多角的な視点で描かれた叙述描写と、思惑の交差する人間模様に趣を感じるおとなの小説。静かな、スローなテンポで頭に染み込む感じの文体、文章に味わいを得た。愛のかたちを問いかけるような、手応えのある作品、と僕は感じました。
愛憎、でいいのでしょうか。ただの恋慕ではない、ただの憎しみではない、入り混じって複雑に溶け合っていて、その濁った先の先に、確かに透明感がある。そんなお話でした。とてもよかったです。
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