ひとりではない、それは女性と小さき者たちへのエール

筆者の近代女性シリーズはそれぞれとても個性的で読みごたえがありますが、本作も主人公の人生をなぞるようなリアリティに満ちた作品です。
家族というものの在り方や血の繋がりとは何だろうかということをずっと問いかけてくる前半から、社会に根付くヒエラルキー、女性という立場で流されずに生きる難しさなど、色んなことを考えさせられます。
タイトルである「ひとりではない」という言葉は、どんな状況下でも誰か支えてくれる人がいるということを思い起こさせます。まだ少女である主人公が、そういう人々との出会いの中で強く自立していくさまが非常に心強く、その賢明な考え方に感服します。
今も根強い不条理と戦うすべての女性と、見過ごされがちな小さな者たちにエールを贈るような作品です。