幾億の時をその身に刻めば、君はその哀しみから解き放たれるのだろうか……

 主人公は、高校2年生。
 偶然、ヒロインと廊下でぶつかったのをきっかけに、主人公が選んだ1冊の本を手渡したことから次第に仲良くなっていく。

 ヒロインや、その親友、主人公を敵視するクラスメイトをも巻き込んで、平和な高校生活が彩られていく。
 それは、テストでの対決だったり、体育祭だったり、夏祭りだったり……。甘酸っぱい青春時代は、コメディーの様相を感じることができるイベントの連続だった。
 楽しい学園生活がこのままずっと続くと思っていた……。

 しかし、主人公が、意外な場所でヒロインと再会をする。そして、ヒロインの何気ないクセに気づいてしまう。
 そこから先の展開には、せつなさが募るばかりだ。

 泣きたくても泣けない。泣かないと決めたのに涙が溢れてくる。立ち上がれない。歩みはじめられない。その感情が、想いが、痛いほどに物語から伝わってくる。
 エピローグを読んでも、そこは変わらないけれど、少しだけ、ほんの少しだけ……、前を向いた君を応援したくなると思う。

 そんな素敵な恋愛小説はいかがでしょうか……。

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