第十六章まで読了してのレビューです。
舞台は紀元前4世紀のギリシャ。
謎の美青年、ティリオン。勇ましくも格好いいアフロディア姫。
彼らを取り巻くたくさんの生き生きとした魅惑的な登場人物に、恋愛、友情、陰謀や政治が絡まりあう重厚なストーリーが展開されていきます。
古代ギリシャの知識がなくても大丈夫です。
耳慣れない名前がとっつきにくい? 覚えられない? いえいえ、そんなもの心配しなくて大丈夫です。
定期的に作者様が主役級の面々も含め、人物紹介を挟んでくださいます。もちろん、政治背景、専門用語、なども丁寧に解説を入れてくださっております。
一話一話もテンポ良く、短めですいすい読み進められます。
とにかくアフロディア姫が格好いい!
おすすめの作品です。
自分のような、ギリシャの歴史について深い知識がない初心者でも、とても楽しく読めます!
作者さんが丁寧に注釈を挟んでくれるため、物語に置いてけぼりにされるようなことも一切ありません!
文章のテンポがとんでもなくイイため、モーターボートのようにスイスイサラサラ読み進められます。
だけどお話の中心はぎっしり密度の高い人間模様です。
なんと生き生きと描かれている人々!
アフロディア姫とティリオンの恋愛模様に胸をときめかせ、スパルタとアテナイの政治的駆け引きに興奮を覚えることでしょう。
さて、これは断言しますが、これからこの物語を読む方は、絶対に推しを見つけることができるでしょう……!(自分はフレイウスが好き!)
この物語は、国の名を冠するに相応しく、壮大なスケールで展開する群像劇となっています。
国を揺るがす陰謀、他国間での争い、それから個々人の友情、愛情、嫉妬。
壮大ゆえに焦点が絞りにくい話になるかと言うと、そんなことはなく、個性豊かなキャラクターらが、豊かな感情を持って物語の世界を推し進めて行きます。
わたし個人としては、対立する敵国同士の恋人(?)の行方にハラハラドキドキと、恋愛小説を読むように楽しませていただいております。
歴史物好きな人も、恋愛小説好きな人も、魂揺さぶられる壮大なドラマを求める人も、きっと満足できる物語です!
まず最初に、ギリシャ物語を手に取ったあなたはきっと、この素晴らしき世界へ誘われようとしている。
もしかしたら、歴史ものの読み物故、躊躇してしまっているのかもしれない。
だが、安心してほしい……きっとページをめくる手が止まらず、あっという間に第四章あたりまで進んでいることだろう。
ここから一気にワクワクと胸が躍り続けるようにして、夢中になっていることだろう。
その時は、もう後戻りする必要はない! 物語の最後まで、最高にクールな登場人物たちの行方を見届けたくなるはずだ!
私はね、ギリシャ物語に出会わなかったらきっと、読み物に対する見方が変わらなかったと思う。
もしも、子供の頃、ハードカバーの洋書翻訳の児童文学集を手にしたとき、このギリシャ物語があったとしたら……きっと、本の虫になるぐらい、のめり込めたのだと思う……もっとも、そんな事があったとしたら、パラドックスが起こってしまうけれどね? HAHAHA!
読みやすさはもちろん、わかりやすさ、面白さ、私はそれら全てを保証する次第です。
また、この物語を読んだ人は……ああ、『カクヨム初心者さまにむけて ウチのクセモノ!』を読んでみることをおすすめする。
ギリシャ物語にまつわる、裏話もあって……おっと、ここから先は、あなたの目で確かめてみるといい。
それじゃ、are you ready?───。
古代ギリシャの都市国家ポリスを舞台に、国王、姫、訳アリ逃亡者、市井の民、などが生き生きと描かれ、壮大な物語を紡いでいきます。(主要人物が魅力的過ぎて、推しが決めきれません!w)
各人の思惑、各ポリスの政治的立ち位置などが丁寧に描かれ、重厚な人間ドラマを形成しているのですが、これが非常に読みやすい!
簡潔な文体と、多めに配された会話文のおかげで、まるで映画もしくは漫画を見ているかのように、グイグイと読み進めることが出来ます。
歴史の知識が無くても、適当なタイミングで簡単な説明が付されるため、とても分かりやすいです。物語の歴史的背景がしっかりしていて読みごたえがありつつも、読みやすさは損ねない。作者様の知識の豊富さが凄い!と思いました。
何よりも、登場人物が素晴らしいのです。みんな、血の通った一人の人間として、作品世界を生きています。読み進めるうちに、彼らと一緒にハラハラドキドキ、まるで自分もギリシャの町にいるような気分になって来ます。
古代ギリシャに吹く風を感じられる本作品。是非ご一読を!
