——web小説を書き始めた美咲が巻き起こす、世にも奇妙で悍ましく、身の毛もよだつミステリーホラー小説——。
この物語は小説の中の世界なのか? 現実の世界なのか? 混乱してしまう小説の中の話が現実の世界に飛び出してやって来る。それは、作り物の狂気が恐怖を連れて、闇に紛れるように静かに、そして目の前に忍び込む様にヤツはやって来る。
小説の世界が現実の世界へとシンクロする様は、逃れようのない異次元の世界へと読み手を誘う描写は圧巻です。知らぬ間にジワジワと恐怖を連れて浸食します。
『公衆電話の太郎くん』とは一体、何なのか? 太郎君の出生に込められた念は、どのような悍ましい因縁があったのでしょうか?
この都市伝説は、まるで増殖するウイルスが如く、終わりのない恐怖と狂気を連れて、この世界を染めて行く……。そう、まるでパンデミックの世界かも知れません。もはや逃れる術を持たない恐怖のウイルスと化してしまったのでしょう……。
誰がこの恐怖という波紋を止める事が出来るというのでしょうか?
止まらない負の連鎖の根源に有るのは一体、何なのでしょうか?
——新たな都市伝説が、今宵、この世界を伝播する——!
美咲が思いついて書き始めたはずのホラー。
公衆電話を通じて呼び出す「太郎くん」。
その太郎くんはなんでも望みを叶えてくれる…はずだった。
創作のはずだったのに。
いつの間にか現実と創作があいまいに混ざり合い、本当に被害者が出始めます。
そうしてついに創作者の美咲が巻き込ま消えててしまいます。
消えてしまった美咲を探す作家仲間のマヤさん。
マヤさんのもとに集まったカイリくんとラブちゃん。
この後この心強い仲間のそれぞれの力を合わせて、無事に美咲を助け出せるのでしょうか?
登場する人物も皆、魅力的です。
ぜひ皆さんもご一緒に、マヤさんたちのこれからの活躍を応援しませんか?
主人公・美咲は、仕事をしながらWEBサイトに投稿する小説を執筆していた。
今回はコンテストに応募するために、新作を公開しようとしていた。
けれど、アイデアが全く浮かばず、執筆仲間が新作を発表する姿に焦りが募る。
それでも何かネタはないかとネットサーフィンしていたその時、ふと目に止まったのが男の子の人形だった。
それを購入し、直接手に取った時、アイデアが湧く。
「トイレの花子さんならぬ、公衆電話の太郎くんなんてどうかな」
こうして、WEB上に溢れる小説の中に、新たなホラー作品が生み落とされた。
WEBサイトで小説を公開。
それだけで、書き手の方は興味を持たれるのではないでしょうか?
しかもコンテスト。
まさに今、ですよね。
だからこその、苦悩やあるあると納得できるものが詰め込まれており、それだけでも楽しめます。
そして書き手の方はわかると思いますが、物語の中で違和感がないよう、描写について調べたり実行したりしませんか?
けれどこちらはホラー。
美咲さんは自分で決めた設定、『公衆電話の太郎くん』の呼び出し方を試してしまいます。
ここから、奇妙な事が起こり始めるのです。
美咲さんを中心に、WEBでも現実でも、太郎くんの存在がチラつきます。
そして、美咲さんの日常と美咲さんの物語が繋がり始め、恐怖が姿を現すのです。
物語を生み出しているのは、本当に作者なのか?
現実と創作の境界が曖昧になり、読んでいるこちらも迷いの世界に足を踏み入れた感覚を味わいます。
その中で揺らぐ事がない存在が、太郎くんです。
だからこそ、起こる全ての事が太郎くんの仕業ではないかと強く印象に残り、登場人物と共に恐怖に呑まれそうになります。
数々の犠牲を出すも、太郎くんを止めるべく動き出した人達が現れます。
しかし、この物語に本当の終わりはあるのでしょうか?
こちらの作品は最後に向かって走り出しました。
どんな結末が待ち受けているのか。
それを見るのが恐ろしい気持ちもありますが、読まずにはいられないのです。
きっと、プロローグを読んだ時から、物語に魅入られてしまったからでしょう。
これから読む方はどうぞ覚悟して下さい。
それぐらい、面白い作品です。
好きな人の不倫相手に甘んじながらWeb小説の執筆を趣味とする主人公。
そんな主人公が創作物として作り上げたはずの都市伝説「公衆電話の太郎くん」がネットを通して伝播し、やがては主人公を含め現実の人間すらも飲み込んでいく……その描写はWeb小説だからこそのリアリティに溢れ、同時にフィクションの壁を超えた恐怖を、我々読者に与えます。
創作と現実が交差した時、一体何が起こるのか。そもそも公衆電話の太郎くんとは何者なのか。はたして主人公に待ち受ける結末とは……。その答えは、ぜひともご自分の目で確かめてみてほしいです……!
ホラーが好きな方はもちろん、ミステリー要素もあるためそちらが好きな方にもおすすめです!是非、ご一読ください!!
