状態変化

 バッドエンドと明示された作品を私が読むのは、ゼロではないが極めてまれである。にもかかわらず、そうして読んだ作品は例外なく秀逸だった。本作も然りで、作者の本作に対する静かな自信と闘志を受けとった気持ちになった。

 氷に塩をかけると溶ける。小学生向けの科学クイズなどでたまに出る類の話だ。あれは温度があがるのではなく、塩水は真水より低い温度でないと凍れないから結果論的に固体(=氷)を維持できなくなって溶けるそうだ。

 本作に登場する人々に必要なのは、陽光だったろうか塩だったろうか。

 必読本作。

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