第11話 盆地から、大平野に向けて快走する気動車

 亀甲の亀の駅舎の「顔」は、今度は到着前に拝める。それに向けて、案内も入る。

 今回は、この亀甲から男女1組の乗車あり。

 隣のボックス席に、彼らは進行方向に沿って着席。

 これで、本日の乗客は合計7名。

 午後の下りだった先日の「3号」では20人からの乗車があったが、今回は比較的のんびりしたものである。


 亀甲の次は、弓削。

 その間、列車は美咲町から久米南町に。久米南町に入って間もなく、国道53号線が線路上を交差する手前には、有名な鶏肉店・中島ブロイラーがある。この日もどうやら、客が店に並んでいる模様。駐車場にクルマを止めて降りて買い物に出ざるを得ないため、どうしても、通行中のクルマとの絡みで事故が起きやすい場所でもある。


 弓削は川柳の駅。

 アテンダントより、その案内もある。

 ここでも、この車両からの降車客はいない。

 弓削を出発し、福渡に到着する寸前になると、弁当購入客のための「お土産」が配布される。これには地元の珈琲店の珈琲豆やらなにやら、とにもかくも、建部周辺の店の名産品が入っている。

 福渡駅では、先日の下り同様、地元の人と思われるが、どなたかが出てきて、旗を振って見送ってくださる。

 こちらでも、乗降客はいない。なお、快速列車の後2両は、話が別。


 福渡を出ると、進行方向左側の車窓から見ると隣にかかっている「幸せ橋」に沿って旭川を渡り、こじんまりした温泉街をさっと抜け切ったこの列車は、やがて、緩やかな坂へ。

 建部通過後、坂を徐々に上って行き、やがてトンネルに。

 この途中から、上り坂は下り坂に。


 岡山側の坂は、津山側に比べていささか急であるため、列車の速度にも勢いのつくことが乗っていてもわかる。

 列車は、盆地の津山からアップダウンを経て、大平野へと向かっていく。

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