登場人物達がみんな生きてる。恋愛長編作品の傑作中の傑作。

奈良時代のお話。
主人公が幼い女の子の時代から物語は始まります。そして、立派な女(おみな)へ成長するまで、様々なことを、この主人公と一緒に体験していく恋愛物語。
いや、主人公の人生を描いた物語と言っても過言ではないかもしれません。
実際、恋愛周りのキュンキュンするシーンの他に、笑える話やハラハラする話、心が温まる話や泣ける話まで盛り沢山ですから。

そしてこの『あらたま』、何と言っても、この主人公への感情移入がエグいです。この子が小さかった頃から、ずうっと見守っていくわけですから。
この子に優しくしてくれる人は大好きだし、酷いことをするやつは本気で憎いんです。

奈良時代を感じる描写や文体も素敵です。でも難しい読み方にはすべてルビを振ってくれています。物語の優しさ、暖かさはこんなところにも表れていると思います。

最後に、私がこの物語を傑作だと思う理由は、『登場人物が生きてる』と思えるからです。物語のためにキャラが居るのではなく、キャラが物語を動かしていっています。主要人物どころか、ちょい役のキャラもみんなそれぞれ『生きて』ます。それが本当に素晴らしいです。

ぜひとも、読んでみてください。

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