美しい銀の姉弟が紡ぐ、歪だが何よりも尊い愛。

まず、冒頭から綴られる美しく繊細な筆致にため息が漏れました。
絶世の美しさの中にも、ひとひらの儚さを匂わせる銀の姉弟。彼らを描き出す端麗な描写にも息を呑まずにはいられません。
そして、こちらの物語の主人公となるクロエとミシェルは、初めはどこかコミカルで微笑ましい、非常に仲の良い姉弟像を彷彿させられました。しかし、物語の中で彼らの過去をなぞるうち、明かされるのは姉弟の「地獄」。そこから産まれた姉弟の愛は、傍から見れば並外れて重く、歪とも捉えられます。ですが、物語を追うごとにしっかりと私たち読者の胸には刻まれるのです。彼らの愛が、かけがえのない、尊い光なのだと。

個人的にはもう、兄弟間のクソデカ感情等大好き人間ですので、本っっっ当に尊かったです。ありがとうございます、作者様……(平伏)。
そして、我々のような物書きの魂を喰らうペンギンさんたちは本当に恐ろしかった……!しかし、その姿は愛らしきペンギンさん!当方は魂食べられてしまっても、危うく許してしまうところ……(敵設定が斬新で、本当に面白かったです!)
敵ポジであるペンギンさんたちの、少しホラー味のある描写でしたり、終盤の熱いガンアクション、そして繊細に綴られる姉弟の愛のかたち。幅広く、さまざまな描写や物語の展開に終始圧倒されっぱなしでした!
大変素敵な物語と出逢えましたこと。重ねて深く、作者さまに心からの感謝を申し上げます。

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