黙して語れ

 黙して語らず、ではない。

 犯罪にせよ事故にせよ、物言わぬ証拠が一番雄弁な場合がある。本作では一枚の写真がそれを成し遂げた。正確には、恐るべき真相へ読者を導く初めの一歩となった。

 白昼でさえ濃い陰影が漂い続けるがごとき、まさに暗中模索を強いられる主人公にとって頼りになるのは己のみである。しかも、何ら特殊な訓練を受けてない。そんな彼女に強力な助っ人が現れ、二人で手探りしながら謎という名の洞窟を進むのだが……。

 つのりゆく狂気には、理性など足枷にすらならない。

 必読本作。
 

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