第9話
「はっ!やぁっ!せやっ!」
少女が闘技場のような場所で、1mを超える長さの
その少女とは、リーナのことで、リーナはちょうど訓練をしているところだった。
友人の死から数日が経ち、リーナもようやく気持ちの整理が多少はついてきていた。
「せいっ!やぁっ!はぁっ!」
リーナは全てを守ることができる力を身に着けるため、今までやっていた訓練をよりハードにしていた。
リーナは第一都市にあるエインヘリヤル育成の学校、エインヘリヤル第一学園、通称『一学』の生徒だった。
いつも朝練で学園の訓練場を借りているのだ。
訓練場はエインヘリヤルが戦っても大丈夫なように、非常に強固かつ、時間は多少かかるものの自己修復機能付きという優れものだ。
もし、今のリーナが全力を勢いをつけて壁に向かって槍をついたとしても、ほんの少しだけ壁が削れるだけ。
リーナの全力の突きは、厚さ30cmの鉄板を貫くほどの威力であることを考えると、訓練場の凄さがよく分かる。
それにほんの少し削れる程度なら、1分もあれば、勝手に修復できるのでほぼノーダメージに等しい。
そのため、リーナも思う存分、全力を出して訓練ができるのだった。
「やぁっ!くっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
槍の重さに体が振り回され、リーナはそのまま床に倒れこむ。
ゴロンゴロンと槍が転がる音が誰もいない訓練場に響いた。
「あ・・・もうこんな時間・・・教室に行かないと・・・いけませんね・・・」
地面に手をついたことで、腕につけているリングに映し出されている時間の表示がちょうど目に入る。
あと1時間もしたら、授業が始まる時間だった。
リーナは転がった槍を手に取って、訓練場を出る。
汗をかいたので、お風呂に入りたかったリーナは駆け足で自分の部屋へと向かった。
――――――――――――――――――――
「ふぅ・・・」
一糸まとわぬ姿で水を全身に浴びて息をつくリーナ。
訓練でほてった体が冷えて、気持ちよさそうにしていた。
「あ・・・体に悪いですね。」
リーナは冷えすぎもよくない、と少し冷えたところで、お湯へと切り替える。
「はぁ~・・・」
暖かいお湯が全身に当たり、固まっていた筋肉がほぐれるような感覚に、リーナは再び、気持ちよさそうに、声を出した。
(あれぐらいで疲れているようじゃ、まだまだですね。)
どこまでもストイックなリーナは、同じエインヘリヤルでも吐きそうな程の訓練をしているというにもかかわらず、まだまだ足りないと自分を戒める。
しばらくシャワーを浴びた後、リーナはタオルを手に取って、濡れている体を丁寧に拭き、授業の準備を始めた。
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