落ちて堕ちて

 こうした文学に触れるのはいつ以来だろうか。

 閉めきった部屋の中で自分の好きな花を敷き詰めながら、壁越しに伝わる何か得体の知れない機械のうなり声を聞き続けさせられるかのごとき悦楽と狂気を感じた。

 作中の仕掛けは簡潔にできているが、読者によっては少なくとも間を置かずに二回読む意欲をかきたてられるかもしれない。あるいは数十年してから思い出したように読みたくなるかもしれない。

 いずれにせよ、一読すれば妖しく謎めいた屋敷の虜になること間違いない。

 必読本作。

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