舞台は紀元前4世紀のギリシャ・スパルタ。親切に書かれているので、古代ギリシャのことをよく知らなくてもすんなりと物語に入っていけます。それに登場人物が皆、生き生きと描かれていて共感できます。
主人公は、快活なアフロディア姫と、彼女が恋に落ちる謎の多い美青年ティリオン。彼の謎に、ポリス内部やポリス同士、ペルシャの陰謀や戦いが複雑に絡まり、スパルタは運命の日にどんどん近づいていきます。その過程の描写は真に迫り、手に汗を握る展開です。それに加えて、秘密の素性ゆえに困難にぶつかるティリオンとアフロディアの恋路の行く末も見逃せません。最後は涙なしには読めません!
でもこれで終わりではありません。アフロディアとティリオンのその後は、続編のギリシャ物語IIでを知ることができます。それにアフロディアに知り合う前のティリオンのことも外伝で読めます。話に広がりがあって楽しめる作品です。
美貌と秘密を持ったティリオン、スパルタの勇ましい姫であるアフロディア、スパルタの若き兵士クラディウス、ティリオンを追いかけるフレイウス、若者たちがそれぞれの立場や想いで行動する姿が、活き活きとしてとても惹きつけられ、感動的でもあります。
古代ギリシャについて、知識がなくても、まったく問題ありません。
言い回しや表現は理解しやすく工夫され、物語の主軸は人間ドラマでもあり、すっと登場人物たちに感情移入ができます。
それでいて、ギリシャの各ポリス間の摩擦や、政治状況がしっかりと縦軸にあり、それが物語を動かす根幹になっています。
ロマンスあり、友情あり、主従の忠誠あり、スパルタ兵の屈強な肉体あり、どこを目的としても満足できる筈です。
是非ご一読ください。
舞台は古代ギリシャ。歴史ジャンルではありますが、歴史を知らない人でも読みやすいように配慮・工夫されています。
文章は無駄を削ぎ落す形で洗練されており、スラスラと読んでいくことができます。情景描写はそれほど多くありませんが、短い一文の中には様々な情報が含まれているため、物足りなさは感じません。ギリシャの風をしっかり感じ取ることができます。
この小説で特に素晴らしかった点は二つ。
・まるで本当に生きているかのようなキャラクター造形、そしてセリフ回し。
・しっかり練られたストーリー構成。
古代ギリシャという舞台の中で、登場人物たちが本当に暮らしているかのような錯覚を受けました。キャラクターたちは各々の立場に沿った考え方や信念を持っており、行動の一つ一つには必ず理由があります。それはいわゆる作者の操り人形とは対極に位置し、まるで本当に実在した人物なのではないかと思わせてくれるほど。
中でも私の一押しは、ヒロインのアフロディア姫です。
猛獣を思わせる手のつけられないじゃじゃ馬で、けれど赤子のように純真で、そして炎のように情熱的な人。
愛する者のためなら、文字通りすべてを投げ捨てることのできる真っ直ぐな性格は、思わず立ち上がり応援したくなるほど。
キャッチコピーはそんな彼女のセリフなのですが、そのシーンがまた熱い。間違いなく、読者の胸を打つことでしょう。
またストーリーも秀逸です。臨場感のある多彩なストーリー展開によって、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。さりげなく張られた伏線に一体どれだけの人が気付けるでしょうか。どちらかといえば、WEB小説というよりかは、文芸作品に近いストーリー構成だと思います。
終盤の展開には思わず、目頭が熱くなるほどでした。
さて、最後にこれだけは言っておきます。読まないと損ですよ。
真摯に願い、真剣に努力する者が、小人の悪意や敵意に足元を掬われる。互いに心から想い合っていて、誰も悪くないのに、誤解や思い込みですれ違い続ける。その先に訪れる結末は多分全然スカッとはしないものだろうと予測はつくのに、どうして人間は『悲劇』を摂取したがるのか。
私は、その答えの一端が、この物語の中にあるような気がします。例え悲しいものに終わっても、その願いや努力、想いは決して無意味ではなかったと、舞台から去っていく者たちに心から拍手を送りたくなるからです。二五〇〇年も昔のギリシャ悲劇がいまだに現存しているのも、そういうことなのではないのかなと思ったりします。
こちらの第一幕は幕が降りておりますが、既に第二幕の幕は上がっております。つまり、引き続き、古代ギリシャの風に彩られた主人公たちの旅路を追いかけることができるということです。古代地中海史がお好きな方、冗談みたいな出会いから始まる恋物語がお好きな方、神聖なまでに濃厚な主従の物語がお好きな方は、是非。
罪を負い故郷を去る、銀髪の美しい主人公を中心に、
彼を追うもの、慕うもの、嫉妬するもの、
国を憂う王、野心を抱くもの、邪なものたちの人生が、
時には喜びに満ちて、時には血と苦痛にまみれて、
交差していきます。
キリシャを舞台にした歴史物語ですが、
スパルタって、恐ろしい戦士だけの国ではなかった。
アテナイは、民会と修辞学だけの国ではなかった。
こんなに魅力的な人々が暮らした世界なんだ、と思うと、
ギリシャ文明のイメージが、大幅にアップしました。
文章がとても読みやすくて、ぐいぐいと引き込まれます。
ギリシャに興味がある方も、そうでない方も、
ぜひ手に取って、読んでみてください。