全話読了し、レビューコメント失礼致します。
御作は国を失い、ただ戦うことを糧に生きる孤独な騎士がひとり奴隷少女と出逢い、すれ違いながらも心を通わせていくお話です。
物語の舞台は亡者が跋扈する世界。生者の血肉を喰らう危険な存在と、それらを倒す術を持つ『魂送り』という存在がいる。
荒野の中、主人に見捨てられた奴隷少女は亡国の騎士に命を救われる。名もなく、文字も書けなかった奴隷少女に与えられた名前はメル。
亡者を倒す唯一の手段である『魂送り』も真似事程度にしか出来なかった彼女が、彼との出逢いを通じ、周りの人々に支えられて成長していく様を見届けてほしいと思います。
そして、もうひとりの主人公のアスター。彼が抱える心の闇と過去。それが明らかになっていく度に、彼の本当の人間性と本音が浮き彫りになり、物語は面白さを加速させていきます。
シビアな世界観ですが、確かな人情もあり、心温まるエピソードもあります。
ぜひ、最後まで手に取って頂きたい作品です!
全話読了済みです。
守りたかった者たちを守れなかった傭兵アスターと1人亡者の襲撃から生き残ることになった奴隷でありながらも『謡い手』の技能を持つ少女メル。双方ともに心に大きな傷を抱えたこの2人が物語の主役になります。
この時点で少なからず重い物語になるであろうことは予想していただけると思いますが、不器用な2人がときに励まし合い、反発し合いながらも少しずつ前を向いて歩いていこうとする姿とそれを支える人々の姿には続きを読みたくなると思わせてくれる力があります。それほどまでにキャラとストーリーの完成度の高い作品に仕上がっています。特に最終章の熱量は非常に高いです!
完結済みの作品ですが続編もあるので是非とも読んでほしいです!
面白かったです。ついつい、一気読みしてしまいました。
さて、本作は奴隷の少女『メル』と流浪の剣士『アスター』の出会いから始まります。奴隷であったために人として未熟なメルと、過去を引きずりながら人探しをするアスターが旅の中で人々と出会い、互いに成長していく王道成長物語です。
確かに派手さは無いかもしれない。でも、この物語には確かな豊かさがあります。細やかな心の動きを緻密に書き上げ、なおかつ分かりやすく読者に届けるその手腕には脱帽するところであります。
また心理描写だけでなく、ストーリーも伏線や設定をうまく組み上げる予定調和と意外性の絶妙なバランスが美しいと感じました。特に……おっと危ない、思わずネタバレしそうになってしまった!
これは前述の物語の豊かさにつながることでもあるのですが、キャラクターの造形がいいですね。メインキャラクターの深みがあることは勿論ですが、あまり出番のないキャラクターの歩んできた人生も想像させられることが多く、彼ら彼女らが生きている存在だと思わせる迫力があります。
さて、設定自体はダークファンタジーよりの世界観を持つ本作ですが、その厚い雲の隙間から光が差し込み、照らされた草木が微笑む。そんな希望と世界に生きる人々の強さを感じさせる作品でした。この作品に巡り合えたことに感謝を!
では皆さん、ぜひ読んでみてください!
何気に読み始めたのですが、これほどまでに感動させられるとは思いもよりませんでした。
亡者が蠢き、生者を喰らう混沌とした戦場。
全てを無くし、ただ戦うことだけに生きる剣士アスターと、何も持たない、名前すら与えられず、所有者に戦場に盾として戦場に放り込まれた少女との出会いから始まります。
起伏に富んだストーリーがお話へと引き込みますが、それ以上にボクは、キャラたちの心の中に抱く想いをぶつけ合うさまに深い感動を覚えました。
また、主人公とヒロインの想いのすれ違いにハラハラドキドキさせられて、次々に読み進めてしまい、ボクは一気に読んでしまいました。
読後、もう一度読みたくなる、そして、完結するのが少し寂しくも感じてしまう感動傑作です。是非一度、読んでみてください。
生者を襲い、そして喰らう死せる者たち……"亡者"が跳梁跋扈する世界。
暗い過去を背負いし青年剣士アスターと、人間の盾として亡者たちの只中に放り出された奴隷の少女メルが邂逅を果たしたことで、運命の歯車は大きく動き始める。
自己の存在理由は見出せず、帰る場所もない。唯一有しているのは"魂送り"と呼ばれる、歌と踊りによって亡者の魂を解放する能力。それも、粗悪な教育の中で習得した中途半端なもの。
命の恩人とも言えるアスターの旅に同行することを願うメルだが……
絶望しか存在しないような、退廃的な世界で繰り広げられる人間模様は決して綺麗なものばかりとは言い難く、親切な人もいる一方で、醜悪なる本性を剥き出しにする怪物の如き者たちも確かに存在する。
