散り際に見る命の煌きは、儚くて力強い。

多くの人に聴き馴染みのある「新選組」の歴史に、人の死後に姿を現す化け物を祓う「魂喰」を掛け合わせた歴史ファンタジー作品です。

取り繕っても仕方ないので正直に言うと、私は歴史に全く明るくないです。名前や名称は聞いた事があるけど、それがどういう内容で誰が何を成したのかもわからない。それでも最後まで読み進められたのは、この作品の中で多くの生き様を垣間見ることができたからです。
命よりも大義のために刹那を生きた男たちと、名を残さず人の行く末を見守り続けた者たち。彼らを通して見る幕末の世界はすごく窮屈で、息苦しくて、やるせなくて。どうしてこうなってしまうのだろう、どうしてこんな選択しかできないのだろうと胸が痛むことの連続です。でも、彼らはそんな世界を鮮やかに駆け抜けました。命を迸らせながら愚直に不器用に、それでも生きてくれました。
もしこのレビューを読んで彼らの生き様を見届けようと思った時、歴史小説の壁の高さに怯む必要はありません。もちろん知識があれば楽しめる要素は何倍にも膨らむのでしょうが、私は作者様が伝えたいことは史実の知識ではなく、その時代を生きた人々の魂なんだと思いました。だからどうか委縮することなく、この作品に飛び込んでみてほしいです。
ブロマンス好きにもお勧めしたい激熱幕末群像劇。ぜひご一読あれ!

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