終話 夢の行く末

 もしかして奏は、、、、

あり得ない。

奏の正体、特別室の意味、、。

そしてあのシスターの言葉。

私が初めて心から信頼できると思ったシスター。

「夢ってなんだろう。」 

そう、呟いた私は頭を抱えた。 


  

「夢を持たなくてもいいのかも知れない、

うん、そうだ。きっと持たなくてもいいんじゃない。勝手に決めた規則に従う理由なんてないし、夢がなくたって、、、、」

 


また私みたいな悩んでしまう子が生まれるかもしれない。その子は救いの手を差し伸べてくれる人がいないかもしれない。そうしたらその子は、、

 「私が一番になれば--」

 

⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶



そして数日後。 クラスにて。

「ついに一番特別室行きじゃね?」

「あんなやつ入らないって( ´∀`)」 

嘲笑。

そんなやつらを横目に

「大丈夫かな、、一番」 

そう呟た13番は怪訝な様子だった。


「「おはようございます!!」」

「1番、、?お、おはよう!」

いつもと違う1番の元気そうな声。

まるで別人だった。

「1番、なんかあったの?体は大丈夫?」

「うん、ありがと。大丈夫。色々考えて自分で決めた。」

そういう1番の顔は昔みたいに楽しそうで、そして、、

絶対に変えない強い意志のようなものがあるように見えた。

「ーー生徒の呼び出しです。ーー」

無機質な声が流れた。 

久しぶりの声。

「ーさん。さん。」

それじゃあいってくるね。13番。

「う、うん。」

⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶


「無の一番さん、体調とかは大丈夫なの?」

いつもの先生の声だった。

今考えてみたらこの人は本当に心配してくれているのだろうか、

それさえもわからない、と思ったが、もしそうだとしても

私の中の夢は変わらない。

「はい、大丈夫です。」

じゃあ、、もう一回聞くけど

叶えたい夢はあるかしら?」

 、、、。本当に言ってもいいのだろうか。

ここになって悩むなんておかしい。それをわかっていても悩んでしまう私がもどかしい。どうして、、



奏の伝言だった。脳内に浮かんできたのは。

そしてそれも消えて、、、 


⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶

(ーー!ーー!一緒に遊ぼうよ~)

この声は、、、

((奏!))

(勿論だよ。)

(ねね、ーーとーーはさ、私達が合えなくなったらどうする?)

そういい笑っている私と13。忘れていた昔の記憶、、。

ああ、、懐かしい。なんでこの時を忘れてしまっていたのだろうか。

ああ、そうだ。私と13の名前は、、


(私はどーしても会えないのならあきらめちゃうかも。

新しいところで友達つくる。

みんながそれぞれそうしていけばいつかみんなで会えると思うんだ!)

(へえ、、さすがだね、大人っぽい。)

(何それw奏は?)

(うーん、、私はね、、

みんなでそれぞれ頑張ってずっと探して会いたい。

だって寂しいじゃん、

一人ぼっちなんて。私だったらずっと探すよ。)

(私も同じかな。)

その時の私はたしかそう答えていた。

(まあ、、みんな会いたいってことは変わらないね。)

当たり前じゃんだって私達親友、でしょ?

顔を見合わせた二人は、、

(もちろん!!)

そういい笑っていた。

⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶

そっか、この時から返答は決まってる。そう、、


「ありません。

で、ですが、、

やりたいことならあります!」

自分が夢がない人達の先駆者になる。一番になる。

そして、、いつか奏を直して

また三人で笑いあうんだ。夢の先で。

そう言った1番の顔は昔のように笑いながらも、決意にあふれていた。

  終




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夢の先へ 擬音幽花 @gionyuka

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