第2話 世間体に囚われた私
ガラガラ。 教室のドアを開ける。
こういうとこだけ重いのやめて欲しいな、、。
こういうのも軽くしてくれたらもっと楽になるのに__
「あ、おはよ一番!今日も元気そうで何よりだよ~!!」
そういってくれたのは心理学者志望の13番。この生活になる前からわたしの友人な彼女は、私と違い優秀だった。
まぁ所謂委員長タイプ。
人をまとめるのが好き?なのかわからないけどまとめてくれている。
私には理解できない、、。
13番は、夢がなく孤立したわたしに前のようにずっと話しかけてくれた。
私は最近ずっと13番としか喋っていない。まぁあの子がまだこの教室にいたときは違かったけど、、。
そして13番はみなに好かれていた。わたしと違って。人をまとめる天性の才能だろうか?それがあったのだ。
今この世の中では名前はほぼ使われなく、大人だと役職、子供だと役職に志望した順番の番号で呼ばれていた。これも政策のひとつらしい。
「おはよ~。13番。」
元気よく返す。自分の気持ちを塗り替えるように。
その時、
「ーー生徒の呼び出しです。ーー」
無機質な声が流れた。
昔ならあまり聞かなかったが、今ではよく聞く声。その声に慣れてしまっている私が恥ずかしい。
「ー無の一番さん。無の一番さん。
至急、職員室まで来なさい。ーー 」
周りの視線がわたしに集まるのを感じる。
はいはい。私ですよ、、。
夢がない無なのはね。
「あいつ、もう特別室行きじゃねぇか?」
この教室にはもう入れないだろw」
「てかなんでここにいるんだろ。本当話相手になってあげてる13番が可哀想。」
ヒソヒソ話をするクラスメイト。
「ちょっと!」
「まって!いいから。わたしのせいだから。」
そういいクラスメイトに注意しようとする13を制止する。
「え、でも、、一番は昔から優秀じゃん! 特別室はなにか問題を起こした生徒の、、」
13はそういい、言葉につまる。
多分私たちが考えていることは同じだった。
あの子のこと。特別室に行ってもう戻ってこないあの、、、、
私達の友達。
また会いたいな、本当に。
「じゃあ、また。」
「あ、うん、頑張ってね。」
なんとも言えない微妙な空気の中、空気を変えた13番は流石だ。と思う。
考えても仕方ない、と割りきれる13番が羨ましい。
それにしても本当に13番はほんっと優しい。私と変わらず昔のように友達でいてくれて。
私が友達で困ることも多いだろうに。
まぁ私だけが友達だと思ってないかもだけれど。この胸にあるこのモヤモヤしたものはなんだろう?と思いつつ、足を進める。
ほぼすべてがバーチャル化したというのに運動したりすることはなぜまだ続いて行くのだろうか、、。動く必要などもうないのに。
⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶
コンコン。職員室のドアをノックする。
静寂で包まれていたこの廊下に私の声とノック音が響く。
「失礼します。無の一番です」
集まる視線。
去年と同じ。
哀れみと蔑むような目。
「この子が夢がない子か、、」
そう思われている。きっと。
私はいつも変わらない現実に目を背けたくなる。でも、仕方ないじゃない。
夢なんて持ってないんだから。
持ってないものを持っているなんて言えるわけがない。少なくとも私は。
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