ご褒美

 本作は、罪悪感をどこかに置き忘れ、代わりに秀逸な背徳感……それは恐怖の上澄みとしてつとに著名である……をちびちび飲みながら目的地へと進んでいく。

 かつて、外道の通人達は、死なない程度にフグの肝を口にしながら酒をたしなむのを美食の極限としていたそうだ。本作もまた、手足がしびれて鼻血がでてもなお箸が止まりそうにない。

 必読本作。