第5話 いよいよ、出発!
業者氏が去り、清掃も終ったところで、ようやく、車内に。
アテンダントがロープを外し、乗客たちを車内に案内する。
前回はボックス席だったが、今回は、ロングシートの一角。
だがこのシート、よくできていて座り心地がすこぶる良い。
まるで、三等級時代の二等車に乗っているかのようである。
ただ、目の前のつり革が、ちょっとな、というのは、ある。
この列車として運転しないときの普段使い用の器具である。
この日の乗客は20人とのこと。列車は、定刻で岡山発車。
発車と同時に、アテンダントが頭から被った小型マイクを通じて車内放送を開始。
この案内は、この車両内だけのもの。
向こうの快速列車とは、暖簾で仕切られている。
列車は程なく、法界院に。
ここで乗降する客は、前2両のみ。この車両は、我関せず。
法界院を出ると、次の停車駅は金川。
その後は、福渡、弓削、亀甲、そして終点津山。
法界院出発とともに、アテンダントが案内を本格化させていく。
弁当を買っている客向けの案内もある。
この列車の弁当は、岡山のいわゆる「祭り寿司」なのだが、具が上ではなく、弁当の下に乗って(敷かれて)いる、人呼んで、「返し寿司」。
かつて岡山藩が領民に倹約を求めた折、反骨精神にあふれる領民が、あえて贅沢をしていないことを役人に見せつけるためにちらし寿司の具を弁当の底に敷き、ひっくり返せばドンと豪華な具沢山、という趣向の弁当なのである。
私はしかし、この列車に乗って観光に行くわけじゃなく、取材以外にも子もこの日は役員を務める会社の「仕事」をかねているため、弁当はお預け。
まあ、高いからやめとこうというのもあるのだけどね。
ついでに言えば、この弁当一式は乗車7日前までに指定席券を購入の上アプリで申し込まないといけないらしい。まあ、かなりいい食材を使っているってこともあるからだろうね。
ちなみにこの弁当、衛生面の見地より列車内で食べきってくださいと、アテンダントより案内がなされます。
さすがにこんなこと、昔の列車で案内された試しなんか、なかったよなぁ・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます