幕末を舞台にした『情』の物語

人を乱心させ、京では実体化した化け物にまでなる兇魂。
それを祓うは『魂喰』と呼ばれる集団。
そして、京の治安を守るために組織された言わずと知れた『新撰組』。

この二つが手を組んで、京の街の治安のために働くのが大筋なのだが、きな臭い事件の連続。
暗い策謀もあり、潔い決意もあり、悲しい結末もある。

歴史として最終的に『新撰組』がどうなるのか知っているだけに、属する人々に思いを馳せずにはいられない。
しかし、物語の中の彼らは生き生きと描かれる。
そして、冷静に物怖じせずに剣を振るい、命を絶つ。

兇魂は化け物であるが、新選組もまた残酷なまでに人を殺し、時には拷問まで行う。
彼らに対立する者たち――長州や呪詛使もまた、多くの人を巻き添えに事件を起こそうとする。

果たして、真に恐ろしきは人か化け物か……?
幕末を舞台にした薄暗くも、どこか明るさを失わない『情』の物語を是非、ご堪能あれ!

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