第6話

 サイボーグは失敗ではないが、どう考えてもあまり効果がない手段であり、加えて、残っている機械の部品もそう多くはないため、大量生産できるようなものでもない。

 ならば、どうすればいいのか。

 様々なことを検討・実験しているうちに分かったことは、破損したアルカナを利用して作られた機械は、部品になんらかの処置がされているのか、空に浮かんでいかないということだ。

 それに、アルカナには、未知のエネルギーが使用されているということも。


 アルカナには、エネルギー源として、コアが内蔵されている。

 それによって、破壊されるまで永遠に動き続けることを可能としているのだ。

 その未知エネルギーは『アインエネルギー』と名付けられた。


 人類はアルカナやアインエネルギーについて、ある程度調べた後、3つの方法を考え付いた。

 1つ目は、アルカナを操る手段を創り出すということ。

 ハッキングやエネルギー操作の類などができないか試したが、限りなく不可能に近いとされ、この案は即座に捨てられた。

 2つ目は、アルカナの部品を用いた武器の作成。

 これに関しては、ある程度の成果を挙げた。

 通常の武器よりもはるかに頑丈かつ強力な武器を作ることができた。

 生身の人間が振るうには重すぎるのは問題だが、サイボーグ化した人間が使えば、弱めのアルカナを複数相手にいても戦える程度にはなった。

 そして、最後の3つ目は、アルカナのコアを人に埋め込むことで、人間自体をアルカナに匹敵する生物兵器に作り替えるということ。

 動物に試すなど、実験を繰り返した末に、数十人にコアを埋め込んだ結果、2名を除き、拒否反応を起こして、死亡、あるいは植物状態になってしまった。

 しかし、コアに適合することができた2名は、想像以上の成果を挙げた。

 コアに適合すると、個人差はあるものの、身体能力や治癒力などが何倍あるいは何十倍にも引き上げられ、素手でアルカナを倒すことすら可能となった。

 コアに適合できた人間は、『エインヘリヤル』と名付けられる。


 この後、さらに研究は重ねられ、コアへ適合するかどうかを事前に調べることができるようになる。

 だが、コアごとに適合できる人間も異なるため、エインヘリヤルの数はなかなか増えなかった。


 だがしかし、人類は諦めることなく、10年という年月をかけて、エインヘリヤルの数を増やし、地上奪還作戦を決行した。

 エインヘリヤルにより、一定範囲のアルカナを一掃。

 その後、アルカナの残骸と持ち運んだ資材、そして廃墟の一部を用いて、都市を建築していくという作戦だった。

 強大なアルカナが襲ってきたり、アルカナの残骸足りなくなったりと様々な困難が訪れたものの、数十年という時間をかけて、第一都市グローリアが完成した。


 都市の大きさという意味では、エンドの前と比べるとかなり小さいだろう。

 だが、その防衛力は昔の国をはるかに超え、利便性においても、昔を超えていた。

 皮肉なことに、アルカナやセフィラによる侵攻により、人類は再び発展を遂げたのだ。


 そして、この作戦の過程で発生したアルカナとエインヘリヤルの戦闘の際に、いくつか判明したことがあった。

 そのうちの1つが、アルカナを元に作った武器達、総称『タロット』は、エインヘリヤルが使うと威力が上がったり、強力なアルカナが元となっていると特殊能力が存在したりしていることが判明した。

 ただ、タロットに関しても、コアと同様に適性があるようで、エインヘリヤルが使うと必ず強くなるという訳ではなかったが。


 こうして、人類はアルカナという新たな技術やエネルギーの宝庫を手に入れたことで、エインヘリヤルやタロットという対抗手段を発明した。

 第一グローリア建設後、人類はほかの場所にも都市を建設することに成功する。

 人類とアルカナの戦いはまだまだ続くのだった。

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