春蕾国の後宮には、蜻蛉憑きの儀礼というものがある。春蕾の皇族は代々、身の内に龍を宿しており、龍を抑えきれずに心の病に苦しむ皇帝をはじめ、その皇子皇女のため蜻蛉の術による施術が必要なのであった。
司虫女官でありヒロインの美玉は強力な蜻蛉憑きの力をもつ女官。
美玉は幼き頃に、龍に苦しむ少年との出会いをきっかけとして、蜻蛉憑きの力に目覚める。しかし、その出会いこそが、己の運命と「番」を巡る物語のはじまりだった──
この物語は、権謀術数が渦巻く後宮を舞台とした中華ファンタジーです。
しかも、世界観が壮大かつ独自性に溢れており、皇族に宿る「龍」と、その龍を唯一鎮めることが出来る「蜻蛉」の関係性や異能はとても魅力的な設定となっています。
また、世界観だけでなくキャラクターたちも大変魅力的です!
ヒロインの美玉は忌む存在とされる「蜻蛉」を愛しており、ヒーローの宇航皇子を想う姿と共に非常に健気で、応援せずにはいられないヒロインです。
ヒーローの宇航皇子も、美玉のことを心から想っており、その溺愛っぷりにはときめかずにはいられません!
他にも、美玉を色んな場面で支えてくれる女官仲間の明明や、皇帝からの寵愛を受ける強かな後宮の花、朱美人など……好きにならずにはいられないキャラクターに溢れています!
中華ものや後宮もの、そして権謀術数が渦巻く大河ファンタジーがお好きな方には特におすすめです!
作者様の描写力も本当に秀逸で、ヒロイン美玉が扱う「蜻蛉」の力が発現する描写は、是非とも映像で見てみたいと思わずにはいられないほどの美しさです!
改めまして、作者様。この度はこんなにも最高に素敵な物語を拝読させていただき、本当にありがとうございました!