第11話 総仕上げ
復讐の鬼と化したエミ。
清楚で可憐な彼女は、裏切られたショックから
悪女と変わってしまった。
◇◇◇◇
時は同じくして、、、麗子は部屋の中で、会社を休業し、
お腹に芽生えた命に少しづつ愛が芽生え始めていた。
お腹を
両親も驚くほどに変わったのだ。
「麗子。たまには外でお腹の赤ちゃんの為にディナーでもどうだい?」
父親は、麗子の身体を気遣った。
母親も、原因はどうあれ。
初孫が出来た喜びを
ベビー服をオーダーメイドで作っていた。
もちろん、男の子が産まれても
女の子が産まれても良いように
カラーは、純白の生地を選び抜いていた。
そんな両親を見ていると、今まで
麗子は……
(ワタシ。何してたんだろう?)
と新しい命と向き合っていた。
「そうだわ。悠利とデートしなくちゃ。ふふふ」
その日は…久しぶりの悠利とのデートだった。
麗子は…悠利の寛大さを尊敬しつつも、いつもとは違う
大人しめのファッションを選んで
早く早く。と
待ち合わせの時間が来るのを
楽しみに待っていた。
もちろん麗子は、
高いヒール靴は…卒業した。
身体のラインも隠して、ゆるふわ系のファッションを選び
美味しい料理が作れるように
シェフに毎日毎日、料理教室を
麗子の為だけに開いてくれた。
お腹の子に手をかざして麗子は
語りかけた。
「あなたのおかげよ…ありがとう」
もうすぐ悠利と挙式も近い。
全てを飲んで、許してくれた悠利を心から信頼して、
そして……麗子は、初めて愛と言うものを知ったのだった。
幸せ絶頂な麗子は……
悠利にプレゼントを渡す為に
少しだけ散歩がてら街中へ出た。
と、その時。
また、あのお婆さんに偶然逢えた。
お婆さんは、ため息をついた。
《あんたさん、死相が出とるじゃ。》
「え?」
なぜか、このお婆さんは…人生の転機で麗子へこんな酷い言葉を投げ掛けるのか?
麗子は…お婆さんへ
「大丈夫ですから。私は幸せです。」
そう言い残し
アパレルの店へと入って行き、
悠利のプレゼント選びを始めた。
1点ものの素敵なデザインのマフラー。
悠利にとても似合いそうだわ。
渡す瞬間を想像して、麗子は…
クスリっと笑顔になる。
「待ってて、悠利。愛してるわ」
【11話終わり】
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