概要
亡者に侵食され滅びに向かう世界で──奴隷の少女メルは、荒野の真ん中に取り残されて亡者に襲われていたところを、旅の剣士アスターに助けられる。
亡者は剣で倒せない。
とどめを刺すには、弱ったところを魂送りと呼ばれる歌と踊りで、亡者と化したさまよえる魂を葬送する必要があった。
魂送りをしてアスターの旅についていくことを願うメルだけど、アスターにはある悲しい秘密があって……?
──これは奴隷の少女と、孤独な剣士が「帰る場所」を見つけていく物語。
【狼駄様作『ローダ『最初の扉を開く青年』
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!亡者蔓延る残酷な世界で孤独な亡国騎士と魂送りの奴隷少女が出逢いを果たす
全話読了し、レビューコメント失礼致します。
御作は国を失い、ただ戦うことを糧に生きる孤独な騎士がひとり奴隷少女と出逢い、すれ違いながらも心を通わせていくお話です。
物語の舞台は亡者が跋扈する世界。生者の血肉を喰らう危険な存在と、それらを倒す術を持つ『魂送り』という存在がいる。
荒野の中、主人に見捨てられた奴隷少女は亡国の騎士に命を救われる。名もなく、文字も書けなかった奴隷少女に与えられた名前はメル。
亡者を倒す唯一の手段である『魂送り』も真似事程度にしか出来なかった彼女が、彼との出逢いを通じ、周りの人々に支えられて成長していく様を見届けてほしいと思います。
そして、もうひとりの主人公の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!忘れてはいけない
全話読了済みです。
守りたかった者たちを守れなかった傭兵アスターと1人亡者の襲撃から生き残ることになった奴隷でありながらも『謡い手』の技能を持つ少女メル。双方ともに心に大きな傷を抱えたこの2人が物語の主役になります。
この時点で少なからず重い物語になるであろうことは予想していただけると思いますが、不器用な2人がときに励まし合い、反発し合いながらも少しずつ前を向いて歩いていこうとする姿とそれを支える人々の姿には続きを読みたくなると思わせてくれる力があります。それほどまでにキャラとストーリーの完成度の高い作品に仕上がっています。特に最終章の熱量は非常に高いです!
完結済みの作品ですが続編も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青年と少女は——と向き合い、レクイエムを奏でる。
面白かったです。ついつい、一気読みしてしまいました。
さて、本作は奴隷の少女『メル』と流浪の剣士『アスター』の出会いから始まります。奴隷であったために人として未熟なメルと、過去を引きずりながら人探しをするアスターが旅の中で人々と出会い、互いに成長していく王道成長物語です。
確かに派手さは無いかもしれない。でも、この物語には確かな豊かさがあります。細やかな心の動きを緻密に書き上げ、なおかつ分かりやすく読者に届けるその手腕には脱帽するところであります。
また心理描写だけでなく、ストーリーも伏線や設定をうまく組み上げる予定調和と意外性の絶妙なバランスが美しいと感じました。特に……おっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生と死の狭間でぶつかり合う想い、こころ揺さぶる傑作
何気に読み始めたのですが、これほどまでに感動させられるとは思いもよりませんでした。
亡者が蠢き、生者を喰らう混沌とした戦場。
全てを無くし、ただ戦うことだけに生きる剣士アスターと、何も持たない、名前すら与えられず、所有者に戦場に盾として戦場に放り込まれた少女との出会いから始まります。
起伏に富んだストーリーがお話へと引き込みますが、それ以上にボクは、キャラたちの心の中に抱く想いをぶつけ合うさまに深い感動を覚えました。
また、主人公とヒロインの想いのすれ違いにハラハラドキドキさせられて、次々に読み進めてしまい、ボクは一気に読んでしまいました。
読後、もう一度読みたくなる、そして、完結する…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶望の中に垣間見る、幻想と耽美
生者を襲い、そして喰らう死せる者たち……"亡者"が跳梁跋扈する世界。
暗い過去を背負いし青年剣士アスターと、人間の盾として亡者たちの只中に放り出された奴隷の少女メルが邂逅を果たしたことで、運命の歯車は大きく動き始める。
自己の存在理由は見出せず、帰る場所もない。唯一有しているのは"魂送り"と呼ばれる、歌と踊りによって亡者の魂を解放する能力。それも、粗悪な教育の中で習得した中途半端なもの。
命の恩人とも言えるアスターの旅に同行することを願うメルだが……
絶望しか存在しないような、退廃的な世界で繰り広げられる人間模様は決して綺麗なものばかりとは言い難く、親切な人もいる一方で、醜悪なる本性…続きを読む