第10話 葛藤

創造魔法∧NEW※

ありとあらゆるものを創造することが出来る神の権能、創造するそのものに応じて消費する魔素の量が変動する。


(特殊スキルの解放により追記)

特殊スキルには種族固有のスキルなども含まれており、創造することは出来ても習得が出来ない場合がある、現在最上位権限により種族の制限までは解放されている。


固有適正は最上位権限を持ってしても解除することは不可能、現在一件の固有適正があります。


固有適正

遍在へんざい

※この特殊スキルの習得はあなたや周囲に多大な変化をもたらします、あなたの今生は幸多きものになるべきです、このスキルを習得すれば強き因縁と向き合うこととなるでしょう、それでもその選択をするのならばあなたの意思を尊重します。


 ステータスを閉じて目を瞑る。


 彼には確信があった、このスキルを取得するべきだという確信が、今までの人生で幸せなこと辛いこと悲しいこと驚いたこと誇らしかったこと様々なことがあった。


 しかし大切な事を忘れているような、まだ出会った事のない運命の人を永遠にうしなってしまったような、言いようのない焦燥感と胸にぽっかりと穴が空いてしまったような喪失感があった。


 度々たびたびおとずれるこの感覚に戸惑い、気分転換にと美しい景色を見に行けばふと頬に涙がつたっていた、心の病を疑い病院にも行ったが結局理由は分からずに時間だけが過ぎていった。


 この感情を言葉にしたくてでも出来なくて、とても歯がゆくて何かをしていないと気が狂ってしまいそうで、 あふれる想いを言の葉にのせていつしか物語をつむいでいた。


 ついこの間完結したのが【復讐ふくしゅうおり】納得出来るラストにしきれなかったのが心残りだ。


 そして…代表作であり問題作でもあった【籠の乙女といにしへの龍】通称【かごしへ】こう書いてかごしえと読む、この作品は私の中でも最高の出来であり全てを出し切ったと言っても過言ではない。


 しかし発売直前に原因不明のバグが発生して隠しルートを閉鎖、いくらパッチをあててもバグが解消されずに既に3年以上がたち、追加ルート等でお茶を濁していたがついに修正は打ち切られた。


 謎のバグの噂も広まっており、理解あるファンが多く予算不足で打ち切られた時も多くのお疲れ様の手紙が届いたそうだ、私にもゲームでは出来なかったけれどいつか他の媒体でも良いので読んでみたいですとファンレターが届いた。


 根拠のない確信、焦燥感と喪失感、かごしへ、謎のバグ、強き因縁、創造魔法、今生はという言い回し、時空魔法そして………【遍在】


 全ての要因が複雑に絡み合い判断力を鈍らせる、変化の日常は麻酔のように心を少しずつ麻痺させた、ようや息苦いきぐるしいと思わなくなってきたのだ、やっと人並みに生きられるのだ。


「誰が…人並みに生きたい等と願った!?誰が…誰がただ静かに生きるだけで良いと思った!?魂を燃やせ!命を燃やせ!心を鈍らせる麻酔麻痺毒を燃やし尽くして燃料にしてやれ!そうだ!今だ!今こそつかめ!この想いへの道標みちしるべを!」


「【創造魔法:特殊スキル[遍在]】!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(【想像魔法:解呪】その道行みちゆきに幸多からんことを)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る