じわり、じわり…………

投稿サイトで小説を書いている美咲は、コンテスト用のアイデアが浮かばず頭を悩ませていた。ネタはないかと酒に酔った状態でネットサーフィンをしていると一体の人形に目が止まり、購入。手元に届いたそれを見ているうちに、ふと都市伝説系のホラーを書くことを思いつく。しかし、創作だったはずの都市伝説は——

動作や人間に関する描写のリアルさが物凄いです。しかも、非常に丁寧かつ伝わるように描かれています。でもこの小説の一番凄いところは、「じわじわ広がっていく」ところにあると思います。
それは伝播や増殖といった明確な言葉で表されることもあれば、少しずつ増え広がっていく何かを描くことで表されることもあります。
美咲が小説投稿サイトを利用しているため、作中には小説投稿サイト、そこでのやり取り、作中小説といったものが登場します。読み手はそれらについつい自分を重ねてしまいます。
また、私は作者様に「描写が丁寧」というコメントをしたのですが、小説の中における作者(美咲)と読者の間でも、同じやり取りがされています。
そういったことから私は読んでいるうちに小説、作中小説、現実が混じりあっていく感覚に陥りました。

レイティング付きの小説は読めないという方もおられるかと思いますが、この小説からは徒にそういった描写を用いている印象は受けません。かなり残酷な描写もありますが、それは技術であり、ホラーというジャンルによるものです。

自分の、この小説を読む・レビューするといった行為も太郎くんに加担する行為ですね。ゾクゾクします。
行き着く結末は地獄か勝利か、それとももっと別の何かなのか。非常に気になります!
(第二章までの感想です)

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