穏やかで優しい世界の物語

穏やかで、優しい物語だ。読み進めるうちにじんわりと心に沁みる心地良さがある。
主人公である里の、運の悪さには思わず、応援したくなってしまう。頑張れ、と応援したくなるような主人公は、遠く離れた祖母の家の管理をすることになる。
神社へと続く道に迷い込んだ里は、そこで神様と出会う。神様と出会ったことから始まるお話は、驚く程に穏やかに優しく進む。強張っていた心をゆっくりと解す優しさに満ちた世界の、物語がここにある。
時に切なく、時にはらはらとしながらも進む物語は力が抜けそうな程に穏やかだ。
登場人物は皆、誰もが魅力的だ。魅力的で、優しくて、読んでいて心地良くなる。縁側で足を投げ出しながら、お茶を片手に物語を読み進めたくなる。

読後感は希望に満ちていて、すっと力が抜けて心地が良い。そんな物語です。

その他のおすすめレビュー

白原 糸さんの他のおすすめレビュー268