第8話
エンドが起きてから、約100年が経ち、2276年。
人類は凄まじい快挙を成し遂げた。
セフィラの中でも最強格の存在であるネツァクを倒したのだ。
エインヘリヤルはその強さにより、E~Sのランク付けがされているのだが、S級エインヘリヤルが2名、A級エインヘリヤルが8名、B級エインヘリヤルが25名と、当時のB級以上のエインヘリヤルのほぼ全員による総力戦でネツァクを討伐した。
だが、ネツァクを討伐したという快挙に対し、その代償もそれだけ大きかった。
A級エインヘリヤルが2名、B級エインヘリヤルが7名が死亡。
S級エインヘリヤル2名、A級エインヘリヤル5名、B級エインヘリヤル15名が重症。
残りのA級エインヘリヤル1名とB級エインヘリヤル3名は、遠距離による攻撃を主としていたので軽症で済んでいた。
ネツァクは、5m程の巨大な騎士の姿をしており、盾と剣によって攻防一体の戦いをするセフィラだった。
加えて、『勝利』という特殊な能力を持っていた。
その能力の効果は戦いに勝利するごとに、自身の能力が倍になっていくというものだ。
最大倍率は約1000倍で、能力の倍加には期限があり、倍加してから1週間。
能力の期限や倍率については、ネツァクから観測されたアインエネルギーの量で測定したものなので、実際とは異なるかもしれないが。
周りにいるアルカナの数を減らし、『勝利』の能力をできる限り、発動させないようにしながら、攻撃と離脱を繰り返すことでどうにか倒したのである。
セフィラを1機倒したことにより、人類は戦意を高めたのだが、それを叩き潰すかのように悲劇が人類に訪れる。
最後に建設された4つ目の都市がイレギュラー:スルトにより、壊滅し、スルトがそこを占拠したのである。
第四都市の壊滅という悲報は、セフィラの討伐という吉報に喜んでいた人類を再び絶望へと叩き落とした。
だが、これはたった2年にして、覆されることとなる。
第四都市の生き残りである1人の少年がネツァクのコアに適合したことにより、最強のエインヘリヤルが誕生したのだ。
そして、2278年、その少年は第四都市を占拠していたスルトを激戦の末、討伐することに成功する。
人類は歓声を上げた。
セフィラすら超え、最強と言われる程の強さを誇るスルトが討伐されたことに。
討伐した少年はSS級という唯一のエインヘリヤルとなる。
そして、その少年の要請により、スルトによりほとんど跡形もない状態の第四都市の復興が行われた。
それ以降、エインヘリヤルとアルカナの戦いは一旦、落ち着く形となった。
エインヘリヤルを生み出し、今や世界を牛耳っている組織である『ヴァルハラ』が戦線維持へと意向を変えたからである。
セフィラやスルトとの戦いで強力なエインヘリヤルの数が激減し、都市の防衛に回せる戦力が減ってしまったからだった。
『ヴァルハラ』は減ってしまったエインヘリヤルを増やすために、数年でエインヘリヤルを早期発見し、育成するための仕組みを構築する。
アルカナのコアは15~20歳の人が適合しやすいので、エインヘリヤルになるための学園を作ったのだ。
その学園には、既にエインヘリヤルになったという者も入学していた。
戦術や規則を教え込むのにも、ちょうどよかったというのもあり、学園は3つの都市と復興途中の第4都市にも建設された。
人類は、そうして着々と戦力を整え、アルカナやセフィラとの戦いに備えていく。
今後、戦いがどうなるのかは、『神』のみぞ知るとしか言えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます