第8話 知らないわ
「どちら様かしら?」
麗子は…冷たく突き放す。三宅は
逢いたい。と言ってくるが
「その件に関しましては、付き添い人を同行させます。」
三宅の背筋に嫌なモノが流れる。
「…………え?」
お構い無しにスマホを切った後に
三宅のカノジョを
純白のフェラーリの助手席へと誘う。
三宅のカノジョ…エミは
顔がぎこちない。
麗子は…澄まし顔でアクセル全開にした。
エミは…
「ここの景色見たことあるわ。」
「麗子さん?どうしたの?」
「貴方が逢ってと言うからよ。」
軽やかなハンドルさばきで、ものの20分で三宅の居る場所に着いた。
そう。
その場所とは、
麗子と三宅の情事の場所、
でもあった社長室だった。
(ホント。つまらない男だったわ。)
バンッ!!とフェラーリの扉を閉める。
助手席からは不思議そうな顔をしたエミが出てきた。
社長室へと一直線につかつかと麗子は進んでいく。
コココンッッ!
ノックして社長室へ入るなり、
三宅にビンタをする麗子だった。
「終わりだわ。つまらなかった」
「れ………麗子。オレは!!」
「しゅっ
麗子の後から、エミは顔がぐちゃぐちゃになりながらも
修羅場になった。
「れっ麗子!!」
「は?知らないわ。貴方達、お似合いね?エミが貴方にお説教してって頼んできたのよ。」
「2人が知り合いなんて?!嘘でしょ??」
「あんなつまらない男、本気になる訳無いでしょ?」
「うっ……酷い!麗子も修くんも。ワタシ一体何なのよ!!結婚してくれるって!!言ってたじゃないの!!」
「くすくすくすっ、馬鹿ね」
怒りの矛先は修へと向けるエミだった。
バシィ!!
2度目のビンタをエミに喰らう三宅。
「え?エミ。お前。お前とは……オレッ……。」
「何が永遠よ!!ふざけないで」
エミは既に半狂乱になっている。
「こんな面白いショーは無いわね?ねぇ?三宅さん?」
アッハハハと高笑いしながらも麗子は…2人を残して
その場を去ろうとすると、三宅は
「契約!!どうすんだよ!」
と麗子に怒鳴り始めた。
麗子は…クルリと振り返り、
「よそへ行くわ。さよなら。」
カツカツカツ……
ハイヒールの歩く音が
冷たく響くのだった。
【8話終わり】
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