愛情ゆえの皮肉な連鎖

自分の中を探るように見つめる内省的で美しい文章。
その記憶の物語もまた美しく、でもやりきれない。
登場人物たちを繋ぐのはどんな感情だったのか、それは読む人に委ねられてもいいと思います。でもそこには確かに愛情があり、それが皮肉な連鎖を生んでしまう。
短い話の中に二転三転する人の心の強さと脆さを感じ、ささやかなひと時に登場するあたたかい小道具が印象に残ります。
降り積もる雪のように静かな重みを持った作品です。

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