第2話 その日の出来事
ピピピピ……
目覚まし時計が鳴る。
麗子は…既に起きて歯を磨いていた。
麗子の朝食は、決まっている。
季節のフルーツ&エスプレッソだ。資料に目を通しながらも麗子の目は光る。
(昨日、新規開拓した客からは契約三件は…取りたいわね。ふぅ)
エスプレッソマシンで作る珈琲は…入社の時に購入したものだがなかなか良い仕事をしてくれる。
と……その時。
【コンコンっ!】とノックの音がした。
『ダレ?』
相手は分かりきっているのだが、一応声をかける…
『麗子お嬢様。ポルシェが磨き終わりました。』
『あっそ。ありがと。』
召使い達は…麗子の部屋には近寄れないのだ。
何故なら、
麗子には…その部屋で夜を楽しむ相手が居るので
そう、易々と入れないのである。
麗子も年頃だ。仕事に燃えてる麗子を両親はたしなめた。
『そろそろ、
『悠利よりも今は仕事のが楽しいから。その話はまたね。』
結婚。結婚。結婚。
はぁ、疲れるわ。全くそんなに孫が見たいのかしら?
麗子は…シルバーのジャケットをバサッと持ち、珈琲を1口飲み
出勤の準備を始めた。
『じいや。フルーツを詰めて?車で食べるわ』
『はい。お嬢様。』
じいやは…深々とお辞儀をして部屋を後にした。
元々、麗子の家はホテル経営の家系だったので、仕事する必要も無いのだが、
ワガママで勝気な麗子は…
下界に降りてみたかったのだ。
案の定、入社当初から先輩社員に目を付けられたのだが、
麗子のSPが張っている為に大事には至らなかった。
『さぁ。仕事仕事!!』
フルーツを1つポイッと口に入れると、麗子はアクセルを全開にして家を出て行った。
グロロロロ。
ブォンブォン!!ブォン…ッッ
都会の真ん中で、麗子は慣れた手さばきでポルシェを走らせ社へ向かう。
の前に、寄る所があったが…麗子は何となく寄り道を辞めた。
いつもなら、洋装に似合う派手でもなく地味でもなく、
プチオシャレなジュエリーを日替わりで購入しに
ショップへ向かうのだが、、、
今日のお客は、少しだけ訳ありな為に辞めておいた。
客に合わせる。
そんな配慮すらテクニックとして麗子は…使っていた。
『あぁ朝礼が、まどろっこしいわ!』
少しだけ苛立ちながらもポルシェは駐車場へと入っていく。
◇◇◇◇
朝礼が終わり、車のキーをクルクルと
麗子は…ある事に気が付く。
パンクさせられていたのだった。
慌てもせずに麗子は…SPに連絡を入れた。
『まただわ。ベンツ持ってきて』
数分後、駐車場に真っ白なベンツが現れた。
麗子は…何事も無かったかのようにベンツに乗り込む。
『どうせ、先輩社員でしょ?潰しといて。』
指示を出して麗子は営業に向かった。
その日を境に、麗子の車はパンクする事は無かった。
先輩社員は……それからと言うもの、社には姿を表さなくなった。
麗子の家の家訓は……
【敵とみなしたら潰す事】である。
ウワサがウワサを呼び。
皆が麗子に逆らえなくなったのは言うまでもない。
【2話終わり】
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