第5話

 ここから4話ほど説明回です。


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 2183年5月末。

 だんだんと肌寒いから暖かい・・・または熱い季節へと変わっていく頃。

 世界は驚愕に包まれることとなる。


 なんと、突如、ほぼ全ての機械が、空へと浮かんでいってしまったのである。

 家電のような身近なものから、自動車のような大型なものなど、すべてが空へと浮かんでいく。

 止めようにも、壁をすり抜けてでも浮かんでいってしまうため、どうやっても阻止できなかった。


 唯一阻止する方法があったが、非常に強引な方法で、その場で壊してしまうというものだった。

 壊してしまえば、機械という判定ではなくなるのか、空へと浮かばなくなる。

 だが、それを直してしまえば、再び空へと浮かび上がるようになってしまう。

 そのため、たった3日程で、世界から機械という機械が消え去ってしまった。


 それから半年後、2183年11月末。

 気温が下がり、冬へと突入していく頃。

 ただでさえ、機械という便利な代物がなく、不安だらけだった人類は、恐怖と絶望にさいなまれることとなった。

 動物や虫、化け物の形をしたロボットが空から降りてきて、人々を襲ったのである。

 現存していた機械よりも圧倒的複雑かつ強固な正体不明のロボット達は、のちに総称として『アルカナ』と呼ばれるようになった。


 このアルカナによって、たった1週間程で人類の約9割が死亡。

 残り1割は残っていた武器やシェルターなどを駆使して、どうにか生き延びていたのだが、彼らにさらなる絶望が空から舞い降りた。


 自らを『セフィラ』と名乗るアルカナが10機、空から降りてきたのだ。

 セフィラは、基本的に通常のアルカナよりも戦闘力が高く、それに加えて、アルカナを強化したり、治癒したり、改造したりと10機それぞれが特殊な力を持っていた。

 アルカナは知能という意味では、普通の獣より少し賢いぐらいだが、セフィラは人間と変わらない、あるいはそれ以上の知能を持っていた。

 そのため、生き延びていた人類のほとんどもセフィラの登場により壊滅、世界は滅亡への一途をたどった。

 この現象、機械が空に浮かんだことから、アルカナやセフィラが侵攻してきたことをまとめて、『ワールドエンド』、あるいは『エンド』と呼ばれるようになる。


 こうして、事実上、世界は滅亡を遂げた。

 だがしかし、数少ない人類の生き残りは、まだあきらめてはいなかった。

 アルカナへの対抗手段を探すために、徹底的に調べ上げた。


 その結果、過去にもエンドと似た現象が起こった可能性があるという結論が出た。

 オーパーツなどと言われるのは、エンドにより滅亡した前文明の遺産なのではないかと。

 といっても、そんなことが分かったところで、結局のところ、対処の仕方が分かったわけではない。

 

 アルカナが暴れまわるこの世界で生き延びる方法。

 それは戦うしかない。

 だが、機械が空へと浮かんでしまった以上、ほとんどの武器は既に手元になく、新たに創造するというのも非常に難しい。

 唯一使えるのは銃や爆弾くらいだが、一番弱いアルカナですら、対物ライフルを至近距離かつ弱点に叩き込まなければ、倒せないくらいには強い。

 もちろんだが、通常の刃物などは一切、役に立たない。

 大型の武器は、機械の補助がなければ、動かすことは難しい。

 何も手はないかに思えた。


 そして、悩んだ人類が最初に取った手段は、人間をサイボーグへと変えることだった。

 確かに機械を新たに作ったとしても、空へと浮かんで行ってしまう。

 だが、それにも例外があったのである。

 機械であるにもかかわらず、空へと浮かんでいかないものが存在したのだ。

 それは、ペースメーカーなどの人体に埋め込んだ物、あるいは義手などのように人体に接合されているものだった。

 それに気づいた人類は一部の人間をサイボーグ化するという狂気の実験を実施した。


 結果は、最弱レベルのアルカナ相手なら、かろうじて勝つことができる程度。

 少し強いアルカナ相手ならば、数人で足止めが精一杯だった。

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