京乱の夜を駆ける二人の友情

幕末の京都を舞台に、幕府側の『新選組』と帝につく妖たちの集団『魂喰』が手を組んで今日の街を守るところから始まる。

幕末の男たちの生き様は、やはり熱く、強く、そして、儚い。

この話の主人公である藤堂平助も、基本的には読者よりの感性でいてくれて、私達に寄り添ってくれる。しかし、彼もまた幕末を駆け抜ける男だ。
勿論、他の新選組も周りの人達も、幕末の世を生きる人達として出てくる。
何度だって「何であなた達はそうなんだ!」と叫ばせ、何度でも「だからこそ彼らなのだ」と読者を納得させるのは、作者の手腕故だろう。

また、今回の話はただの事実ではなく、魂喰というファンタジー要素もあり、それが一層作品を面白くしている。
史実にあった事件に、そのファンタジー要素を違和感なく混ぜ込み、本当に面白くワクワクさせるのだ。

特に平助と、魂喰である貂の友情は、この作品の大きな見どころであろう。
ブロマンスというには、もっと濃く熱い何かがあると最後まで見届けた私は思う。
勿論、それだけではなく、様々な友情や愛情といったものをこの作品では余すこと無く書かれている。

ぜひ皆さんにも、
この京乱を最後まで見届けてほしいと、
私は本当に思う。

その他のおすすめレビュー

木曜日御前さんの他のおすすめレビュー178