それぞれ闇を抱えるアスターとメルのすれ違いは痛ましく、それでいて切ない。特に、奴隷という境遇ゆえに自己の存在意義を見出せないメルの悲痛な叫びは、読み手の心を深く抉る。
幻想的であり、それでいて耽美的。絶望しかないような世界でアスターとメルが懸命に紡ぐ、苦難を乗り越えて手に入れる"今日"という瞬間。硝子細工の如きその輝きの美しさは、この作品ならではの、唯一無二の魅力ではないだろうか。
全話読み終えてのレビューです。
この話は全てを失った青年剣士アスターと、命すら自分の物ではない奴隷少女メルが出会い、それぞれの喪失を受け止めて明日を向いて生きて行く。
その道筋を描いた物語です。
メルの視点で描かれる本文は、メル本人の気質そのままの優しく柔らかな文体で、すっと世界に入っていけます。
優しい文体ながらも、メルの境遇は非常に苛烈な厳しいものです。
物語冒頭から主人を逃がすための肉の盾として亡者の只中に取り残される。
アスターと出会い、面倒を見てくれる孤児院に辿り着いたと思いきや、クズな本性を隠している場所だった。
これでもかと畳み掛けて来る苦難。助けてくれたアスターと伸び伸び旅して行くのね、と思いきや彼の方も何やら訳あり。
しかも生来の不器用&無口のダブルコンボでメルをやきもきさせます。
これだけ言うと「え?ちょっとどうなの?」と思うかもしれません。
でも大丈夫です! 世界は厳しく過酷でも、メルに愛情を向けてくれる人が、アスターの抱える傷に思いを寄せる人がちゃんといます。
すれ違いやボタンの掛け違いを繰り返しながらも、何もない少女メルが全てを失ったアスターと共に生き抜いていく今日と、苦難を乗り越えて掴んだ明日の物語を是非、体験してみてください。 かなりおすすめです!
全67話完結済み、読了してのレビューです。
とにかく言えることは、こんな良作、埋もれたままではあまりに悲しすぎる、です。
読まないともったいなさすぎます。
もちろん主流の要素はありませんし、その面ではデメリットでしょうが、読めばすぐに引き込まれるのも間違いありません。
奴隷の少女メルと旅の剣士アスターが出会ったところから物語が始まります。
怖ろしくも美しい世界、人を食う亡者、それらを葬送するための魂送り、この舞台を見ただけでも読まずにはいられません。
本作はメルとアスター、この二人を中心に展開しますが、旅の途上で出てくる様々なキャラも魅力に溢れています。
色々と隠された謎もあって、それが一つずつ解き明かされるごとに二人の絆もまた深まっていきます。
これはファンタジーでありながら冒険小説でもあり、さらには二人の成長譚でもあります。
上述したようにテンプレ的要素はありませんが、美しくも恐ろしい舞台、魅力あふれるキャラ、そして読みやすく紡がれた文章とその描写力、どれをとっても一級品間違いなしの本作です。
必読です。この週末にぜひ触れてみてください。
なお、あらすじにはコンテスト募集のため、ネタバレ部分があります。もちろん直接目に入らないよう工夫されていますが、くれぐれも注意してください。
なにが絶望的かというと、亡者が出て生きた人間を食らうんですよ。普通の武器で倒しても、すぐに復活されてしまう。
そんな世界で、奴隷の少女メルは亡者に殺されかかっているところを剣士アスターに助けられ、絶望的な世界での二人の旅が始まります。
メルは奴隷だったというのに、とにかく健気で良い子。
対してアスターは剣の腕前は素晴らしいものの、仏頂面の不器用者。
二人の行く先になにが待っているのか、私もまだ序盤なので分かりませんが、舞台設定といい立ったキャラといい、作者様のプロ顔負けの文章力といい、期待出来ないはずがない。
さあ、一緒に見届けましょう。
きっと幸せが待ってい……て欲しいなあ。
最後まで読ませて頂いてから思うことは、
タイトル通り読後感の余韻が素晴らしい作品です!
メルとアスターがお互いの心の交流を通して、楽しく、時にぶつかりながら深いところで少しずつ変化していく様を、
近くで二人を応援しているように物語に入り込んでしまいました。
また各章必ずドキドキハラハラしてしまうポイントがあって、一章があっという間です!
特に好きなところは、親しみやすいキャラクター達です。
不要な飾り気や下心を感じない、作者様の誠実さが滲み出ているような、共感してしまう生き生きしたキャラクター達。
ドキドキハラハラしつつも、優しく美しい世界が心地よいです。
からの、素晴らしい読後感。
ネタバレになってしまうので深くは言えませんが……
オススメです!!!!!