第3話 執筆は孤独であるが……
執筆という作業は、暗闇の路地を、一人ソロソロと歩くようなものである。
街灯はぽつりぽつりとあり、それは自身がこれまで積み重ねてきた経験や知識によって灯されている。しかし、行けば行くほど、街灯の数は少なくなり、手の皺も見えなくなると、新しく自分で立てなくてはならなくなる。
進んでは立て、進んでは立て、進んでは立て…………。
気の遠くなるような作業を続け、ふと周りを見渡すと人っ子一人いない。
冷たい夜風が身体を通り抜ける。
「心はアマチュア、腕はプロ」なんて言葉があるが、私の場合は「心もアマチュア、腕もアマチュア」てなもんで、執筆という孤独な作業は、骨身に沁みる。
自分の文章に自信がなく、物語はヨチヨチ歩き、キャラクターは生きているのか死んでいるのかも分からない。
何が正解かも分からず、不安に苛まれ、それでもなんとか文字を繋いでいく。
それが、私にとっての執筆である。
執筆とは、孤独を代償に成り立つ。
とはいえ、だ。
この頃は、そうとも言えなくなってきている。
それと言うのも、カクヨムにWeb小説を投稿し出して、更にはツイッターで創作垢と繋がりを得ると、
「おやおや、お仲間がこんなにいるじゃないか」
と思いがけず気がつくのである。
更には、自分の作品を読んでくれて、コメントやレビューまで残してくれるときたものだ。負けじと、私も作品を読みあさって、先日、レビューコメントの総数が50件を超えた。
そうやって、読んだり読まれたりを繰り返していくと、交流が生まれることもあれば、お互いがお互いを感知しながらも、ただ黙々と互いの小説を読み合って、それとなく星をつけていくという関係もある。あるいは、片思いに相手の小説を読んでレビューをする、ということも多い。
一人だと思っていた路地に、一人、また一人と顔も知らない仲間がぼんやりと見えてくる。
勝手に仲間だと思っているだけかもしれない。
けれど、確かに交流がある人に限って言えば、そうとも言い切れない。
不思議なものである。
本名も顔も住んでいるところも知らない。
それなのに、執筆を通して繋がりが生まれる。
持ちつ持たれつ、ならぬ、読んで読まれて、である。
こういう関係も悪くない。
ことさら、リアルで執筆仲間がいないとなると、尚更である。
孤独だけが執筆ではないと、ネットワークを通じて感じた次第である。
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