第12話 試される時

1点モノのマフラーを手に、麗子は幸せ絶頂だった。



だが……。


幾ら待ち合わせ時間になっても、

悠利ゆうりは現れない。



1時間待った。

寒空の中で……春先と言えど。

妊婦にはこたえる。



2時間待った。


だが……悠利はとうとう来なかった。麗子は…悠利の番号を押すと


知らない声の主が出た。





◇◇◇◇


「お前らを、潰しにきたぜ。」



「だれ?!」

「悠利は?悠利を出して!!」



「クックッ。愛しのダーリンは……クスリでおねんねさ……」


「!!?」


「悠利に何したの??!辞めて」



「いや〜。エミお嬢様がね?悠利の健康な臓器を海外へ売るからっつって、ゲラゲラゲラゲラ。」




「辞めて!!エミには謝るから、お願い!!悠利には手を出さないで!!」



「じゃあ、今から1人で指定場所に来れるか?」


「いっ…行くわ。」



「そんな身重で何が出来んだろうなぁ。アハハハハ!!」



プッ!ツーツーツー。





◇◇◇◇


指定場所は……人気の無い港の倉庫だった。



麗子は…恐ろしい経験をこの後する事になる。




恐る恐る倉庫の中へ入っていく麗子。

「悠利を出してよ!!居るんでしょ?!出しなさい!」





と、次の瞬間、麗子は……衝撃を受ける。



悠利が、、、変わり果てた姿で

倒れていた。



「悠利ー!!!いやぁ」


駆け寄る麗子へさらに悲劇が襲う。



突然、麗子の前に男が行く道を塞ぐと手には

金属バットを持っていた。



その金属バットで……。






男は振りかぶった!


麗子は……走馬灯が見えた


その瞬間







お腹に激痛が走った。



黒づくめの覆面を被った男は……

麗子のお腹へと



思い切り、金属バットで

殴り倒したのだった。






血が散乱する現場で……

麗子は…気を失った。





◇◇◇◇



まぶしい。



うっ。 痛い。



誰か、




助けて……







何が……起こったの?




ワタシ一体……



生きてるの?




「アハハハハハハハ!!!!」



「愉快愉快!まさかねぇ?」






お腹を金属バットで殴られた麗子を……さげすむむような視線を送る1人の人間が、

そこには居た。





新庄しんじょうエミ。







黒幕出現により、

エミは……悪魔に魂を売ったのであった。





【12話終わり】

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