人と鬼が紡ぐ、色彩豊かなひとつながりの物語

万華鏡という懐かしい言葉に惹かれて読み始めた作品。
自活力のない天才小説家が女中のあやめに語って聞かせる、鬼と人との物語。
その物語が、本当に万華鏡を覗いたときのように、色彩豊かにこの作品を彩ります。
ある時は切なく、ある時は妖しく、ある時は愉しく、ある時は狂おしく。
それがただのお伽話などでなく、ある地点につながるひとつながりのものであると気づいた時の感動は鳥肌ものです。緻密に練られた伏線とそれらの回収の仕方に感嘆します。
物語の最後は、目の奥にチラチラとまだ鮮やかな色が残るような、まさに万華鏡から目を離した時の、ほぅと息をつきたくなる心地。
あなたもどうぞ、覗いてみてください。

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