投稿サイトで小説を書いている美咲は、コンテスト用のアイデアが浮かばず頭を悩ませていた。ネタはないかと酒に酔った状態でネットサーフィンをしていると一体の人形に目が止まり、購入。手元に届いたそれを見ているうちに、ふと都市伝説系のホラーを書くことを思いつく。しかし、創作だったはずの都市伝説は——
動作や人間に関する描写のリアルさが物凄いです。しかも、非常に丁寧かつ伝わるように描かれています。でもこの小説の一番凄いところは、「じわじわ広がっていく」ところにあると思います。
それは伝播や増殖といった明確な言葉で表されることもあれば、少しずつ増え広がっていく何かを描くことで表されることもあります。
美咲が小説投稿サイトを利用しているため、作中には小説投稿サイト、そこでのやり取り、作中小説といったものが登場します。読み手はそれらについつい自分を重ねてしまいます。
また、私は作者様に「描写が丁寧」というコメントをしたのですが、小説の中における作者(美咲)と読者の間でも、同じやり取りがされています。
そういったことから私は読んでいるうちに小説、作中小説、現実が混じりあっていく感覚に陥りました。
レイティング付きの小説は読めないという方もおられるかと思いますが、この小説からは徒にそういった描写を用いている印象は受けません。かなり残酷な描写もありますが、それは技術であり、ホラーというジャンルによるものです。
自分の、この小説を読む・レビューするといった行為も太郎くんに加担する行為ですね。ゾクゾクします。
行き着く結末は地獄か勝利か、それとももっと別の何かなのか。非常に気になります!
(第二章までの感想です)
価値とは、相対的であり、主観的であり、そして観念的なモノ。
もし、値段がつけられたら、それは数字であるために客観的であると勘違いするが、違うのだ。
その数字は、あくまでも観念的なモノなのだ。
株価を見ると、それが良くわかる。
あんなのは、相対的評価と観念的な思惑で出来上がった変動する数字にすぎない。
価値に、絶対的なモノなどないのだ。
命の価値?
そう、命さえも、そうなのだ。
殺し合っている兵士たちが戦争をしている敵国の兵士と味方の兵士との命の価値が同じだと言えるだろうか?
自分の愛する者や多くの命を残忍に奪った極悪非道の殺人犯と愛してやまない者の命の価値は同じと断固として言えるだろうか?
すぐにでも殺せるアリや蚊やその辺の虫たちの命と人間の命が等価値だと思う人は何人いるのだろう?
食べるために繁殖させられている、あるいは賭けの対象になっている、あるいは投機の対象になっている、あるいは実験用として生かされている生物たちと人間の命が等価値だと本当に思っている人は何人いるのだろうか?
この話、単なるホラーに非ず、人間の欲望、傲慢、妄執、悲哀(たぶん)などを鋭く描いた作品である。
主人公のココロはどうなってしまうのだろうか?
この話の結末は如何に?
ぜひ、話の行く末を読んで確かめて頂きたいと思います!
インターネットは素晴らしいもので、ゆるいつながりがウリの物ですが、反面大きなデメリットもあります。
知っての通り、顔が見えないので何があるか分かりませんし、自殺の話とかも出てきますし、下手すればネットでしかあったことのない人と会って、殺されてしまうこともあります。
ですが、ネットの闇はそれだけではありません。よからぬ噂もどんどん、まさに網を伝って広がっていきます。
その“増殖する意志”は一度増殖すると最後、もう収拾がつかないのです――。
この小説はズバリ、自分で考えた都市伝説がなぜか実体化してとんでもない形で広まり、主人公を包み込んでいくというホラー。
主人公が小説で書いた都市伝説が主題になるわけですから、同じ書く者としてすごい怖くなる。
書いたものが本当にこうなったらどうしよう……伝書猫、無明の闇夜に、夢子ちゃんちのお化け屋敷など様々なホラー小説を書いて、いずれもヒットしている、もはやプロなのかと疑ってしまう作者の和響さんはとんでもないものを書いてしまいましたよ(いい意味で)
執筆をするすべてのみなさん、この小説は絶対に読んではいけないものでした。ホラー好きやからと誘惑に誘われ、プロローグを開いてしまえば最後、もう太郎君の呪縛から抜け出すことは出来ません……。
物語は主人公の美咲がWEB小説を書くために自ら作った都市伝説を実行するシーンから始まります。
寒さに凍える冬の晩、緑の公衆電話を見つけて手順通りに公衆伝播の太郎くんを呼び出しますが……。
一見普通のOLの美咲ですが、内情には色々な想いや葛藤を抱えていることが丁寧に描かれています。
公衆伝播の太郎くんを呼び出してから徐々に崩壊していく美咲の日常がまざまざと描かれ、あまりの面白さに一気読みでした。怖い!でも先が気になる!それの繰り返しであっという間に最新話まで読んでいました。
そして美咲の書く物語もまた面白いんです!一つの物語の中で並行して進むストーリー。こちらはより狂気じみています。
一体美咲にどんな結末が待っているのか? この都市伝説はどこまで増殖するのか?
謎が散りばめられた本作。新しい都市伝説の誕生をぜひご一読下さい。