ダイジェストと言っては聞こえが悪いですが褒め言葉です。

桶狭間の戦いを魅力的に描き出した短編ならではの意欲作です。場面変化、情景描写、人物についての言及が必要最小限に削ぎ落とされた結果、一種、舞台演劇的な想像力を掻き立てる効果に繋がっています。絶妙なバランスの上に成立した作品ではありますが、筆者の卓抜された言語センスならではの真骨頂と言えるでしょう。ラストの一気呵成のシーンをあの文字数で過不足なく描ききるのには感服の一言です。芸術的な一作、ぜひご一読ください。