人生にも歴史にも、音楽は常に共に。戦争、恋愛、神話も絡むファンタジー

日本海軍軍楽隊のフルート奏者である祥三郎は、命令により留学先から即刻帰国することになった。一生を添い遂げるつもりであった"彼女"と「必ず生きてベルリンに戻って来る」という約束をした祥三郎だったが、日本では婚約を断ったはずの晴子が「婚約はまだ続いている」と四年間ずっと彼の帰りを待っていたのだった。そんな板挟み状態のまま、祥三郎は戦場へと向かうことになる。

エデルがカッコ良くて、登場してすぐに好きになりました! 晴子も一途で、かといって祥三郎の意思を無視して自分勝手に乱暴に迫ってくるわけではなく好感を持ちましたし、祥三郎も家族から蔑まれ辛い思いをしつつも自分の好きなものに向かっていける真っ直ぐさがあって応援したくなりました。

祥三郎と他者とを繋ぐのが音楽であることに、良いなぁと思いました。エデルとの出会いもそうですし、晴子との歌のエピソードも。彼を音楽家にも軍人にもし、芸術や友人、そして家族とも結びつけてくれるものだと感じました。

歴史や音楽、地理等について丁寧に描写されているため、事前知識がなくても誰でも物語に集中することができると思いました。私はストーリーだけでなく、自然な流れでそれらの知識に触れることができるのも楽しかったですし、ルビの配慮もありがたかったです。

物語はヒロインの謎が少しずつ明らかになり始め、ほんのりと香っていたファンタジー要素が濃くなってきたところです。
今までに描かれたことから、今後こんなことが起きるかも、キャラたちはこんな障害に直面するかも……なんて想像してすごくワクワクしています。

絶対にこれからさらに面白くなっていく作品です。追いつくなら今!

※「第6話 神の世界から来た者②」までを読んでのレビューです。