すヨルグは男だ。

 だが、ダイレムは悠然とその視線を受け止めて、


「なるほど。チャスさんが仕上がるまでの残り一ヵ月。あなたがどれだけのお金を集められるかは知りませんが、私より大金を用立てられるのであれば、初客を譲るのも吝かではありませんとも」


 それから如何にもハッと気づいたように、


「もちろんチャスさんのお気持ちも大事ですね。しかし、孤児院の件もお忘れなく」


 にこりとチャスへと笑いかけ、彼女の前まで行くと芝居がかった仕草で膝を突く。その手の甲に軽く口づけ。


「一月後を楽しみに待たせて頂きますよ」


 言いおいて、高笑いとともにダイレムは部屋を辞して行く。

 茫然とするチャスに、悔しそうな表情で閉まったドアを見つめるヨルグ。

 見守っていると、チャスがヨルグに声を掛けた。


「おい、ヨルグ。おまえが、あ、あ、あたしを水揚げするって…」

 

 ヨルグは、ドアを見つめた格好のまま動かない。

 

 これは―――達引きだ。

 チャスの水揚げを巡る、男同士の意地の張合い。


 こんな流れになっちまった以上、俺は第三者ってやつでどちらに肩入れすることも出来ない。だが、現実問題としてヨルグの肩を揺すっていた。


「見事な啖呵でしたが、ヨルグさん、金策の宛てはあるんで?」


「………」


 返事はない。

 ここ一ヵ月で彼が用立てたのは、元からの手持ちも含めて金貨は80枚。

 これだってひと財産だが、あと一ヵ月でもっと集められるかとなると…。


「どうしても宛てがないってんなら…」


「宛てなら、あります」


 静かにヨルグは答える。

 何とも言えぬ迫力を感じつつ、俺は尋ねざるを得ない。


「宛てがあるって、あんた…」


「マルッセル商会が封窟探索権を売り出しています」


「なんですって!?」





 

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