表裏と虚実

 こまやかに登場人物の心情を描ききった秀作。作中の現時点において精神的にも肉体的にもあともどりできなくなった彼女からすれば、次なる展開は救いでもあり意志でもあった。そこを安直に運ばずに、彼女の母に語らせることで主人公の心情が徐々にしっかりした形になっていくのが憎い構成だ。

 必読本作。

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