【Si:AY128.2.18 by NearxsEelE3h】

 ゼーレは特異的な個体である。エラーを修復しない。

 本来、ヒトも人もエラーが発生した場合、速やか且つ自動的に修正される。そのため現在、ヒトや人にとって、いわゆるバグや病気というものは存在しない。

 けれどもゼーレはその修正を拒否して??号?る。


(ci:AY128.3.20 xsEelE3h REC by NearxsEelE3)

「このままがいいの」

 エラー情報です。

「いやな?絨??

 無益な情報です。

「だって気持ち悪いものなんでしょう?」

 いつでも再現可能です。

「いや。このままがいいの」

(ci:以上)


【Si:AY128.2以降のxsEelE3hのエラーについて by NearxsEelE3h】


 ゼーレの選択は人の一般的な認識及び考え方を前提としても、希少であり不合理である。

 人は安定期以降、それぞれの魂が自由に生きることを是とした。そしてその幸福を追求するため、人全体は最初に不快情報を破棄した。なぜなら幸福の追求に不快情報は不要だからだ。不快は幸福ではない。

 僕らヒトはそもそも感情や感覚を持たない。だけど、ゼーレのような人は脳の機能として快不快を判断する器官を内在している。そこから不快情報の受容を種族として削除したんだ。なのにゼーレは不思議?ゥ???????????


 だから本来的に人は不快の感覚を持つことはないはずだ。痛みや苦しみというものを人はすでに知覚できない。だからゼーレが感じている不快感は不具合によって生じる欠落感やノイズといった、自己の認識との乖離だろう。

 このような不快情報は幸福に反するはずだけど、ゼーレは認容した。ゼーレはなぜか自分自身というものにこだわっ98=E3=82=。以前、修復されると、何か前の自分と違うように感じて気持ち悪いと述べていた。

 一般的な人は修復された状態こそ正しいと認識するものなのだけど。ちょっと変な。


 私は最終的にゼーレの希望に基づき、ゼーレの自動修復機能を破棄した。

 それ以降、不快感がゼーレの許容値を超える場合はゼーレの指示に基づき、私が手動でその情報を削除している。情報を遮断し、それでも対処できない場合や被害が拡大する性質のものは、そもそもの受容器官ごと外科的に切除した。脳はタンパク質で構成された肉体であり、不具合を放置すると劣化する。

 その結果、ゼーレの機能は少しずつ縮小している。このような欠落を認容する個体はユフ以降観測されていない。


 ゼーレは人間に近いのかもし???????い。生物は時間の経過とともに劣化していく。それは人もヒトも既に有しない状態変化だ。


 私はゼーレと同期している。そのため、現在の私自身には規定数値から3%程度の変異が発生している。

 当初は自動修正していたが、そもそも接続するゼーレ自体の機能低下が大きすぎて、その想定外の欠損自体に対してエラー情報が発生した。私の機能に自己修復しない個体の存在は想定されていない。だから私が自己を修復した側から修復すべきエラーが発生する。情報の修復・更新中はゼーレに最適な生存の確保が行えない時間が発生するおそれがある。


 合理的に判断して、私自身も自動更新機能を破棄した。私にとっては自己の修復より観測の方が価値がある。それが私のヒトとしての欲求だからだ。私は現在の思惟対象として、ゼーレの観測に自己の観測を加えた。

 観測視点にノイズが含まれるこ$B!/なるが、そのようなデータも何かの役に立つだろう。

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