第13話 筆を執って10年経つこの頃

 エッセイという形をとって、色々と思いつくままに書いてきた。

 改めて読み返してみると、随分と鬱々としている上に、いささか赤裸々に書きすぎており、思わず叫び出したくなる。

 とはいえ、陽にさらして殺菌したと考えれば、いくぶん心が軽くなったとも言える。


 このエッセイはどこから読んでも良いものだが、最初から最後までお付き合いいただいた方々には感謝のしようもない(その分、私という人間のことを奥深いところまで知られてしまった羞恥心はあるが)。


 ところで、私はライトノベル・コンテストにばかり応募しているのだが、何故私はライトノベルに拘っているのだろう?

 最近の私の作品をお読みくださったみなさまなら分かるかもしれないが、かなーりライトである。というより、ノリが軽い。ふわふわと空に飛んでいってしまいそうである。

 ある日、某SNSで親しくさせて頂いている方から「文学の方が向いているのでは?」という旨のメッセージを頂いた。思えば、文学作品は読むことはあっても書くことはない。しかし、私が書きたい「人間関係」や「心理描写」という観点からいえば、むしろ、文学に舵を切った方が良いのではなかろうか。


 とはいえ「文学とは一体なんぞや?」というところからはじまる。

 哲学者、テリー・イーグルトンは「文学というものは存在しない」と言っている。

 では、文学という言葉に囚われず、ライトノベルという言葉にも囚われず、いっちょ書いてみようと思っているのが、最近の私である。


 とりあえず、今は「ハヤカワSFコンテスト」を目指して執筆中である。

 いきなり書いたこともないSFに飛び込む無謀っぷりだが、それも面白い。

 小説を書く人の頭はどこか正気を失っているところがあるため(酷い言い草である)、これくらいが丁度良いだろう。


 年も跨いで区切りも良いため、本エッセイはこれでお開きにしたいと思う。

 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。


 また一年、「マーマーフーフー」と呟きながらやっていきます。

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筆を執って10年経つこの頃 中今透 @tooru_nakaima

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