第5話 ちょっと特殊な読書事情
参考資料として、様々な専門書を読むことが多い。私の興味は広く浅くなので、色々な分野に手を出してはつまみ食いをしている。
一番興味が惹かれているのは、民俗学であり、それに付随して神話学、日本史、世界史もよく読む。ここ数年は政治や人権問題、戦争の本も読み漁っている。最近では、ロボットやAIにも興味を持っている。
まさに節操なしである。
毎月、最低でも一万円は書籍代に消える。そのくせ、積読が多いときたものだ。これは手の施しようがない。
さて、このように様々な分野に浮気している私であるが、読み方がちょっと特殊なのではないか、と最近思うのである。
モチベーションの話でも触れたが、私は日々、妄想しながら生きている。
なんと、本を読む時も妄想しているのである。
「いや、読書に集中しろよ」
と思うかもしれないが、本の内容が興味深ければ深いほど、妄想が捗るのである。
たとえば、ヨーロッパには次のような信仰があると読んだことがある。
『
ここから様々な妄想が膨らむ。
この信仰は『神に選ばれた王』という観念を発展させる形で、王権神授説を生み出した訳だが、では、王ではなく別の存在ならば、どうなるだろう?
たとえば、ある宗教の聖女であったり、異世界転生してきた日本人であったり、ただの農民の子どもであったり……、などと妄想していくと物語が生まれる。
要は、読書することで妄想の幅が広がり、新しい物語が生まれるのである。
妄想するために読書する……、いや、物語を生むために読書すると言った方が聞こえは良いか。
果たして、このような読書の仕方は特殊なのか、創作家あるあるなのか……?
読書の更に面白いところは、一見すると、まったく関係のない記述が、妄想をきっかけに一つの線として繋がる瞬間があることである。
たとえば、私がカクヨムに上げている作品に『人魚へのキス』という作品がある。
ネタバレになるのであまり詳しくは書けないが、この作品では、佐賀県にある鯛女房という民話と、同性愛の話を関連させて、一つの物語として成り立たせている。
これは、民俗学の異類婚姻譚と、性的マイノリティに関する現代の問題を知っていないと、まず書けない物語であった。
私が思う、読書の一番の楽しみがコレである。
一見するとまったく関係ない知識が、別の知識と組み合わさることで、思わぬところで共通点や関連性を見いだすことができ、それを物語として編み込んでいく。
私が様々な分野をつまみ食いしている理由が、コレである。
しかし……、どうだろうか。
このような読み方をして楽しんでいる人が、一体どれだけいるのだろう?
日頃、専門書を読んでいる人のご意見を聞いてみたいものである。
「あなたは、専門書を読む時、どこに楽しさを見いだしていますか?」
是非、コメントで教えていただきたい所存である。
特に、創作に携わる人のご意見は、興味がある。
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