彼女たちは生きている。わたしたちと違って

彼女たちとわたしたちの違いってなんだろう。

世界にゾンビ病が蔓延しているかどうか。ゾンビ病にかかっているかいないか。食べ物が豊富にあるかないか。そんなことは、些末なちがいでしかないんじゃないかと思う。
きらりはあと一年と半年くらいで終わりがくる。でも、わたしだってあと一年と半年くらいで終わるかもしれない。タイムリミットがわかっているか、いないか。それだけでわたしときらりの生きかたはこうも異なる。

ゾンビになったあとも、身体は、世界はまだ終わらず、いつか必ず訪れる終わりに向かって過ごしていかなきゃならないというところも、他人事じゃない。考えれば考えるほどどうしようもなく絶望してしまうこんな世界で、ひとりでもごはんを食べようとがんばるきらりの生きざまの美しく切ないこと……。

ひとりの少女が生きている。
ぜひこの作品を読んで、ただ、その姿を知ってほしいです。夜ごはんのお米の味がこんなに苦しく、甘く感じられたのははじめてでした。

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