書き出し、微笑ましい交流が描かれて、ほっこりした気持ちに。でも題材を考えると、それはつかの間と感じ、甘い匂いの上着のそれから切ない気持ちになりました。戦争に関わって働くのは恐ろしいことですが、少女や周りのひとにとっては日常だった時代。今となっては異世界のようであり、西の方では同じ日常があるのだな、と
日本赤十字の従軍看護婦を描いた物語、あかい十字と地続きの物語です。戦争と人間、人間の條件、不毛地帯……このあたりの映画やドラマは幾つか見ましたが、それらでは語られなかった、しかしやはりそこにいた日赤看護婦の物語でした。シベリアに抑留された方々が主人公なので、満州、関東軍、七三一部隊、シベリア抑留と単語だけ見ても絶望しかない状況で、しかも軍人ではなく、看護婦の少女たちが、それでも希望を持って生きる様を恐ろしいまでの緻密な調査と描写で描いています。ただただその凄さに圧倒されました。
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