兄弟の確執、主従との友情と絆、そして身を切られるほどに切ない恋の行方は

あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜の前日譚として描かれているこちらの作品。

上記のタイトルのスピンオフのストーリーですが、未読の方にもおたのしみいただけますし、もちろん本編を読んだことのある方にはもっと深くストーリーに入り込んでいけます。

舞台は奈良時代。上野国大領の次男として生まれた大川少年が主人公です。
作者さまの他作品をいくつか読んだときに、大川という人物も登場していて、このちょっと影のある美青年の過去に触れてみたいと思い、今作品を読みはじめました。

はじめは幼少期からスタートします。
身分ある生まれにありながらも、彼は父親や異母兄との関係に悩みながら成長していきます。
他作品ではミステリアスな存在で謎に包まれていた部分も多かった大川という人の心情がとても繊細に描かれていて、読者は時としてもどかしく感じることもありますが、むしろそこが良いのです。

そう、人生とはままならないもの。ドキドキハラハラしながら見守っていく大川少年の成長、そして彼を取り巻く人々。読み終わる頃にはすっかり作品の虜になっていますし、他作品ももっと読みたいと思うはずです。

その他のおすすめレビュー

朝倉千冬さんの他のおすすめレビュー148